私は、NHKで「お葬式のマナー」を解説したこともある、ファッションと葬儀マナーにくわしい葬儀屋さんです。
「ファッションセンターしまむら」で、お葬式に着ていける服(ブラックフォーマル)を見つけたので、解説します。
目次
結論:女性(レディース)も男性(メンズ)も全てそろう
まず結論です。
女性も男性もお葬式の服とアイテムが全てそろいます。
(かつて男性用のスーツ・靴・かばんは扱っていませんでしたが、2023年になってから取り扱うようになりました。)
女性がお葬式で身につける、アンサンブル(ジャケット+ワンピース)・パンプス・ストッキング・かばん・ハンカチ・装飾品・コートは、すべて、しまむらにあります。
男性がお葬式で身につける、
上下黒のスーツ・黒いビジネスシューズ・黒いカバン・白いシャツ・黒いネクタイ・黒いベルト・黒い靴下
もすべてしまむらにあります。
ただし、後で述べますが、スーツのクオリティは微妙です。
またユニクロと異なり、自社で製造していないので、アイテムの供給が安定していません。
買いに行く前に、電話で在庫を確認することをおすすめします。
喪服 礼服 一覧
アイテムと価格を一覧にまとめました。
(2023年1月現在の税込み価格。値引きされていることもあります。)
<レディース 喪服一覧>
- アンサンブル(ジャケット+ワンピース) 8,800円
- パンツスーツ 7,370円
- パンプス(黒) 1,790円
- ストッキング(黒)649円
- かばん 1,790円
- ハンカチ 390円
- 装飾品(ネックレス)790円
- テーラードコート 2,970円
<メンズ 礼服一覧>
- 上下黒のスーツ
×取扱い無し→ジャケット4,070円 パンツ1,969円 - 黒いビジネスシューズ
×取扱い無し→3,520円 - 黒いカバン
×取扱い無し→4,070円~5,170円 - 黒いネクタイ 1,790円
- 白いシャツ 990円~
- 黒いベルト 890円~
- 黒い靴下 390円~
しまむらにない場合の選択肢はユニクロ・GU・Amazon
現時点(2023年4月)で、ユニクロやGUではアンサンブルを扱っていないので、しまむらにアンサンブルがあるのは助かります。
- 特に女性の方で
- 2日以上余裕があって
- しまむらが近所にあって
- 安く手に入れたい
という状況であれば「しまむら」は選択肢に入ると思います。
なぜ「2日以上余裕があって」という条件にしたかというと
「サイズが無い」というリスクがあるので、当日必要な状況でサイズが無いと詰んでしまうからです。
しまむらにもし合う服がなかった場合は、Amazonプライムがおすすめです。
翌日自宅に届くので何着か注文して合わなかった服は、全て無料で返品できます。
Amazon レディースブラックフォーマル の 売れ筋ランキング
↓くわしくはこちらの記事を参考にしてください。
しまむらの女性用(レディース)のお葬式の服
さきほど申し上げたように、女性がお葬式で身につける、アンサンブル・パンプス・ストッキング・かばん・ハンカチ・装飾品は、すべて、しまむらにあります。
アンサンブル
レディースのお葬式の服は、いわゆるブラックフォーマルの区画があり、
アンサンブルとツーピーススーツが売られています。

こちらは8,800円のアンサンブル(ワンピース+ジャケット)


