男性のお葬式の服装のルールと、購入のポイントについて
くわしく解説します。
実は男性のお葬式のアイテムで、黒いスーツが最もやっかいなのです。
これからお葬式の服を購入しようとお考えの方に、お役に立てると思います。
目次
お葬式の装い
お葬式に参列する際の装いとして、男性の場合、以下の4点が必須です。
あと小物類として
- 黒いカバン
- 黒い靴下
- 黒いベルト
も用意しておきましょう。
冬場は、
も必要です。
それぞれのアイテムをクリックすると解説のページに飛びます。
このページでは、黒いスーツについて解説します。
難しいのが黒いスーツ
さて、お葬式の服の中で一番難しいのは黒いスーツです。
なぜなら以下の3つの理由のためです。
- 装いのアイテムの中で一番お金がかかる
- 裾(すそ)や袖のお直しの時間が必要なのに、急に必要になることが多く時間がない。
- 着る人の体型に合わせてサイズが異なるので、実際に試着が必要
この対策については、この後説明します。
黒いスーツでいいのか?
男性の通夜・お葬式の服装(礼服・喪服)といえば、上下黒のスーツです。
ここで、「洋服の青山」のような紳士服量販店で売っている、いわゆる略礼服はどうなの?
と思われた方、いらっしゃらないでしょうか?
もちろん紳士服量販店で略礼服を買い求めてもいいのですが、紳士服量販店の店舗販売は割高なのでおすすめしません。(スーツ量販店での喪服(アンサンブル)の購入をおすすめしない理由 – 考える葬儀屋さんのブログ)
また紳士服量販店側は、「略礼服の黒は、ビジネススーツの黒と違ってとても濃い。葬式には略礼服を!」と言うのですが、服を売りたいがためのセールストークです。気にしなくてもいいです。(略礼服とブラックスーツの「黒」は違うのか – 考える葬儀屋さんのブログ)
マナーの本によっては、
「通夜の場合、急に駆けつけるため黒のスーツが用意できなければ、グレーや紺の落ち着いた色のスーツで参列しても良い」
と書かれているものもあります。
しかし現在の都市部の葬儀は、成人男性が100人いれば99人は黒のスーツです。
かつては、亡くなった当日に通夜を行うこともあったので、黒いスーツを着ていなくても許されたのですが、現在は亡くなってから通夜まで数日空くことが多いので、準備する時間がありませんでした、という言い訳は通用しません。
そもそも一人だけ違う服装というのは、みんなと同じが安心という日本人のメンタリティ上、落ち着かないはずです。
装いのアイテムの中で一番高価
先程述べた、装いのアイテムの中で一番お金がかかる、ということについて考えます。
お葬式の服にお金をかけられない問題
お葬式の服を購入するときに問題となるのは
服の値段÷使用頻度=コストパフォーマンス
です。
基本的に略礼服は弔事(不幸ごと)と慶事(祝いごと)のときしか活躍できません。
(男性がお葬式でブラックスーツを、略礼服・礼服として扱う日本独自のルールが発生した経緯に興味のある方は、↓こちらの記事をどうぞ
日本人の葬儀の服装は間違っている? | 考える葬儀屋さんのブログ)
ブラックスーツの場合、最近の職場のドレスコードがゆるくなったのを受けて
仕事着として取り入れられ始めたとはいえ
自分の職場ではちょっと・・・という方も多いのではないでしょうか。
そうなるとやっぱり活躍するのは弔事か慶事の時だけとなります。
さらに最近の結婚式の服装はブラックスーツ一辺倒から脱却していることから
実際はもっと礼服やブラックスーツの出番は少なくなります。
礼服のレンタルサービスもありますが1回の使用につき15,000円くらいかかるので
割高です。
その結果、お葬式に着ていくブラックスーツは
できるだけ安物を購入して済ませようという方も多いと思います。
一方で品質が求められる
ただ頭が痛いのは
男性のお葬式の服装って品質の善し悪しがあらわになる
という点です。
シャツを除いて全身が黒のため、つまり色や模様という視覚要素が無いため
