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スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由




以前
女性のお葬式の服装(喪服)について葬儀屋さんが解説します | 考える葬儀屋さんのブログ
という記事を書いたところ多くのアクセスをいただきました。

さらに先日、妻の喪服(アンサンブル)を購入したので、その体験談です。(記事内容は2019年当時のものですが、現在も状況はほぼ同じです。)

妻と一緒にスーツ量販店で喪服を探してみた

私は葬儀屋さんという職業柄、葬儀の服装に関して詳しい知識を持っています。
しかし女性の葬儀の服を、男性の私は実際に購入したことはなかったのですが、先日妻の喪服が必要になり一緒に買いに行くことになりました。

ちなみに妻は30代後半で、それまで二回しかお葬式に参列した経験はありません。
その際はユニクロで買ったブラックのパンツスーツを着用していました。
今回身内が亡くなったので、年齢的なこともありちゃんとした葬儀用のアンサンブル(ワンピース+ジャケット)を購入することにしたのです。

アンサンブルを購入する時の選択肢として、

  • インターネットで購入する
  • 近くの店舗(紳士服量販店)で購入する

という方法があります。

この記事(アンサンブルはAmazonで購入するのがおすすめ)でも述べたように、当初インターネットでの購入が本命でした。
しかし徒歩圏内に、スーツカンパニーと洋服の青山とAOKIがあったので
試しにそちらも訪問してみました。

スーツ量販店のカラクリ

スーツ量販店を回った結論は以下の通り。

  • 売れ筋商品のクオリティは、ネットだろうとスーツ量販店のだろうと大きな違いはない。(素材はポリエステルで、縫製はほぼ海外)
  • スーツ量販店の若い人向けの商品は、ネットと同程度の価格設定が行われている
  • スーツ量販店のお年を召した方用の商品は割高。ただし同じ商品がAmazonや自社のWEBサイトで販売されるときは割引されていることが多い

この背景はつまりこういうことです。

20代~30代女性は実店舗の商品と、Amazonなどのネットの商品と比較します。
そのため若い人向けのデザインのアンサンブルは、店舗販売とはいえ、ネットとの価格競争力を持たせるため低めに設定されています。

しかし40代以上の世代はネットリテラシー低めなので、実店舗の商品と、AmazonやWEBサイトの商品とを比較しません。
さらに訃報は急に入るため時間が無い状況で、商品比較もそこそこに、あわてて買っていきます。
その結果、価格設定が高め(高利益設定)でも売れる、という構造なのです。

↑例えばこれは、セレクトショップのユナイテッドアローズのサイトで販売されているブラックフォーマルです。
ポリエステルより高級な化学繊維トリアセテートを多く使っていて、さらに日本で製造されていて、さらにユナイテッドアローズブランドにもかかわらず、3万円です。
スーツ量販店のアンサンブルの、ポリエステル+海外縫製で定価4万円~というのがいかに割高かお分かり頂けると思います。

この仕組みをずるい、と受け取る人もいるかもしれません。
しかし高い値段で買ってくれる人がいるなら高い値段で売るのは商売として当たり前とも言えます。

良いものを安く買いたいなら、賢い消費者として行動しましょうということです。

さて、妻はデザイン的にジャケットがノーカラーのタイプを好みます。
現時点ではスーツ量販店の中では、AOKIの商品(4万円を半額にすると言われたもの)が最有力候補です。

この時点で、Amazonで一番良さそうなものを取り寄せて、AOKIの方が良かったら、Amazonを返品してAOKIのを買おうと言うことになりました。

次の記事
Amazonでおすすめの喪服(アンサンブル)を買いました | 考える葬儀屋さんのブログ
に続きます。

以下は、各店舗を回ったレポートです。

参考までに2022年時点での、国内紳士服ビッグ4と呼ばれる企業のデータを掲載しておきます。

売上
順位
企業名 売上高
(億円)
店舗数 若者向けブランド
1 青山商事 1,659 704 スーツスクエア
(旧THE SUIT COMPANY)
47店舗
2 AOKIホールディングス 1,549 504 ORIHICA
106店舗
3 コナカ 631 251 SUIT SELECT
197店舗
4 はるやまHD 366 155 P.S.FA
102店舗

 

洋服の青山の喪服(アンサンブル)

まずは国内最大手「洋服の青山」です。

洋服の青山 レディース フォーマル

一番安いもので3万円のラインが一つ、店舗の中心価格帯は4万円から6万円のものでした。
4万円のラインで一つだけセール品で半額になっていました。
Amazonなどのインターネットの相場(1~2万円)に比べて高めの価格設定です。

6万円のアンサンブルは、米沢織という特殊な織り方がセールスポイントとのことです。しかしそもそも素材は安価な化学繊維のポリエステルですし、お葬式の服装にそこまで凝る必要はないと思います。

スーツスクエア(旧スーツカンパニー)の喪服(アンサンブル)

スーツスクエア(旧スーツカンパニー)の親会社は、洋服の青山です。
若者向けの別ブランドという扱いです。

スーツスクエア レディース フォーマル

店舗のアンサンブルは15,000円のものが中心でした。
Amazonなどのインターネットで販売されているアンサンブルとほぼ同じ値段です。
価格と品質のバランスは取れていると感じました。

ただ、妻曰く、デザインが20代向けで30代後半にはちょっと厳しい、とのこと。

確かにタイトなシルエットやジャケットの丈の短さ、リボンの装飾などは若い人向けだと感じました。
同じ20代中心が顧客ターゲットのスーツ量販店のORIHICAや、スーツセレクトの店舗でも同じ状況のようです

AOKIの喪服(アンサンブル)

青山に次いで国内二番目の売上をほこるAOKIです。

AOKI レディースフォーマル(礼服)のページ

こちらも同じく、洋服の青山と同じで中心価格帯は4万円から6万円のものでした
タレントやファッション誌のモデルをイメージキャラに使っているのが特徴です。
タレント起用は広告費がかかってコストに反映されるので、よろしくないと私は思ってしまうのですが・・・

ちなみに素材は日本製であることをアピールしています。しかしウールではなくポリエステルなのであんまり国産アピールは意味がないと思います。
縫製が日本なら品質に見合ったコストがかかっていると感じますが、縫製はベトナム製でした。
とはいっても最近衣料の生産拠点はバングラデシュやベトナムなど海外であることが普通で、昔と違ってクオリティは安定しているので、特にマイナス要素ではありません。

いろいろ迷っていたら、店員さんから「よろしければこちらの商品半額で構いませんよ」と言われました。
いやいや、そのどんぶり勘定は、いいのかっていう・・・

イトーヨーカドーの喪服(アンサンブル)

たまたま赤羽に用事があったので、駅前のイトーヨーカドーにも寄ってみました。
正直イトーヨーカドーのイメージから安いものが揃っているという予想だったのですが、見事に裏切られました。
やはり中心価格帯は他の量販店と同じように4万円から6万円と高額だったのです。

おそらくこの金額でも買う人がいるから、この値付けなのでしょう。

余談ですが、特徴的なのは店員さんのコミュニケーション能力でした。
土地柄なのか客層がそうなのか、グイグイ距離感を詰めてくる感じです。
明日からバーゲンが始まるので、明日以降の購入を勧めるのはすごく良心的だと思いました。
しかしそれでも基本設定価格が高いので、5万円のものを2割引にしてもらっても4万円であることを考えると、それほどお得感もありません。

以上各店舗を回ったレポートでした。

次の記事
Amazonでおすすめの喪服(アンサンブル)を買いました | 考える葬儀屋さんのブログ
に続きます。











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