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消費者庁の葬儀屋に対する指摘がちょっと残念な件




こんな報道がありました。

葬儀10社の広告に注意=競争激しい?半分は愛知-消費者庁

葬儀業者の広告で消費者の誤解を招きかねない表示があったとして、消費者庁は3日、愛知など6県の業者計10社に対し、口頭注意を行ったと発表した。10社のうち半分が愛知の業者で、同庁は「冠婚葬祭が派手な土地柄で、葬儀業者間の競争も激しいことが背景にあるのでは」と指摘している。
消費者庁によると、注意した10社は愛知のほか、宮城、香川、愛媛、福岡、佐賀各県の葬儀業者。昨年12月以前、新聞の折り込みチラシなどで、会員登録すれば通常の葬儀費用から値引きすると表示しながら、実際は会員にならなくても値引きされていたケースがあった。(時事通信報道より引用)

「冠婚葬祭の派手な土地柄で、業者間の競争が激しいことが背景にある」から広告に問題が・・・
って愛知県民に対して失礼では(^^;)
チラシ
さて本題はそこではなくて以下の部分です。

この件に関する消費者庁の発表はこれ

消費者庁のサイト

この発表内容を一読したとき
「日本消費者協会の葬儀に関するアンケート調査で発表された平均葬儀費用より
ウチは安くできます、ってうたったからアウト」
だと思って
やっと私の主張「日本消費者協会のデータは精度が低いから使うな」
(参照ページ:日本消費者協会 葬儀アンケートの数字を巡る変化
が認められたと喜んだのですが・・・

どうやら違うみたい。

私の理解力が低いのか、この文書がわかりにくいのか、情報が足りないからか
よく分からないのですが
消費者庁の言い分はこんな感じ。

「日本消費者協会のアンケートの費用の内訳は以下の構成である。
(イ)通夜からの飲食接待費

(ロ)寺院への費用

(ハ)葬儀一式費用

=(二)葬儀費用の合計

(イ)の料理の支払いは、料理屋さんに支払うか、
もしくは葬儀屋さん立替えの場合は葬儀屋さんに支払う。

だから料理費用をどちらかに支払うかによって
葬儀屋さんへの支払額(=いわゆる葬儀費用)は変わってくる。

今回指摘を受けた葬儀社は
上記の(イ)と(ハ)の合計(もしくは(ニ)-(ロ))と
自社の「総売上げ÷件数」の金額と比較して
「日本消費者協会アンケート結果よりウチは安い」といっていた。
だからアウト」

ってことは、今回指摘を受けた葬儀社は、
料理費用は含まない価格体系だった
ってことでしょうか。

また
寺院の費用以外は総額表記にした価格例との比較だったらOK、
だったのでしょうか?

ちょっとそのあたりをはっきり書いてほしいところです。

それから持論を補強するために
(もしくは同じ役所仲間の業績をアピールするため?)
経済産業省の「特定サービス産業実態調査」のデータ を
引用しています。
しかしこの引用で話がややこしくなっています。

あの日経新聞でさえ間違って報道しています。

経済産業省の「特定サービス産業実態調査」では葬儀1件あたりの平均売上高は2009年、約125万円となっているのに、平均費用が180万円前後であるなどとして、その額を大きく下回る自社との契約が有利であるかのような表示をしていた」
(2月4日日経新聞朝刊)

そーじゃなくて、経済産業省データは直接関係なくて、
日本消費者協会のデータと、同条件での比較をしてない(できない)から、アウト
って消費者庁は言ってるんですが。

またこの経済産業省の「特定サービス産業実態調査」のデータも
精度はあまり高くありません。
(日本消費者協会よりましだとは思いますが)
そもそも経済産業省のアンケートに答えた葬儀社の自己申告の数値を
そのまま載せているだけなので。
(結構細かい内容を聞いてくるのですが、
誠実に答える葬儀屋さんばかりではないことは、
大体想像つきますよね。)
精度の問題を表す一例として
平成17年も平成21年も葬儀単価は125万円で平均葬儀単価の下落が起こっていません。

