今日の記事はちょっとお叱りを受けるかもしれませんが、
葬儀屋さんと学歴の話です。
今年も新卒の入社希望者に
いわゆる「いい大学」の子が少なからず混じっていました。
こういう記事(新卒確保、中小企業に試練の夏 大手採用増で苦戦
全文をお読みになりたい方はこちらをどうぞ)
がでるご時世にありがたいことです。
もちろん葬儀屋に最も必要なのは
ホスピタリティとタフネス。
そして葬儀の実務に学歴は無関係。
それを分かった上で敢えて申し上げたい。
「高学歴の方に葬儀業界に来てもらいたいと。」
その理由は下記の記事で述べました。
(参考記事:葬儀屋と学歴)
論理よりも感覚に引きずられて、生理的に葬儀屋を嫌う人々に対して
学歴は有効だから、
というのがその理由です。
最近はそれに加えて
組織の多様性が生み出す強さというものを考えると
葬儀業界はもう少し高学歴の人の比率を増やした方がいいんじゃないか、
と思うようになりました。
「みんなの意見」は案外正しい
という結構有名な本があります。
いわゆる集合知の正しさを説いた本です。
この集合知をうまく働かせるためには組織に多様性、
つまりまんべんなくいろんなタイプの人がいることが理想的。
そういう意味で葬儀業界はちょっと低学歴に偏りすぎだと思うのです・・・
というと、この学歴主義者め、と顔しかめる方は多いでしょう。
いや別に私が葬儀業界に入りたての頃
「○○(←私の母校)出身だと思って調子に乗ってんじゃねえ」
ってFランク大学出身の先輩に暴力ふるわれた経験があるから
こんなこと言っているわけじゃなくて。
もちろん1年間に本(漫画ゴラクと風俗誌を除く)を1冊も読まなくても、
休みの日はパチンコしかしなくても
好感が持てて、葬儀屋として優秀な人はいくらでもいますし。
だからもちろんそういう人もいていいのですが、
とはいえ組織のバランスとしてはもうすこし人材のバリエーションがあっても
いんじゃないかと。
たとえば偏(かたよ)りの弊害の一例をあげると
大学の新卒の面接の際
面接官として、高卒でバブル期に中途採用で葬儀屋になったスタッフが入ると選抜が結構いい加減なことが多い。
多分就職することにコストをかけてきていないから
今の新卒の必死さとか悲壮感が分からないのだと思うのです。
べつにルイス・ガースナーがやって来る前の
かつてのIBMみたいな画一化されたインテリの組織を望んでいる訳じゃないんです。
(もしそんな組織が存在したら葬儀屋としては弱いと思いますし)
ただせめて大東亜帝国以上の人が業界に占める割合が数パーセント上がって欲しい、という程度の個人的なささやかな願いなんですけど・・・
同意してもらえるのかな、これ。
中途採用で互助会系の間接部門で働いていたのですが、
学歴…というよりはバブル崩壊前に新卒で入社し、ずっと働いてきた人と
崩壊後~現在に中途で入ってきた人とでカルチャーギャップがありました。
>多分就職することにコストをかけてきていないから
>今の新卒の必死さとか悲壮感が分からないのだと思うのです。
のような違和感を感じることは多々ありました。
学歴ですが、どちらかといえば低い側の方が変に気にしたり、
多様性を許容しない(自分と異なる考えを認めない)感じでした。
(逆に、高い側が鼻にかけたり…はありませんでした)
元間接部門 様、コメントありがとうございます。
>逆に、高い側が鼻にかけたり…はありませんでした。
ああ、たしかに高学歴側からの差別はありませんね。
高学歴側の方がマイノリティですし、学歴をポジションニングでプラスに使おうという人は
そもそも葬儀業界にこないからだと思います(^^;)
マイノリティ、マジョリティで考えると、一見は平等と捉えられる「多数決」ほど、FasciでありFascesです。
今の世の中、国公立大学と有名私大以外の殆どは「定員割れ大学」であり、大卒との価値はありません。
しかし、偏差値の高い者や良い大学の者は「目的の達成率が高い」ために自己PDCAが出来る傾向が高く、従来の「経験が全て」から脱する契機にはなります。
経営者を変えることは出来ませんが、社員を変えることは簡単であり、これが最も確実です。
ただし、定着率はどうなのでしょうか?
厚労省が始めた「ブラック狩り」でも、大卒者定着率が「踏み絵」となっています。
prof様、
>ただし、定着率はどうなのでしょうか?
