かつては自分のことを生後3か月の子犬だと認識していたので、葬儀業界に関する誤った発言には全力で噛みついてはみるものの、甘噛み程度の影響力と思っていました。
しかし私に批判された漫画家の方が、著作の中で、気に病んでいると述べているのを知った時
葬儀業界周辺の狭い世界の中とはいえ、自分が成犬レベルになっていたことに気づきました。
そこで最近は、すっかり穏健派に。
ところがこの間
「昔のような狂犬ぶりが影をひそめてしまって残念です。また噛みついてほしい」
というコメントをいただいたので、(かなり意訳)
久しぶりに噛みついてみました。
「許されざる者」のクリントイーストウッドのような心境です…ってわかりづらいな(笑)
ヒドい記事の紹介
さて、本日のお客様です。
某税理士の方が、葬儀社選びについて、ダイヤモンドオンラインで熱弁をふるっていらっしゃいます。
【実体験】やばい葬儀社を見抜く3つのチェックポイント | ダイヤモンド・オンライン
葬儀業界では昔から「たいして詳しくもない奴がしたり顔で話す問題」があります。
もちろんほかの業界でも起こっている問題なのでしょうが、葬儀業界はこの傾向が顕著です。
部外者の方が葬儀業界を語るのは全然構わないし、時には気づきを得られるし、実際ちゃんと調べて立派なことを書いているライターさんも存じ上げていますが、
この記事はちょっとひどいです。
さて内容を検証していきましょう。
まず見ていただきたいのは、Googleの口コミ(中略)過去にひどい対応をした会社には容赦なくひどい書き込みがされていますので、
いや、そんなレベルのネットリテラシーでいいの?(笑)
おそらくGoogleのビジネスプロフィールのことをおっしゃっているのだと思います。
楽天トラベルのホテル評価みたいに、宿泊者しか書き込めないなら別だけど、ビジネスプロフィールの口コミなんて、利用体験無しでいくらでも書き込めますよね。
同一エリアでシェアを必死で食い合う業務形態なんだから、顧客のフリをした、いわれのない、他社の誹謗中傷が行われているのが普通なんですけど。
真に受けない方がいいですよ。
この後、筆者の実体験?が述べられています。
正式に契約を交わした後から態度が豹変しました。
葬儀には、正式な契約を交わした後に、決めなければいけないことがたくさんあります。花祭壇に使用する花、遺影、骨壺、おもてなし料理、会葬御礼の品などなど。そして、その1つ1つに値段に応じたグレードが存在します。
(中略)私の妻が「知り合いに花屋がいるので、そこで価格を抑えて手配したい」という意向を伝えました。すると、その担当者は、「え? うちで頼まない? そんな話ありますか!」と高圧的な言い方をしてきました。
このあと態度がどんどん悪くなって、筆者は不愉快な気持ちになっていったそうです。
私が不思議に思うのは、
普通は葬儀の内容を決めてから(見積書にサインをして)契約が成立するはずなのに、
契約をする→葬儀の内容を決めていく、という流れになっていること。
どんな商取引でもそうですが、自分が購入するものを確認してから契約するのは常識ですよね。ましてや筆者は税理士です。
だからたとえ担当者がクソ野郎だったとしても、通常は葬儀内容が決まるまでは猫をかぶっているはずだし、
遺族は相手の態度が気に入らなければ、契約しなければいいはず。
ここがよく分かりません。
この経験をもとに、みなさまに特に注意していただきたいチェックポイントは、冒頭にあげた3つのうちの「①契約後にオプションをつけなくても嫌な顔をしないか、②契約後に担当者が変わらないか」の2点です。
補足しておくと②は契約後に担当者が別の人に変更になるということではなく、担当者の「態度」が変わらないか、ということを述べています。
筆者の経験したことが事実なら確かにお気の毒です。
でもこれ、かなりワーストレベルの担当者に当たっています。
この人、葬儀業界には「お客様に対して嫌な顔」をする人や、「態度が豹変する」人が、大量にいると思っているのでしょう。
だから「こんな人を避けよう」というのが、葬儀社選びのアドバイスとして成立すると考えたのです。
30年前ならいざしらず、今やそんな人はとても珍しいです。
それに「嫌な顔をする人」や「態度が豹変する人」がダメなのは小学生でも分かりますよね。
天下のダイヤモンドオンラインでする話ではありません。
そもそも①と②って、葬儀社と契約後、つまり事後にしか確認できない話なので、葬儀社の選び方として全く機能していません。
現に筆者は泣き寝入りしているわけですよね。
上記以外にどんな葬儀社の選び方を勧めているかというと
「この人だったら信頼できそう」という直感を頼りに候補を選び、
いやいや、結局「直感を頼りにしろ」がアドバイスなの?
ふざけてますよね。
こういう人が出てくる背景
おそらくこの方、自分の専門である税務分野ではこんな醜態はさらしていないと思うんですよね。
この「葬儀業界に、くわしくもない奴がしたり顔で話す問題」の原因は
高齢者化にともなって、終活系の記事のニーズが増えて、書きたがる奴が増えたというのが一つ。
次に
「遺族の立場は、ほぼ全員が経験し、初回で知識と経験が急激に増えるので、自分の知識と経験がすべてだと思い込む。
一方で継続的に多回数経験するわけでもないので、その思い込みは矯正されない。」
ということでしょう。
ダニング=クルーガー効果の最初の山から先にすすまない状態です。
そして、テキトーな連中がテキトーな商売をしているという偏見があるので、テキトーなこと言ってもOKだと思っているのです。
ではなぜテキトーなことがOKかと思っているかというと、賤(いや)しい連中がやってる仕事という差別意識が根底にあるから。
だから「お客様に対して嫌な顔」をする人や、「態度が豹変する」人が、普通にいると思っているのです。
筆者が同様の態度をホテルマンから受けても、ホテル選びのポイントにはしなかったはず。
この差別意識自体に私は寛容ですが、無自覚なことに対しては批判的です。
自分にインテリジェンスがあると思っている人ほど、この罠にはまりやすいです。
↓あの大前研一先生ですら・・・
定期的に記事を更新していらっしゃるので、また葬儀系の記事を書くのでしょうか。
目が離せません。
最後に、葬儀社の本当の選び方を知りたい方には、↓私の著作をどうぞ(笑)
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