事前にお葬式の服を買いそろえておく人はまれで、参列しなきゃいけないという状況になってから購入する方が多いのではないでしょうか。
そんなお急ぎの方を対象に、葬祭マナーにくわしい葬儀屋さんがお葬式の服の買い方をアドバイスします。
- 性別(男性・・・ブラックスーツか、女性・・・アンサンブルもしくはパンツスーツか)
- 緊急度(今日必要か、明日必要か、5日ほど余裕があるか)
- 予算(1万円くらいか、3万円くらいか)
により選択肢が異なります。
男性の場合
男性の場合
- 黒いスーツ
- 黒いネクタイ
- 白いシャツ
- 黒い靴
が必要です。
黒いスーツ
この中で一番やっかいなのは黒いスーツです。
なぜなら以下の3つの理由のためです。
- 着る人の体型に合わせてサイズが異なる
- 試着が必要
- お直しの時間が必要
そこで緊急度と予算に合わせて選択肢の一覧表を作ってみました。
5日以上の余裕がある | 4日~1日の余裕ならある | 今日必要 | |
予算3万円位 | ①ユニクロ (解説記事:ユニクロにお葬式の服を買いに行ってみた ) |
③Amazonでウール製のスーツを買う (解説記事:Amazonでおすすめのお葬式の服を買いました(男性編)) |
⑤紳士服量販店(青山・AOKIなど) (解説記事:スーツ量販店での喪服の購入をおすすめしない理由 ) |
予算約1万円位 | ②GU (解説記事:GUにお葬式の服(礼服・喪服)を買いにいってみた) |
④Amazonで化学繊維の服を買う (解説記事:Amazonでおすすめのお葬式の服を買いました(男性編)) |
⑥レンタル・・・近所に貸衣装屋さんか葬儀屋さんがないか調べてレンタルを依頼 |
①ユニクロ
最近の都市部では、亡くなってからお通夜まで5日間ほど猶予があるケースも見られます。
もしお葬式まで5日あるようでしたら、ユニクロのセミオーダーをおすすめします。
理由は、高品質のウールのセットアップスーツがセミオーダーで上下23,890円(税込、2021年11月現在)という金額で手に入るからです。
コストパフォーマンスを考えるとこれ以上の選択肢はありません。
(解説記事:メンズのお葬式の服(礼服・喪服)はユニクロがおすすめ! | 考える葬儀屋さんのブログ)
ただしセミオーダーのジャケットは申込から納品まで最短で3日ほどかかるので、余裕を持って5日はみておいた方が良いでしょう。
購入方法はこの記事(ユニクロにお葬式の服を買いに行ってみた )をお読みください。
ちなみにセミオーダーではなく、サイズを絞って最初から既製服として売られているのも存在します。
しかし取扱店舗が極めて限られているのと、品揃えが少ないので、当てにするのは危険です。
この既製服バージョンは、ネットでも購入可能です。
ストレッチウールジャケットの黒 (14,900円+補正料2,000円)
と
ストレッチウールスリムフィットパンツ (6,990円)
しかしデメリットとしては、スーツはサイジングが厳密なため、限られたサイズでは、補正無しで最初からぴったり合う確率が低いことがリスクとして挙げられます。
それにAmazonほど配送システムが整備されているわけではないので、到着まで数日かかることも多いです。
そうであれば、せっかくセミオーダーの仕組みがあるのに、既製服を買うのはもったいない気がします。
よってユニクロの既製服は、おすすめしません。
②GU
予算が1万円の場合は、ユニクロより品質は劣りますがGUを試してみてください。
上下7,480円(税込)で購入できます。
(解説記事:GUにお葬式の服(礼服・喪服)を買いにいってみた)

ただし既製服なので、ユニクロと比べてサイズのバリエーションは多くありません。
運良くピッタリなら当日購入可能なのですが、サイズのバリエーションが限定的で、体型に合わない可能性があります。
そのため日程に余裕がある場合の選択肢としました。
もし自分の体型に合わなければ
予算アップして①ユニクロにするか、④Amazonに進んでください。
③Amazon・・・ウール製
時間はそれほど無いが、予算が2万円ほどある場合、AmazonPrime、もしくはPrime Try Before You Buyを利用して合いそうなサイズの黒いスーツを何点か、自宅に取り寄せましょう。
合わなかったのは返品してください。送料、返品の送料ともに無料であることがほとんどです。
(解説記事:Amazonでおすすめのお葬式の服を買いました(男性編))
2万円くらいで、ウール製のスーツが手に入ります。
④Amazon・・・化学繊維
方法は③と同じで、1万円くらいの黒いスーツを購入してください。
1万円では素材ウールではなく、化学繊維ですが、そこは割り切ってください。
(解説記事:Amazonでおすすめのお葬式の服を買いました(男性編))
⑤紳士服量販店(青山・スーツカンパニー)
紳士服量販店(青山とかAOKIとか)の略礼服は割高なので、できることなら避けたいです。
その理由はこの記事(スーツ量販店での喪服の購入をおすすめしない理由 | 考える葬儀屋さんのブログ )で書きました。
女性向けに書いた記事ですが、割高で販売されているという事情は男性も全く同じです。
ネットで販売されている他社の同品質の略礼服に比べて、約2倍の価格で売られています。