こちらは7,370円のツーピース(ジャケット+パンツ)です。

こちらも同じく7,370円。季節を考慮した夏向けの、少し薄手のアンサンブル。
夏はアンサンブルのジャケットを脱いで参列すればいい、とお考えの方がいるかもしれませんが、それはマナー違反です。
素材
素材は全てポリエステル製です。しまむらに限らず、レディースのアンサンブルはほとんどポリエステル製だと思ってください。
デザイン
これまで紹介したように、デザインのバリーエーションは3種類くらいしかありません。
オーソドックスなデザインなので、年齢問わず着ることができますが、しまむらの購買層を考えると、40代や50代をメインターゲットにしていると思われます。
サイズ
サイズは結構幅広くそろえられています。
9号/11号/13号/15号/17号/19号/21号/23号という具合に、かなり大きいサイズもあります。
ただし同じデザインでも、特定のサイズの在庫を切らせていることが、しまむらの場合良くあります。
値段
値段に関してAmazonのアンサンブルの売れ筋が1万円くらいなので、しまむらの8,800~7,370円はちょっとだけ安い、という印象です。
7,370円のツーピースに対しては、化学繊維素材だからこんなものかなと最初は思ったのですが、
よく見るとさらにロングスカートも付いた、3点セットでした。
つまりパンツスーツにしてもよいですし、スカートを合わせたスリーピーススタイル(スカート+ジャケット+ブラウス)としても着られます。
それを考えると確かに、安いです。
ただしスーツスタイルの場合は、インナーの黒いブラウスが必要です。アンサンブルの場合は、不要です。

ちなみにGUでは、お葬式にふさわしい女性用の服は売られていません。
ユニクロではツーピーススーツ(ジャケット+パンツorスカート)は売られていますが、アンサンブルは売られていません。
くわしくは、↓こちらの記事をどうぞ。
ユニクロで販売されているレディースのブラックスーツの解説| 考える葬儀屋さんのブログ
ユニクロやGUに無いとすると店舗での購入の選択肢は、イオンか洋服の青山など紳士服量販店の割高な商品が中心になってしまいがち。こんなふうにどこで買うか迷ったときに
しまむらで、アンサンブルが安く販売されているのはポイント高いです。
パンプス
しまむらには、お葬式にふさわしいパンプスも販売されています。
デザイン

このつま先がポインテッド(すこし尖っている)タイプは1,790円です。もちろん本革ではなく合皮ですが、ヒールの高すぎないフォーマルなデザインです。

つまさきがスクエアっぽいのも同じく1,790円です。
どちらも自分の足に合うのであれば、ポインテッドの方が、よりフォーマルなので、おすすめです。
機能性
機能的には以下の4つが、アピールポイントです。
- 制菌消臭加工
- 防水
- 防汚(撥水加工で汚れが付きにくい)
- アーチクッション(地面からの衝撃を吸収する)
ヒールの高さ
ヒールの高さは3.5㎝のものと、5.0㎝のものがあります。
どちらもお葬式の靴のヒールの目安は3~5㎝なので、どちらも許容範囲です。
サイズ
サイズは22.5㎝から0.5㎝きざみで取りそろえています。アイテムによっては26㎝まであるので、足の大きい人も助かります。
もしサイズが合わなかったら、GUもしくはAmazonでの購入を検討してください。
かばん・ストッキング・ハンカチ・装飾品

かばん・ストッキング・ハンカチ・装飾品も販売されています。
カバンは1,790円で2種類のみ。
化学繊維で、安っぽいと感じられる方もいるかとは思いますが、「お葬式で革製品を身にまとってはいけない」という誤ったマナーが広まってしまったため、レディースのお葬式のカバンは、化学繊維の安っぽいものが主流になっています。
ハンカチもフォーマル用として黒と白がそれぞれ490円と390円として売られています。ただし普通の黒か白のハンカチを持っているなら、あえて買い足す必要はありません。素材が何かも問われません。
ストッキングは黒であれば、なんでも良いです。たまに「デニールはこれくらいまで」とか言うマナー講師がいますが、実際の葬儀現場でそんなことを気にしている人はいません。
真珠を模したネックレスが790円で売られていますが、これはやめた方がいいです。そもそもネックレスは、お葬式のマナーとして付けなくても良いものです。おもちゃ的なものを身につけてしまうのは、むしろマイナスです。
コート

