もう葬儀屋はダメな奴でもいいのかもしれない




(最近自分の気持ちがネガティヴモードであるということを前提にお読み頂きたいのですが)
ダメな葬儀担当者を見て、でもこれでいいんじゃないか、と考えた話です。

ダメ担当

先日ある大手互助会が施行する葬儀に参列する機会がありました。

その互助会の葬儀担当者は30才くらいの男性。
そいつがもう本当にダメダメ。

髪型は長めで毛先を遊ばせすぎ。
制服なのか私服のスーツなのかは知らないがポケットにいろんなものを詰めているので、チャップリンの体型。

靴は葬儀の定番のストレートチップではなくカジュアルなビットモカシン(金具付きのローファー)

開式前のスタッフとの打合せの際は、1カ所しかない式場の入り口をずっとふさいで喋っていました。
まっすぐ立てないらしく、常にどちらかの足に体重をかけているいわゆるジョジョ立ち

そして彼は僧侶の登場から退席までの間、ずっと不在なのです。
開式前の説明やら式の司会やら焼香案内などの進行は葬儀スタッフ派遣会社のスタッフに丸投げで、全てやらせています。
遺族や参列者にはそこまで分からないでしょうが、私は業界内の人間なので、制服を見れば派遣会社の人間であることが分かります。
実はこの互助会が施行を外部に丸投げしているという話はうわさでは聞いていましたが、本当だったようです。

開式前からずっとエレクトーンの生演奏をしているのですが、リバーブかかりすぎで音が大きすぎ。
CDの方が良いのでは。
開式前に故人の画像を編集した思い出の動画が式場前方のスクリーンにプロジェクター放映されるのですが、スクリーンの前にお供えの果物を置きっ放しにしているため、スクリーンに果物の影が。
これらの生演奏や映像の放映は、「追加費用をもらうための口実」以上の存在意義はないのではないかな。

派遣の司会はペースや滑舌は良いが、いわゆる歌うクセ(昔のバスガイドが良くやる節回し)がついていて気持ちが悪いです。

僧侶のお経が終わって、棺にお花を入れる段になって、あの担当者が再登場。
なぜかずっとヘラヘラ笑っていて、変な節回しでしゃべり続けます。
「ここで喪主様から、挨拶を頂戴させていただきます
見てくれだけではなく頭も悪いようです。

でもこれは合理的なのかも

確かに葬儀担当者のレベルというのは正規分布のベルカーブを描くので、葬儀担当者がたくさんいれば、ある程度レベルがピンキリになるのは避けられません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E5%88%86%E5%B8%83#/media/File:Standard_deviation_diagram.svg
ただ自分の会社にこのレベルの担当者がいたら、絶対に現場に出しません。
それ以前に採用しません。

おそらく10年前までの自分なら憤慨するだけで終わっていたでしょう。
しかしある程度経営者視点を持ってしまった今の自分は、これもアリかな、と思ってしまうのです。

互助会の場合は、会員制度に入会させて積立金を払った段階で、将来葬儀の依頼が来るのはほぼ確定しています。
だったらコストをかけて担当者のクオリティを上げる必要なんてない。
クレームが出ない程度にお葬式が終わってくれればいい。
もしクレームがでれば実質的な進行を請け負っている派遣会社に責任を押しつければいい。
あとは葬儀が終わったら営業部隊の泣き落としで、互助会の積み立ての再開を始めさせればいいだけ。

遺族に聞いてみると
病院対応→打合せ→準備→通夜施行→お葬式施行→葬儀後のアフターフォローまで、
都度スタッフが変わって、引き継ぎ引継ぎで行っていたらしいです。
そのせいか、出棺後の流れを喪主は把握していませんでした。

でもこれもある意味正しい。
限定された範囲の職域で良いなら、教育コストは少なくて済みます。
育成に時間と手間のかかる先発完投型マルチタスクの担当者なんていらない。
そんなのはオーバースペック(過剰性能)です。

ずっと遺族に寄り添いたい、葬儀後もつきあいを続けたい、なんていうマインドを持った人を採用したら、きっとこのぶつ切りのオペレーション堪えられないないでしょう。
これって「奥さんを大事にしなさい、でも一緒にいる時間を減らしなさい」と言われるようなものだから、きっと葛藤にまみれてしまう。
だからそんな人は最初から採用しない。

むしろビジネスライクに、そつのないコンビニ店員くらいの情熱でやってもらった方が好都合。
この売り手市場で採用難の時代であることを考えると、そんなレベルの連中の方がいっぱいいるし、替えが効く分、安い賃金で働かせることができる。

以上のように考えてくると、低レベルの葬儀担当者を使うというのは、戦略として合理的で一貫性があります。

実は以前この互助会のスタッフが、私の働く葬儀社に転職してきたことがあります。
もっと上を目指したい、という理由で。

私の働く葬儀社のスタッフの方が、この互助会のスタッフよりもできることが多く、さらにレベルは数段上でしょう。
しかし売上はこの互助会の方が明らかに多いのです。
つまり消費者はこの互助会の方を評価しているということなのです。

