金子 哲雄「僕の死に方 エンディングダイアリー500日」




先日お亡くなりになった流通ジャーナリスト金子哲雄氏が
亡くなる間際にお書きになった本の紹介です。

「僕の死に方 エンディングダイアリー500日」金子 哲雄
 

以前「流通ジャーナリスト金子哲雄さんの葬儀について思う」という記事を書きましたが
この本を購入した動機は二つあります。
一つは金子氏がどのように自分の死と向き合ったのか
二つ目はどのように葬儀社を選んだのか
以上二点を知りたかったのです。

どうして金子氏がここまで死と向き合うことができたのかという点についてですが
兄弟4人の内3名がすでに亡くなっていらっしゃるとのことです。
きっと日頃からいろいろ死について考える機会があったのだと思います。
私の母も金子氏とほぼ同じ年齢で亡くなりました。
そのため私も母を亡くしたときからずっと自分の死を考えています。
もちろん考えることと実際に受けいれることとは
雲泥の差があります。
「ひたすら泣いた。しまいには泣いていることさえ分からなくなるほどだった」
というような重い文章を読むと、
果たして自分は金子氏のように死を受けいれることができるのかどうか。
二つ目のどのように葬儀社を選んだのか、という点についてです。

本文から引用です。
「 まがりなりにも、「流通ジャーナリスト」として情報を発信してきた。
自分の最期、葬儀も情報として発信したいと思った。
 賢い選択、賢い消費をすることが、人生を豊かにする。
自分が何度も口にしてきた台詞だ。葬儀は、人生の幕引きだ。
これも含めて、人生なのだ。その最後の選択を間違えたくなかった。」
「では、葬儀はどうか。
これは間違いなく、一生に一度だ。しかも葬儀には、当の主役はいない。
だから残された身内で揉めることがままあるというのは前述した通りだ。
だから、主役の意思を生前に確認しておくことが大事なんじゃないか。
私はそう考えた。どうせ意思をはっきりさせるなら、
ついでにプロデュースしてしまえばいい。そう思ったのだ」
ということで葬儀について考えられたようです。
この考えは実に正しく立派だと思います。
望んでいても実行に移せる人は本当に一部だと思うので。 

この「僕の死に方 エンディングダイアリー500日」には金子氏の生い立ちも載っていますが
頭を使って極めて戦略的に生きてきたことが分かります。
特に主婦目線での経済評論というポジショニングがブルーオーシャンだった
っていうのは確かにそのとおり。
こんなこと(参考記事:「Never Ending Note 未来に残すエンディングノート」(集英社)を買ってみました)を書いている自分がいかにセンスが無いかという・・・

このように頭の良い、商品の価格にこだわってきた流通ジャーナリストの金子氏が
どのような基準で葬儀社を選んだのか、
葬儀社に勤める人間としては大変興味を持ったのです。

しかし
その答えは載っていません。

「葬儀社の方を自宅に招いた」から話が始まってしまうのです。  

最初地元だからという理由で選んだのかと思ったのですが
「偶然とは言え、病院も同じ区内、葬儀社も同じ区内」と書かれているところをみると、
最初から地元の葬儀社という基準で選んだわけではないようです。
菩提寺の契約葬儀社なのかと思ったのですが、
葬儀社から菩提寺を紹介されているので、それも違う。

病院はセカンドオピニオン、サードオピニオンと複数まわっているのに
(記述から読み取る限り)葬儀社には1社しか会っていないようなのです。
時間と体力が限られていたというのは分かるのですが。

葬儀屋としての自分にとって
ほかにも何点か引っかかる所はあります。

構成作家に葬儀のシナリオを依頼しようとして事務所のスタッフに
「式次第が決まっているから」と止められてしまう
というくだりがあります。

これは残念です。

お経を読んでいる所以外では、いかようにも演出?のやりようがあります。
司会の文言、ナレーション、いろいろできたはずです。
ましてや住職は理解のある方なのだから。
(もちろん、依頼された構成作家にかかるプレッシャーを想像すると
きついものがありますが) 

それから
院殿居士の戒名を高野山からもらってそれが励みになるというのも
個人的にはちょっと複雑な心境です。

とこのように葬儀屋さんとして思うところはいくつかあります。

ただ最後に書かれた奥さんの手記を読む頃になると
まぁそんなことは、どうでもいいか、と思えてきます。
それくらい奥さんの手記は胸を打つ内容です。

本人と遺族が満足してくれたのだから、それで万事OKだろうと。

なにより「葬儀」が、
ちゃんと本人と遺族両方のお役に立てたのが
葬儀屋さんとしてはうれしいです。

金子哲雄氏の御冥福をお祈りいたします。











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