コートは2,970円という価格からも分かるとおり、ウールっぽく見せたポリエステル100%素材です。
デザインも、フォーマルなチェスターコートタイプとはいえ、ショートタイプのボックスシルエット。お葬式に着て行くにはチープでカジュアルであることは、いなめません。
ではなぜすすめているかというと、お葬式のコートはマナー上、葬儀式場の入口で脱いだ後、参列して外に出るまで、小脇に抱えているからです。
つまり、安っぽいものでも、バレにくいのです。
とはいえ、GUではもう少し高品質なコートを販売しているので、5,990円まで出せるのであれば、GUで購入することをおすすめします。
女性のお葬式の服装について、基本からくわしく知りたい方は↓こちらの記事を参考にしてください。
しまむらの男性用(メンズ)のお葬式の服
冒頭で申し上げたように、2023年から上下黒のスーツ(略礼服)・黒いビジネスシューズ・黒いカバンの取り扱いを始めたため
白いシャツ・黒いベルト・黒い靴下とあわせて男性がお葬式で身につけるアイテムがすべてそろうようになりました。
ただしこれから説明しますが、スーツのみ微妙です。
スーツ(略礼服)は微妙です
しまむらが扱い出した黒いスーツ、ジャケット4,070円 パンツ1,969円で上下合計で6,039円という破格の安さからもわかるように
品質はよくありません。


素材は帝人フロンティアが開発したSOLOTEXというポリエステル100%の素材です。
収縮したり洗濯機で洗えたりと機能性は高いのですが、テカテカしていかにも化学繊維という素材感です。
これを休日にカジュアルウェアとして着るのなら、別に問題はないのです。
しかしお葬式にあまりにも安っぽい服を着ていくのは、マナー違反であり、故人や遺族に失礼になります。
そのためほとんどの男性が、ある程度のお金を出してウール100%素材のスーツを着ていくのです。
最近は技術力の工場でポリエステルでもそこそこの素材に見えるようになりましたが、このしまむらのスーツはその域に達していません。

実際に着てみました。
製造は中国製、ドロップ(ウエストの絞り)がほとんどなく、肩周りのフィット感もありません。
4,070円という価格を考えるとよくがんばっているとは思うのですが、ユニクロの17,900円のジャケットと比べるとまったく比較になりません。
よほどのことがない限り、おすすめしません。
予算が25,000円ほどあって、10日ほど日程に余裕があるなら、ユニクロがおすすめです。
どうしても予算が1万円以下という場合は、まだGUかAmazon(メンズフォーマル売れ筋ランキング)での購入をおすすめします。
靴
お葬式の靴と言えば、黒の内羽根のストレートチップです。
↑こんな靴です。
しまむらでも、黒い内羽根ストレートチップが販売されるようになりました。
税込みで3,520円です。
この価格なので、当然本革ではなく、合皮(布地に合成樹脂を塗って革に似せたもの)です。
本革に比べて、不自然な光沢感が安っぽいです。
予算がなくて、実際に履いてみてこの靴が合うなら購入してもかまわないのですが
GUが本革で3,990円のストレートチップを販売しています。
ステッチの正確さなど、クオリティはGUの方が圧倒的に上です。
GUに行く時間があるならGUでの購入をおすすめします。
かばん
お葬式にふさわしい、黒の落ち着いたデザインのビジネスバッグも販売されています。
こちらは4,070円(税込)です。

こちらは、少し高級感のある5,170円のもの。
お葬式のためだけに購入するのであれば迷う方もいるかと思いますが、サラリーマンの方であれば日常使いできます。
GUではお葬式にふさわしいかばんは、あつかっていません。
ユニクロにもブリーフケースは3,990円で売っているのですが安っぽいので、しまむらで買うのもアリだと思います。
白いシャツは豊富にあります
一方白いシャツは豊富にあります。


ネックサイズと裄丈(首の付け根からソデまでの長さ)で選んでください。
ただしボタンダウンのエリと、オックスフォードの素材は避けましょう。
くわしくは↓こちらの記事を参考にしてください。
ネクタイ
お葬式用の黒いネクタイも1,790円で販売されています。
ちなみにユニクロのネクタイは1,990円で、品質はユニクロのほうが上です。
しかし、しまむらのネクタイも一応シルク100%なので、品質に問題があるわけではないです。
ベルト
紳士用の黒ベルトが売られています。

値段は800円~1,500円くらいです。
色は当然黒で、ステッチが目立たず、表面がスムースだが光沢のないものを、できるだけ選びましょう。
靴下
お葬式用の靴下も売られています。