そんなわけで今回本当に消費者庁にやってもらいたいことは、これ。
日本消費者協会に対して
「多方面で混乱招くから、数字の発表はもうやめたら」
って勧告することです。

とはいえ総合的には今回の消費者庁の動きは評価したいと思います。
日本消費者協会の数字を気安く使うことと
二重価格まがいのばかげた割引に対する
牽制(けんせい)になったと思うので。

応援してるぜ!消費者庁。











7 件のコメント

  • 消費者庁が制定された当時、担当者に「葬儀は担当するの?」と聞いたところ、「葬儀は日常的な消費材でないので担当外」と言っていましたが、消費者庁も葬祭業と言う「米びつ」に手を突っ込んで来ましたか。
    確かに、葬祭業の広告は景表法(担当は公取委で元は総務省の外局)の第4条第1項の1と2に抵触している物は多いのですが、これに関しては総務省も厚労省に対して「民間の非営利法人が運営する資格制
    度(葬祭ディレクター)を「厚生労働省認定」と国家資格であると消費者が誤認するような表示を行っているもの」を是正する様に通知をしています。
    その関係もあってか、下記では適正表示を指導していましが、現在も厚生労働省認定 葬祭ディレクター資格と書かれたHPや名刺を目にします。
    http://www.sousai-director.jp/

    価格や広告を調べるのが消費者庁、総括するのが総務省、広告や表示を所管するのが公取委、技能審査を認定するのが厚労省、互助会が経産省、霊柩や搬送車は国交省。
    縦割り行政よりも「天下りや外郭団体」等で食い物にされ、濡れ手に粟を考えているのかと疑います。

  • prof様、
    > 消費者庁が制定された当時、担当者に「葬儀は担当するの?」と聞いたところ
    なにげにさらっと書かれていますが、
    いつもながらprof様の人脈すごいですね(^_^)

  • いつも読ませてもらっています

    私は「葬儀費用の均一化」は難しいと思っております
    ですが、作業そのものに単価をつける事が出来れば、
    その作業をする、しない地域があっても料金が出せるの
    ではないかななんて妄想してしまいます。

    でもまぁ最近メディアなんかで葬儀が取り上げられるのは、良い傾向だと思います、まだまだ不明瞭な所が多い職種だけに、もっと相談しやすい職種になれたら、葬祭業の悪評は軽減できそうなのになぁなどと

    駄文失礼いたしました

  • に~やん様、

    > いつも読ませてもらっています
    ありがとうございます(^_^)

    > まだまだ不明瞭な所が多い職種だけに、
    そーなんですよね。もっと葬儀屋さんの情報発信が
    増えることを期待しています。

  • 物理教師さま

    すみません、メール送っておいてm(__)m

    文章を考えてたら中々進まなくて誠に申し訳なく思います。今日もエンディングプランナーちょっと観ましたが~探偵ごっこみたいな所は違うかな?とは
    思いますが~

    ドラマ程じゃないとしても多分、実際の葬式では『人のぬくもりや優しさ』があるんだろうな~なんてイメージしてます!(勿論いいことばかりでない事も十分承知してます、十分過ぎる程今の職業で出会った人達の『人間の醜態』は観てきましたから・・・)。

  • 調べ物をしてましたらこちらのサイトに来ました。大変参考になりありがとうございます。
    こちらと同時にアメリカのサイトで Funeral Rule も目を通しましたが大変厳しいルールで
    あれを日本に適用したら多くの葬儀者が悲鳴をあげそうですね。

    私がこの業界に大変疑問に思うことの一つは「許認可」が必要ないことです。
    大工さん一人の工務店でも一人の設計士による設計事務所でも大臣または知事登録
    を申請し定期的な更新があります。
    そろそろ国に認可されたものにする必要がありそうですが。そうすれば葬祭ディレクター
    の意味不明が立場も変わるように思います。
    業界の方々はどのように考えておられるのか興味があります。

  • Jazz 好き斎場設計士 様、
    コメントありがとうございます。
    >「許認可」が必要ないことです。
    そうなんですよ。悪い業者を駆逐するためにむしろ法律作って欲しい
    ていう意見がコメント欄でも多く見られます。

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