自社の同一商品の場合でさえ、自社のECサイトより、店舗の価格のほうが割高です。
なぜそんな強気の値付けがでできるのかというと、「それでも買う人がいるから」です。
紳士服量販店では、ネットで購入できない情報弱者か、今日にでもお通夜に参列しなければいけないという時間の無い人が
買わざるを得ない状況で買っています。
つまり買い手より売り手のほうが強い状態なので、強気の値付けができるのです。
そのため今日必要、という方以外にはおすすめしません。
逆に言うと今日必要な人は、店舗で買うしかないでしょう。
紳士服量販店は、サイズは豊富なので自分の体型に合うのが必ず見つかるでしょう。頼めば裾上げも数十分でやってくれます。
余談ですが青山の若者向けブランドの「スーツカンパニー」の店舗で販売されている略礼服は、スーツカンパニーのサイトで売られている同一商品と価格差が少ないです。
これは購買層が若者中心で、サイトの検索も行って価格比較を行うからでしょう。
ただし以下のデメリットがあることは理解しておきましょう。
・青山に比べて店舗が少ない
・デザインが若者向け、つまりタイト系が多い
・アイテム数が少ない
近所に、スーツカンパニーと他の紳士服量販店があるという方は、先にスーツカンパニーに立ち寄られてはいかがでしょうか。
⑥レンタル
葬儀屋さん経由、もしくは直接、貸衣装屋さんに頼んで1万円~1万5千円でレンタルを試みる方法です。
ただし貸衣装屋さんは減少しています。運良くお店を見つけても、合うサイズがすぐ用意できるとは限りません。
それに1度の使用で1万円以上かかるのはかなり割高です。避けた方が無難です。
また紳士服量販店でレンタルできないかと、お考えの方もいるかもしれません。
しかし、最大手の洋服の青山では当日の喪服のレンタルは行っていません。
モーニングのレンタルは行っていますが、モーニングは社葬で葬儀委員長が着るものです。個人のお葬式には不適切です.
また2週間前までの申込みなので、お葬式で使用するには現実的ではありません。
黒いネクタイや白いシャツ
当日必要なら、紳士服量販店か、最悪コンビニエンスストアを数店回れば売っています。
1日以上余裕があるならユニクロかAmazonでどうぞ。
(解説記事:ユニクロのシャツとネクタイ)
黒い革靴
黒い革靴は、デザインに細かいことを言わなければ、サラリーマンの方なら大体持っているでしょう。
当日購入する必要があるなら紳士服量販店か靴量販店で購入してください。
1日以上余裕があるならAmazonを使うという手もあります。
(解説記事:お葬式ではくべき靴を、靴好きの葬儀屋さんが解説します!)
女性の場合
以前女性の葬儀の服装に関して
女性のお葬式の服装(喪服)について葬儀屋さんが解説します | 考える葬儀屋さんのブログ
という記事を書きました。
事前に一読していただければ、より理解が深まります。
アンサンブル
女性のお葬式の服で最も人気があるのはアンサンブル(ワンピース+ジャケットタイプ)です。
女性の参列者の9割が着用しています。
5日以上の余裕がある | 4日~1日の余裕ならある | 今日必要 | |
予算3万円位 | ①×アンサンブルの素材はほとんど化学繊維のため、ネット相場は1~2万円くらいです。3万円クラスのものを購入するのはおすすめしません。 | ②スーツ量販店(青山・AOKIなど)で買う (解説記事:スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由 ) |
|
予算約1万円位 | ③Amazonで買う (解説記事:Amazonでおすすめの喪服(アンサンブル)を買いました ) |
④スーツ量販店(スーツカンパニーなど)で買う (解説記事:スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由 ) |
ユニクロ・GUではアンサンブルを売っていません
「ユニクロやGUでアンサンブルを売っているのでは?」と最初に考える人は多いでしょう。
残念ながらユニクロではアンサンブルは扱っていません。(2021年11月現在)
ユニクロには単品のワンピースやジャケットはあるのですが、セットアップで着ていける素材や色の組み合わせはありません。
パンツスーツ(ジャケット+パンツ)、もしくはジャケット+スカートは販売しているので、次の記事を参考にしてください。
GUでは黒のアンサンブルを扱っていますが、素材がポンチ素材(ジャージー素材よりももっとカジュアルな素材)なので、お葬式には向きません。
①3万円も出す必要がありません
男性向けの記事と合わせるために、3万円のカテゴリーを作りましたが
アンサンブルの素材はほとんど化学繊維のため、ネットの相場は1~2万円くらいです。3万円も出す必要がありません。
②スーツ量販店
ネットでは1~2万円ですが、スーツ量販店では3万円以上で売られています。
理由はこの記事
スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由
で書いたように、情報弱者か、時間の無い人が買わざるを得ない状況で買っているからです。
ただしサイズは豊富なので自分の体型に合うのが見つかるでしょう。頼めば裾上げも数十分でやってくれます。