お葬式の靴下は、式中足を組んで座ってしまってもスネが見えないように長いものが好ましいです。
GUやユニクロに比べて、しまむらの靴下は長めで素材が薄いので、よりフォーマルな作りになっています。
しまむらの子供用のお葬式の服は、期待しない方がいい
中高生なら制服で済ますとして、小学生向けのお葬式の服を求めた場合、しまむらのアイテムは微妙です。
いわゆるフォーマルなアイテムはありません。
例えば、
男の子の場合、色は黒か紺でジャケットとパンツのセット、
女の子の場合は白いブラウス+黒か紺のスカート
というお手本のような組み合わせは扱っていません。
扱っているアイテムの中で、次善の策としては
男の子・・・黒か紺かグレーのカーディガンとパンツ+白シャツ
女の子・・・黒か紺かグレーのカーディガンとスカート+白シャツ
という組み合わせでしょう。 夏場なら白か黒のポロシャツも、子供の場合アリです。
ただこれらも常時在庫があるかというと、まったく保証ができないのです。
↓こちらの記事を参考に、ユニクロかAmazonを当たった方がよいでしょう。
良いところ
ではしまむらのお葬式の服の良いところ・悪いところを解説していきます。
まずは良いところから。
すぐ手に入る
お葬式の服は、急に必要になることが多く、実店舗が近所にあれば、すぐに手に入ります。
その場で試着できる
実際に実物を手に取って、試着できるのは助かります。
値段は安い
お葬式の服は、すぐ必要になって買い求める人が多いです。そのため紳士服量販店は、ネットでの販売価格より、店舗での販売価格を約2倍ほどに設定しています。
男性の礼服も、女性のアンサンブルも4万円位します。
それを考えるとしまむらは割安です。もちろんクオリティの差はあるでしょうが、女性のアンサンブルはほとんど化学繊維でできています。縫製の差はあっても、素材の差はそれほどないでしょう。
悪いところ
次に悪いところです。
ラインナップが安定しない
ラインアップが安定しないというのが、しまむらの最大の弱点でしょう。
ユニクロは、SPA(自社でデザイン・製造して販売する)という形態で、シリーズ化した定番商品を、豊富な品ぞろえで、長期的に販売しています。
一方しまむらは、自分達でデザイン・製造は行わず、アパレルメーカーから仕入れて販売しています。
そのため雑多なラインアップです。今回紹介した商品が継続的に販売されるかどうか分かりません。
大きめサイズもありますが、全サイズをそろえているわけではなく、欠けているサイズもありました。
今回紹介したアイテムも、売り切れや、店舗によっては最初から扱っていない、ということもありそうです。
カバンなどは持ち主の体型は問わず購入できるので、事前に在庫確認してから訪問したほうが良いかもしれません。
不適切なデザインも混じっている
ブラックフォーマルコーナーには、エリに拝絹(はいけん)のような光沢のある異素材を使っているジャケットも販売されています。これは入学式や卒業式ならいいのですが、お葬式には向かない華美なデザインなので、選ばないようにしましょう。
それから先ほど紹介した7,370円のスカートとパンツが両方付いているタイプですが、妻に試着してもらいました。
スカートのときはいいのですが、パンツのときはジャケットのバランスがあまり良くありません。
スカートでもパンツでも合う、ジャケットの着丈バランスを取るのは、実際難しいようです。
近所にない
しまむらは郊外にあることが多いので、「近所にユニクロはあるがしまむらはない」という方も多いでしょう。
品質は普通
品質は普通です。
たとえばアンサンブルの場合、日本で流通しているのは、ほとんどポリエステル製です。そのため素材の良し悪しに関しては、どこで買っても素材感ではそれほど差が付きません。
あとは縫製がしっかりしているかと、シルエットが自分に合っているかが、ポイントです。
縫製に関してはパッと見、判断がつきませんが、ユニクロほどではないにしろ、一定の水準はクリアしている印象です。
しまむらのオンラインショップは使えない
しまむらにもオンラインショプはあり、一部ブラックフォーマルの取扱いがあります。
ただし
- ゆうパック使用で送料550円以上かかる
- 到着まで1週間前後かかる
- 返品は14日以内で送料自己負担
ということで他のネットショップに比べて使い勝手が悪すぎます。
やはり店舗での購入が前提ということなのでしょう。
以上、しまむらで販売されているお葬式の服の解説でした。
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