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映画「おくりびと」の粋(いき)ではない批評




えー、おそらくこの時期、日本全国の葬儀屋さんのブログで必ず俎上に載せられているであろう、この「おくりびと」の話題にも触れておかねば・・・
 
たまに軍隊出身の人が映画の中での銃の取り扱いを見て、
やれこの持ち方はおかしいだの、実戦でこんなことはしないだの、批評することがあるじゃないですか。
それは作り手の無知もあるかもしれませんが、映像上、きれいに見せるためにやってんだから、リアリズム追求してもしょうがないでしょ、
と私は思っていたんですが。
 
そんな業界人から見るとおかしいよ、という粋ではない批評をあえて、してしまおうと(^^;)
ネタをばらしてしまうことになりますので、まだ映画を見ていない方は以下の文章は読まないでください。

 
○クライマックスシーンで父親が石を握っているのはおかしい。
いわゆる不慮の死の場合、必ず警察が遺体をあらためる検視というものがあります。たしかに地方では検査が緩くて殺人を結構見逃しているのではないかと言われてますが、いくら何でも手に何か握っていたら取り外すでしょう。
それが他人から見てただの石だったらわざわざ手に戻したりはしないはず。
 
○父親が納棺されるシーンで、主人公が自分の職業を葬儀屋に明かすのはおかしい。
だってその葬儀屋が室内に運んできた棺は、主人公が寝台車に載せて運んできたものでしょう。棺を持ってきた時点で葬儀屋は主人公のことを同業者だと認識するはずです。
 
○それから私は確信持てないけど、火葬炉の裏に遺族を連れて行って見せるなんてことありえるのかな?東京とその近県では絶対あり得ないけど、地方ではあるのかなぁ。

○妻が納棺士の夫に向かって
「触らないで。汚らわしい」
と叫ぶシーンがあります。
妻の間違った偏見で夫を傷つけるシーンです。
しかし私は、これ、医学的には正しいのではないかと・・・
なぜならご遺体に対して主人公はずっと素手で触れてますよね。
感染症の危険があります。
私の勤めている葬儀社では防菌剤の使用・納棺時の手袋着用・定期的な予防注射が義務づけられています。
それだけ納棺は医学的リスクが高いんです。
 
○それから同業者として、故人の片腕を袖に通した後、もう片方の腕をどのように袖に通すのか(つまり着物をどのように背中側をまわすのか)を注意深く見ていたのですが、そのシーンはありませんでしたね。
やはりそれほど映像上きれいに見せられないのかもしれませんね

○納棺士がご遺体の顔や裸体に触りすぎ。
故人が自分の母や妻や娘なら、女性に納棺してもらいたいはずでは。

以上が粋ではない映画批評でした。
お粗末でした<(_ _)>


追記

>故人の片腕を袖に通した後、もう片方の腕をどのように袖に通すのか

上記の点が気になっていたのですが、「おくりびと」のSELL DVDに納棺ノーカットシーンの特別映像が収録されていることを知り、購入しました。

結論は普段自分たちがやっているのと一緒(^^;)

ご遺体を寝返り打つように傾けて、もう片方の袖を、背中側から通した後、腕をを通すやりがたでした。

でも、映像ではご遺体をを傾けすぎではないかな?
ご遺体が下を向くくらいまで体を傾けています。
着物を通すスペースがあればいいのだから、ちょっと体と布団の間に空間があればいいのに?
1人納棺を行うゆえに仕方ないとすれば、2人でやれば(1人がご遺体を浮かして、もう1人が着物を差し入れる)もっとスマートにできると思うのですが・・・











2 件のコメント

  • 父親が納棺されるシーンで、主人公が自分の職業を葬儀屋に明かすのはおかしい。
    だってその葬儀屋が室内に運んできた棺は、主人公が寝台車に載せて運んできたものでしょう。棺を持ってきた時点で葬儀屋は主人公のことを同業者だと認識するはずです。

    今更ですが葬儀屋が持ってきたのは主人公が持ってきたものとは別ですよ。

  • 名無し様、
    > 今更ですが葬儀屋が持ってきたのは主人公が持ってきたものとは別ですよ。
    DVD見直してみました。
    確かに、おっしゃるとおりでした。すいません。
    それからご指摘ありがとうございます。
    葬儀屋が持ってきた棺が、1:54:46くらいに映っている一番左のタイプと同型だったので、勘違いしてました。
    ただ、1:55:40くらいで、明らかに棺を載せていると分かる寝台車を主人公が家の前に止めているので、
    それに葬儀屋が気づかないのはやっぱりヘンだと思うのです。
    ・・・というあら探しは、不粋なのですが、そういうテーマの文章なので何卒ご容赦を
    <(_ _)>

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