シルエットと服地の素材のみに目がいってしまうんですね。
さらにみんな同じ服装の人が並ぶので、比較されやすいのです。
ウエストの絞りが合っていない、着丈が短い、背中に不自然なシワが出るなどサイズが合ってなかったり、
ウールではなく化学繊維の比率が高い安い素材だったりすると、その粗(あら)がはっきりと分かってしまうのです。
そうなると値段が安くてそこそこ良い品質の服が理想ということになるのですが
そんなうまい話は無いのが世の常。
ネット上にはメンズのスーツが1万円台からあるのですが、そのクラスだとどうしても素材が化学繊維であることが多く、仕立ても含めて明らかに安っぽいものです。
お葬式という最もフォーマルな場の服装には礼節が求められるので、あまりに安っぽいものは問題です。
とはいえ、特に若い方は予算もなく、1着そろえておこうと思ったものの、どれを選んでいいのか結構困っている方も多いのではないでしょうか。
ユニクロかGUで買おう
予算を考えてコスパのいい買い方をお教えします。
お葬式までの日にちと、予算に合わせて下記で購入してください。
ユニクロ
コスパが最高なのは、ユニクロのセミオーダーのスーツです。3万円ほどかかりますが、ウール製で高級感があり、セミオーダーなのでほとんどの体型をカバーしています。
ただし制作に10日間かかるので時間に余裕が必要です。
GU
GUのスーツは化学繊維なので、ユニクロと比べると安っぽいですが、1万円以内で購入できるのは助かります。
サイズが限定されるので、特殊体型の人には向きません。
紳士服量販店は割高と申し上げましたが、スーツセレクトやスーツカンパニーなどの若い方向けの専門店は、青山やアオキに比べると割安です。近くに店舗があれば除いて見てもいいでしょう。
時間が無いときはAmazon
先程述べた時間が無い方という方は、AmazonのAmazonPrimeを利用することをおすすめします。
ユニクロやGUに比べるとコスパは落ちますが、注文すれば翌日とどくのはありがたいです。
ウール製もありますが、化学繊維のもので1万円代のものがコスパのバランスが高いです。
サイズ違いでいくつが注文し、合ったもの以外は無料で返品可能です。
正しい試着の仕方
ここからはスーツの正しい試着の仕方について、解説します。
スーツは元々サイジング(サイズ合わせ)が大切ですが、お葬式に着ていくものは特に大切です。
ジャケットの選び方
ではお店を訪れたり、商品が自宅に届いた場合の、サイズの選び方、補正の仕方です。
まずジャケットを羽織ってみてください。次に
肩→フィット→着丈→袖丈の順にチェックしてください。
袖丈は補正ができますが(厳密に言うとフィットもある程度は補正可能ですが、数週間かかる)、他の箇所がすべて自分にピッタリということはなかなかないです。フルオーダーではないので、どこかの箇所をそこそこのベレルで妥協することが、必要になってきます。
1.肩
まずサンプルを羽織って、第一ボタンを留めたら、ラペル(スーツのエリの部分)を両手で持って、肩をすくめるようにして浮かしましょう。
こうするとジャケットが体になじみます。
そして肩が合っているか見てください。
肩先が指先でぎゅっと1センチ以上つまめてしまうものはオーバーサイズです。なんとかつまむことができる、というのが適正サイズです。
全くつかめないというのは小さすぎます。おそらく腕回りもきゅうくつなはずです。
ジャケットは何をおいても肩が命です。なぜならスーツ全体の印象と着心地は肩で決まるからです。また袖丈は後で補正できますが、肩はできません。
肩だけは妥協しないでください。
2.フィット
第一ボタン(2つあるボタンの上のほう。下のボタンは通常閉めない)を閉めた状態でお腹の部分に拳をグーの状態で入れるのがちょっと厳しいぐらい、言い換えると手を開いたパーの状態では余裕で入るくらいが、現在の基準ではちょうどいいフィット感です。