他業種と同じく3年で3割がやめるという感じです。
たまに思うのですが、葬儀屋としてなるべくしてなった才能(モチベーションを含めて)のある人って
本当は需要の十分の一もないんじゃないか、と思うことがあります。
十分の九はミスマッチに目をつぶっているのかも。
3年で3割ならば、「ブラック」では無いようですね。
ある会社の社長が「我が社は大卒は雇わない」と話しており、確かに大卒者の雇用はしていませんでした。今は大卒者も雇っていますが、給与体系が学歴に反映はしていません。(基本ベースは年齢と経験)
その理由を聞くと、中卒や高卒は再就職が難しく「辞めずに我慢して働くから」と言われました。
経営者としては「安く永く使える」のも事実ですが、レベルが疑問です。
一方で学歴としては中卒ですが、積極的に大卒雇用を進めて会社を大きくした社長もいます。
結局は経営者の「人材に対する考え方次第」です。
どちらが会社にとって良いのかは難しい判断ですが、お客さんにとっては「スキルの高さ」が重要です。
厚労省の調査も大卒が条件であり、それ以下は対象外との考えも霞が関的です。(雇用者からの通報はOK)
prof様
>中卒や高卒は再就職が難しく「辞めずに我慢して働くから」と言われました。
今や、これ逆じゃないでしょうか。
「新卒」の肩書きが外れてから正社員として再度就職先を探すのは極めて困難であり
教育費というコストをかけたぶん、失職への恐怖は中卒や高卒より大きいと思います。
皆様
私のいた会社ですが、新卒は大卒~専門卒くらいまでまちまちでした。3年くらいでやめていく人も、1割くらいでした。
辞めてく理由も、ミスマッチ(冠婚やりたいけれど葬祭部門への異動を勧められた)などでした。
このあたりは、同じ企業グループで冠婚葬祭などを一括してやっている企業ゆえの問題点かもしれません。
それよりも深刻だったのが
中堅~ベテランくらいで、心身を壊したり、経営陣と意見が合わずにやめていく人が多くいたことです。
伸びてきてからやめるというのは、痛い話です。
40代後半~50代くらいの人を大量に非正規で採用し、それを若手の正社員が指示したり…。会社全体のブラック化が進んでいた状況では、やむを得なかったとは思いますが。
元間接部門様、
>3年くらいでやめていく人も、1割くらいでした。
これは優秀な方だと思います。
物理教師 様
>3年くらいでやめていく人も、1割くらいでした。
>これは優秀な方だと思います。
新卒に関しては母数が少なかった事も
あるかもしれません。グループ全体の従業員数や年齢構成を考えても、非常に少ない人数でした。
むしろ深刻なのが、現場で働く人のほとんどが非正規の中高年で、仕事内容と給与が釣り合わず不満が渦巻いていたことでした。
prof 様
>しかし、偏差値の高い者や良い大学の者は「目的の達成率が高い」ために自己PDCAが出来る傾向が高く、
>従来の「経験が全て」から脱する契機にはなります。
この部分は同意します。暗黙知の形式化とか。
>経営者を変えることは出来ませんが、社員を変えることは簡単であり、これが最も確実です。
ここは、半分だけ同意します。
従業員を変えながら会社を変えることは可能ですが、経営者がまずいとどうにもならないです。
経営者によって、会社全体のPの部分が大きく変わります。
たとえば、社長が経営的にまずいPlanを立て、従業員がこれを忠実に実行したりすると…
ピントのずれた結果が生み出されます。
このケースでは、従業員が優秀でDoやActionが力強く実施されたほうが悪影響が大きいです。
オーナー社長が多く、逆らえないとなると、なおさらです。
元間接部門様、
>現場で働く人のほとんどが非正規の中高年で、仕事内容と給与が釣り合わず
細かい状況が分からないという前提で生意気なことを申し上げますと
葬儀業界は人材の流動性の高い業界なので
本当に能力があるのなら自分を正規で雇ってくれる葬儀社に転職すればいいのに、
と思ってしまうのですが・・
物理教師 様
確かに、他で正規雇用とかもっと良い条件の会社に転職すれば…とは思うのですが、40代後半~50代、60代では年齢面で難しいのでは。
加えて、営業地域が大手数社に寡占されており、求人が少ないのかな…ということもあるかもしれません。
あと、仕出しなども内製化していましたが…この分野は・・・・。
元間接部門様、
>40代後半~50代、60代では年齢面で難しいのでは。
たしかにそうなんです。で、いかにその年齢を迎えたときにやっていけるスキルやポジション
を身につけておくか、っていうのが今現役の葬儀屋さんの課題だと思います。