葬儀屋は次のステージへ

志ある葬儀屋さんにとって幸福な時代は終わりつつあるのかもしれません。

葬儀屋の変遷として
賤民(戦前)→チンピラ(戦後)→職人(高度成長期)→サービス系スペシャリスト(平成)
という流れでやっと理想型に近づいたと思ったら、こんどはコンビニ店員になってしまうのか・・・

私が後の世代に伝えられるものはオーバースペックな無用の長物になってしまったのでしょうか。
かつてきれいに葬式の幕を張ることをアイデンティティにしていた職人のように。

そろそろ割り切らないと自分の居場所もなくなってしまうのかもしれません。

 











12 件のコメント

  •  同業者です。ある種の諦念を抱かざるを得ない時代になったのでしょう。一つのビジネスモデルに固執すると、展望が拓けなくなる事態にも遭遇しかねません。今回の記事には強い共感を覚えましたが、ただ、一つだけ赤城さんに問いたいことがあります。
     今日、葬儀業界にはいわゆる低レベルの人材しか集まらないことはおそらく事実でしょう。おっしゃるとおり、それを前提としてビジネスモデルを組み立てるという手法も評価すべきなのでしょうが、私にはこのビジネスモデルからなんの希望も見い出せません。殺伐としたものを感じます。私は、低レベルにある彼ら彼女らを「育てる」ことは可能であると考えますし、非常に大切な使命であるとも思っています。
     ロマンチストと言われても仕方ありませんが、人材育成を諦めることは、葬儀業界、彼ら彼女らの人生、もっと言えば日本社会を諦めてしまうことになるのではないでしょうか。機会があれば、赤城さんの人材育成への見解等当ブログでご披露いただければと思います。

  • 平素よりお世話になっております。毎回更新を楽しみにしております。 初めてのコメントで、ご無礼あるかと思いますが失礼します。
    いつの時代も変化はあり得ることで、受け入れていかなければならないことだと思いますが、葬儀に関してはどうでしょうか。
    世間の評価と人としての評価は必ずしも一致するのではないと思ってますが、私は赤城様が言われてます無用の長物だとは思いません。
    オーバースペックでも足りないくらいではと思ってます。それだけ奥が深く、様々な遺族様のニーズもありますので、担当者がある程度のレベルではないと、不信感もそうですが、本当の意味でのケアが出来ないのでは、と思うこともあります。もちろん限界はありますが。。。
    私もまだ葬儀業界1年生ですが、ぶっちゃけ会社で教わったことより、このブログが勉強になってます。
    以前の横領の記事を見たときは8割型、当たってましたので。。。
    赤城様にご質問ですが、担当させていただくご遺族様とどうしても合わないときは、どのような対応をされておられますか?
    先発完投タイプの担当して、お聞きしたいです。
    よろしくお願いします。

  • いや、ホント、屑だと思うような人が多いですよ。
    挨拶ができないのは当たりまえ、見積りも誤魔化す。
    そして、葬儀の翌日には集金と仏壇と位牌の営業。

  • 僧侶です。

    >実はこの互助会が施行を外部に丸投げしているという話はうわさでは聞いていました
    私の地域では、ここまでの状況ではありません。

    ただし、
    >替えが効く

    私の地域の互助会も、人の入れ替えが激しいんです。
    派遣等を除く正社員(個人請負かもしれませんが)の人は、「あの人がいなくなれば…」状態の迷惑古狸か、感じは良いけど仕事のできない新人くんかのどちらかです。

    10年くらい前は、もう少しはまともだったんですが…
    正直、互助会施工の葬儀は苦痛です。

  • お疲れさまですm(._.)m

    本業が、あまり忙しくないから、
    修業を兼ねて葬儀スタッフのバイトに
    行きます。
    葬儀社、花屋、テント屋、料理屋、
    返礼品屋他でやります❤
    土日だけですけど、頑張ります。

    平日は、損害保険屋の事故受付センター

    本業は、週休6日ダワヨ~~

    今度、日本葬儀葬祭学会設立します。
    私は、法学が専門ですから、
    早稲田大学大学院で、墓埋法関連を
    研究します。比較法学です。

    荒れ果てた制度を建て直します。

    とりあえずは、花屋の幌トラックの
    安全運転です。

  • 日に日に最後の砦の貴方が引退(セミリタイア)してしまう日が現実になりそうで
    怖い。私もこれでいいのかな?って担当の失礼さなどに寛容になってしまいました。お客様の求めているものと私の理想が乖離している。どんどん離れていっている。少し前までは啓蒙活動だ!なんて鼻息荒くできたのですが「楽」にニーズが逃げてしまったのが強いです。

    他社にお葬式に行ったときには、おい!そこに立つのかよ!!他人事かよ!!3か月権限くれないかなぁ~これだけのものをもってこれかよとか思います。ssskzsさんのような人がいらっしゃるのは心強いですが葬儀不要論の的外れ記事のコメント郡を見ていると風向きは本当に厳しいのだと感じました。

    あの内容を見て「お金の部分のヘイト」の部分のコメントが多いのは残念でした。
    不要論で飯食ってる人もいるというのに…。

    私の周りには経営者ばかりなので葬儀が不要なんてあるの?という人付き合いを命としている層のコメントが取れますが、会社の実績データとしてはそろそろ少数派になりそうです。

    しかし赤城さんメンタルすごすぎぃ。

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