どちらか迷った場合は、
・お葬式の服は中庸(平凡)が好ましい
・長い期間を空けて再度着る可能性が高く、その時は太っている可能性が高い
という理由で大きめをおすすめします。
3.着丈(きたけ)
ここからは着丈と袖丈の長さを決めていきます。
着丈は上着の丈の長さで、襟から下に降りておしりまでの長さです。
男性の場合、お尻が4分の3くらいまで隠れるかどうかが、現在の基準です。半分くらいまでしか隠れない長さは、モード系のデザインならともかく、お葬式の服としてはちょっと短いでしょう。
女性の場合は半分くらいでも、構いません。
4.袖丈(そでたけ)
袖丈は、肩から袖までの長さです。
通常のスーツの場合、適正な図り方は以下の3つ。どの方法を選んでも正解です。
- 先ほど述べた親指の先から11cmの長さ
- (サイズの合った)シャツの袖が1.5cmでる長さ
- ひげダンスのポーズ…ってお分かりになりますでしょうか。気を付けした状態で、手のひらを地面と水平にした状態です。その状態でそでが手の甲に触れるのが適正な長さ。
通常どの方法を試しても、同じ裾(すそ)の長さになるはずです。
襟
最後参考までに
ジャケットの襟(えり)についてです。
奥襟が抜けていないか、つまりシャツの襟と上着の襟の間にすきまが空きすぎていないかを確認してください。
サイジングには限界があるので、この襟の部分は妥協しても構いません。
あと背中にだきジワとつきジワというフィットしてないと出てしまうシワのチェックもしてもらいたいところです。
パンツの選び方
同素材の黒のセットアップパンツの選び方です。
パンツもサンプルからウエストサイズを決めて、それから股下をはかります。
パンツの太さ
パンツにはウエストのサイズが表示されているので、ウエストから合わせていくと思いがちですが、スーツのパンツの場合、おしりからワタリ(モモの部分)のサイズを合わせるといった方が適切でしょう。
おしりからワタリの部分は後から調整できないことが多いからです。ウエスト調整は専門のお直し屋さんに持ち込めば3000円ほどで、調整してくれます。
お葬式では座っている時間が長いため、試着したら一度イスに座ってみることをおすすめします。どうしてもイスがなければスクワットの要領で、ももが地面と水平になるまでしゃがんでみましょう。
そこでウエストがきつかったり、ももがピチピチだったりしたらサイズかフィットを変更しましょう。
パンツの長さ
ウエストとワタリが合うサイズが見つかったら、次は股下のサイズを決めましょう。
股下のレングス(長さ)は今どきだとハーフブレイクかノーブレイクです。
ノーブレークはパンツのすそが靴の甲にギリギリ触れるくらいの長さ、ハーフブレイクは完全に触れている長さです。
そのためハーフブレイクは、途中で少しクッションができるはずです。そのためハーフクッションとも呼ばれます。
お葬式の服はモード感よりもクラシック感を出したいので、男性の場合ハーフブレイクがおすすめです。女性の場合は、ノーブレイクが多いです。
丈を図るときは、面倒くさがらずにパンツにベルトを通して、いつもの位置で締めましょう。
そして靴をはいてください。
店舗の場合パンツはフィッティングルームで試着していると思いますので、店員さんを呼んで「ハーフブレイク」でと伝えましょう。
すその形状は主に2種類です。
- ダブル・・・すそを折り返した縫い方。男性は4cm幅くらい。
- シングル・・・折り返さない処理。Amazonで購入して、お直しする時間がない場合は、布を内側に折り曲げて、付属の両面テープで留める場合が多い。
お葬式の服のパンツの場合は1か2です。モーニングドレスをまねて「お葬式の服はシングルじゃないと」という人もいますが、ダブルでもかまいません。
以上で、男性のお葬式のスーツの解説を終わります。
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