どうしても今日必要という方にはおすすめです。
逆に言うと、今日必要というのでなければ、避けた方が無難です。
③Amazonで買う
1日以上余裕があるならAmazonで購入するのが一番確実でしょう。
くわしくはこの記事
Amazonでおすすめの喪服(アンサンブル)を買いました
を参考にしてください。
Amazon レディースブラックフォーマル の 売れ筋ランキング
④スーツ量販店(スーツカンパニーなど)
先ほど②でスーツ量販店は割高なのでおすすめしないと申し上げました。
しかし例外的にスーツカンパニー、ORIHICAやスーツセレクトなど若者向けスーツ量販店では、型落ちのセール品なら1~2万円で売られていることがあります。これは顧客層がネットと比較して買う人達のため、ネットと競争力のある価格、つまり適正な値段に設定されているからです。ちなみにお葬式の服には流行がほとんどないので、型落ちのセール品でも問題は全くありません。
デザインが20~30代向けという制約がありますが、当日必要な方で近所に店舗がある方はのぞいてみても良いでしょう。
パンツスーツ
パンツスーツ(ジャケット+パンツ)、もしくはジャケット+スカートのスタイルをお探しの方は以下の記事を参考にしてください。

5日以上の余裕がある | 4日~1日の余裕ならある | 今日必要 | |
予算3万円位 | ①ユニクロ (解説記事:ユニクロにお葬式の服を買いに行ってみた ) |
②Amazonで買う (解説記事:Amazonでおすすめの喪服(アンサンブル)を買いました ) |
③スーツ量販店で買う (解説記事:スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由 ) |
予算約1万円位 | ②Amazonで買う (解説記事:Amazonでおすすめの喪服(アンサンブル)を買いました ) |
④スーツ量販店(スーツカンパニーなど) (解説記事:スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由 ) |
①ユニクロ
もしお葬式まで5日あるようでしたら、ユニクロのセミオーダーをおすすめします。
セットアップで黒の2つボタンジャケット+パンツorスカートという組み合わせが可能です。
ユニクロオーダージャケットのページ
ユニクロのパンツのページ
ユニクロのスカートのページ
ジャケット9,990円+パンツ3,990円+パンツお直し料280円=14,080円(税込)で手に入ります。
コストパフォーマンスを考えるとこれ以上の選択肢はありません。
ただし申込から納品まで3日ほどかかるので、余裕を持って5日はみておいた方が良いでしょう。
詳しくはこちらの記事
スーツ(ツーピースorパンツスーツ)はユニクロがおすすめ
参考にしてみてください。
②Amazonで買う
①のユニクロで買うほど日程の余裕(5日間)は無いが、今日必要というわけでは無い場合は、Amazonで購入してみましょう。
AmazonPrime、もしくはPrime Try Before You Buyを利用して合いそうなサイズの黒いスーツを何点か、自宅に取り寄せましょう。
合わなかったスーツは返品してください。送料、返品の送料ともに無料であることがほとんどです。
アンサンブルと違って1万円台から3万円以上と価格帯に幅があります。
ただし、
・アンサンブルに比べてラインナップが少なく、ぴったりなサイズを見つけづらいことと
・スーツタイプで1万円台なのは品質に不安がある
ことは覚悟しておきましょう。
Amazonのブラックフォーマル レディース パンツスーツのページ
③スーツ量販店
アンサンブルの項で述べたように、割高です。
避けられるなら避けた方が無難です。
④スーツ量販店(スーツカンパニーなど)
アンサンブルの項で述べたように、若者向けスーツ量販店なら比較的安く買える可能性があります。ただし、アンサンブルに比べてアイテム数は少ないと思われます。その際は、パンツスーツにこだわらず、アンサンブルを購入する方針に、切り替えてはいかがでしょうか。
番外編:喪服レンタル
男性向けの記事でも申し上げたように、喪服のレンタルは実用的ではありません。
【LULUTI】 ブラックフォーマル(喪服・礼服)イオンのレンタル
↑こちらはイオンが運営する喪服のレンタルです。
- 購入すれば2万円程度なのに、レンタルの場合一度の使用で4950円(小物一式、税込み)と割高
- 5日前に申し込まないと行けない
というようにレンタルは割高で不便です。
おすすめしません。
また大手紳士服量販店では、お葬式の喪服のレンタルは行っていません。
洋服の青山が、紺のフォーマルスーツのレンタルを一時期行っていましたが、これはお葬式には着ていけません。
靴・シャツ・小物類
靴・シャツ・小物類は、Amazonで服を購入するならAmazonで、店舗で服を購入するなら店舗で、ついでに購入するのが良いでしょう。
以上急いで喪服や礼服が必要な場合の対処法について述べました。
お読みいただいて分かるように、できることなら時間に余裕のある状況で購入しておくのが理想的であることは、最後に強調しておきたいです。
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