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遺影放映を巡る判決理由がおかしい件




遺影放映を巡る判決があったようなのですが
判決理由がおかしいという話です。

 訴訟:遺影放送めぐる原告の訴え棄却 地裁四日市支部 /三重

事故死した青年の葬儀の出棺の様子を撮されて、遺影が放映されたことで
遺族がTV局に対し損害賠償請求をしたものの、
地裁が棄却したというもの。

 

判決自体はそんなものなのかなと思う程度ですが
(判決文を全て読んでいないものの)
判決理由がちょっと引っかかります。
テレビカメラ
遺影は出棺の際に葬儀の参列者以外にも見ることができ、被告は葬儀場の外から撮影した。
そりゃ見ることは出来るけど、
遺族は儀礼のアイテムとして(もしくは喪った故人の代替物として)遺影写真を持った上で、
火葬場に移動するための車両に乗らなければいけないので、しょうがなく外に出ているだけで
別に通行人レベルに遺影写真を見せてもいいって思っているわけじゃないですよね。

 

例えば護送車下りて警察署に入る容疑者の手錠にはモザイクかけていますよね。
あれは容疑者にとって撮られたくないもの(手錠)が移動の際どうしても見えてしまうから、
モザイクという自主規制をしているんですよね。
とすると見える状態にしているから
遺影を放映してもいいという理屈はおかしいのではないでしょうか。
原告はカメラに気付いたが撮影を制止せず、明確な拒絶を表示していない
当たり前じゃないですか。
たとえ、はらわた煮えくりかえっていても、
その青年の葬儀をもめごと無く終わらせる方を遺族は選びますよ。
もしくは家族を事故で失った遺族に、
カメラマンに突っかかっていくような余裕は無いです。

 

この裁判官、ちょっと遺族心理が分かってなさ過ぎだと思います。











4 件のコメント

  • まず、警察署で犯人の護送中に手錠にモザイクに関しては、これは送致前や
    公判前であり「未決状態」のために、あくまでも「容疑者」であり、不起訴や
    嫌疑不十分、起訴猶予の可能性が有る上に、裁判において無罪となると
    「手錠で拘束をされた者の映像は人権問題に発展するため」です。
    日本では刑事裁判の有罪率が99%ですので、起訴されて裁判となると
    実質的には99%が有罪判決ですが。

    「外から撮影」に関しては、さいたま地裁の「斎場運営差止め仮処分基準」と
    合致した部分があり、これを参考(前例)にした可能性が有ります。

    「撮影を制止せず」に関しては、「制止しなかったから容認した」との判断は
    間違いです。
    しかし、「知っていたのに何もしない=容認した」との判断は司法や行政では
    見られることが多いのも事実です。(請求権の失効も同じ)
    千葉市の「葬儀関連規制指導要綱」も、葬儀社や葬儀団体からの反対の声や
    意見がゼロであったことから、行政的には「葬儀社や葬儀団体、関連企業は
    容認した」と判断をします。(反対意見を一杯出せと言っていたのに!!)
    その意味では、この裁判官は「状況よりも判例重視」なのでしょう。

  • prof様
    話はすこしずれるんですが、手錠モザイクの件、
    これが自主規制されるんなら逮捕時の実名報道もやめるべきなのに
    と思ってしまうんですよね。

    これから葬儀屋さんもマスコミが取り巻いている状況では
    遺影写真を持たせないという「配慮」が必要なのかもしれません。

  • 「容疑者」というのはマスコミ用語で、正しくは「被疑者」です。
    「未決状態」は「未決勾留期間」です。逮捕状して拘束できるのは
    原則48時間以内です。その間に検察官に送致します。
    こに云う判例は「下級審裁判例」なので、「裁判例」が妥当です。

    刑事捜査は第一次的捜査が司法警察職員(刑訴189条)であり、二次的
    捜査を検察官(刑訴191)が担います。

    しかし、この嫌疑不十分は法的用語ではありません。
    正確には、刑法(一般法の刑法、特別刑法)にいう構成要件該当性があり、
    正当性(違法性阻却事由)がなく、責任能力があり、可罰性があるときに
    起訴の対象になります。しかし、起訴要件を具備していても、
    「国家訴追主義」に基づき検察官が裁量により起訴しないこと起訴猶予と
    云います。これは本体的には犯罪が成立するものに、検察官が訴追の不必要を
    認めるもの(刑訴248)です。起訴便宜主義。

    私が研究していたころは起訴便宜による不起訴(起訴猶予を含む)は全体の
    約70%程度が不起訴でした。

    もっと突っ込めば、全犯罪の10%しか露呈せず、残りの90%は闇の中。
    10%の犯罪のうち起訴されるのは30%なので、全体の3%しか起訴されません。

    その3%の中の0.8%は無罪になるので・・・
    たまに刑事裁判にいきますが、有罪でも執行猶予が付く傾向にあります。
    一番驚いたのは妻をロープで絞殺した男ですが、妻が「殺してくれ」といったので、嘱託殺人で執行猶予が5年で、その場で釈放されました。

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