お葬式ではくべき靴を、靴好きの葬儀屋さんが解説します!




葬儀屋さんがお勧めする、男性の参列者が葬儀で履くべき靴を紹介します。
(女性の靴をお探しの方はこちらの女性の靴の記事を参考にしてください)

私は靴好きの葬儀屋さんです。
この記事(究極の葬式靴を買った話 )でも書きましたが、一足15万円の究極の葬儀靴を持っています。
そんな私が1万円程度でコストパフォーマンスの高い葬儀で履くべき靴を紹介します。

お葬式で履く靴の条件

お葬式の靴の理想の条件は以下の通り。
当然色は
靴のデザインは最もフォーマル(格式がある)であるべきなので内羽根ストレートチップが適切です。
↓こんな靴です。
内羽根ストレートチップクロケット
内羽根・・・靴紐を結ぶ革の部分が靴の内側に縫い付けられている。
ストレートチップ・・・つま先に横一線のステッチ(縫った跡)がある。

ちゃんとした葬儀屋さんは当然このドレスコード(装いのルール)に従って
お葬式の最中は常にこの黒の内羽のストレートチップをはいています。
(ちなみに最もフォーマルな靴のデザインなので、葬儀に限らず冠婚葬祭全般に使えます。)

ところが葬儀屋さんの業務は結構肉体労働なので、すぐにはきつぶしてしまいます。
そのためあまり高価な靴は普段履きができません。
とはいえ葬儀のプロとしてあまりにも安っぽい靴を履くわけにもいきません。

そんな葬儀屋さんがお勧めする、コストパフォーマンスの高いお葬式ではくべき靴をご紹介します。

かつてのマイベストの靴は生産中止に

昔から自分が愛用していたのは株式会社ジーフットが運営するAsbeeという全国展開している靴屋さんの、オリジナルの内羽ストレートチップ。
そこそこの作りで、内羽のストレートチップで1万円を切る価格帯は魅力的でした。
外羽より手間のかかる内羽で1万円を切るのはおそらくここくらいではなかったでしょうか。

このストレートチップを3足のローテーションで履き回していました。
だめになると購入するというのを繰り返していたのですが、2017年1月にAsbeeさんを訪れたときに、この靴の生産を止めてしまったことが発覚。

ショックです。

しょうがないのでABCマートやら東京靴流通センターやらチヨダやらいろんなお店を回って、Asbeeオリジナルに替わるストレートチップを探し回りました。
安いだけの商品ならいくらでもあったのですが、
幸か不幸か普通の人より靴に対する目が肥えてしまっているため、
コストパフォーマンスの観点からなかなか気に入る靴が見つかりませんでした。

安いだけの黒い紳士靴、という条件なら5千円くらいからあるのですが、
まず内羽根のものはありません。革も合皮か、加工の不十分な革だったり。

これが現在お葬式で履くべき靴

そしてやっと見つけたお葬式に履いていくべきベストの靴は
ケンフォードのストレートチップビジネスシューズ(商品番号KN08/BLACK現在はKB48AJ)です。
あのリーガルのエントリーモデル(廉価版、セカンドライン)です。

リーガルよりもコストパフォーマンス高いです。

正直申し上げて、いわゆるリーガルコーポレーションの中核ラインであるREGALの靴に対する私の評価は高くありません。
8年ほど前、2万数千円のREGALのストレートチップを買ったのですが、革が最悪でした。

私は左足のつま先の内側を、右足でこする歩き方の癖があります。
そのため左足のつま先の内側に軽くこすった跡がつきます。
ちゃんとした革なら靴クリームで磨くだけで元通りになるのですが、そのリーガルの皮革はなめしが悪かったようで、どんどん表面がはげていって1ヶ月後には無残な状態になってしまいました。
運悪く不良品に当たったのでしょうが、その悪印象はなかなかぬぐえないのです。

個人的意見ですが、価格と品質のバランスを考えると、リーガルに3万円近く出すくらいなら、あとさらに1万円出して伊勢丹やトレーディングポストなどで、世界長ユニオンなどの国産中規模靴メーカ-の靴を買った方が、コストパフォーマンスは高いと思います。

そんな考えの私ですが、このケンフォードのコストパフォーマンスは評価せざるを得ません。
1万円程度の価格でこのクオリティは他には無いと思います。

REGALとケンフォードの大きな違いは靴底の製法です。
REGALはグッドイヤーウェルトといって靴底を縫い付ける少し手間のかかる製法ですが、ケンフォードはセメンテッドといって接着剤で貼り付ける方法です。そのためケンフォードは靴底を張り替え修理するということができません。

これが価格差になっていると考えられます。

とはいえ、前述したようにREGALも革の質はそんなに良くないので、そもそも靴底をリペア(張替修理)する前に表皮がだめになると思います。だったらケンフォードの方がお得です。多少私の経験上のバイアスがかかっていますが。

おすすめするケンフォードの特長

ケンフォードの革は少し樹脂を塗っているのでしょうか、
ちょっと不自然なつま先のテカリがあります。
ただこれは高級靴好きの意見なので一般の人は気に留めないでしょう。
シルエットもバランスが取れていてきれいです。

私は現在3足買ってローテーションで履き回しています。

それから私はストレートチップの中でも商品番号KN08というタイプを購入しました。
選んだ理由は自分の足にフィットしたからです。
(注:2018年に入ってからKN08はラインナップから外れたようなので、後継アイテムKB48AJのリンクを貼っておきます)

最もフォーマルなデザインなので、冠婚葬祭やオフィスを初めとして、スーツスタイルに合わせれば、どこに履いていっても間違いの無い万能な靴です。

ケンフォードのストレートチップはウィズ(靴の幅)や
つま先の形(ラウンドトゥという丸みを帯びた形か、スクエアトゥという角張った形か)
によっていくつか種類があります。

ケンフォードのストレートチップ一覧

撥水機能や軽さなどの違いがあるものの、最終的に選ぶ基準は自分の足にフィットするか、です。
そのためウィズ(足の幅)が一番重要になるでしょう。通常E~4Eまでそろっています。
自分の足にあうものを選んでください。

靴は実際の履き心地が最も重要です。
商品の説明上、商品ページにリンクを貼っていますが
販売している店舗が近くにある方は店舗で実際に履いてから購入することをおすすめします。

店舗に行かずにケンフォードを手に入れる方法

近所にケンフォードを扱っている店舗が無くどうしても試し履きができない方は、Amazonでも購入できます。
しかしAmazonで購入する場合、自宅に送られてくる送料は無料ですが、足に合わず交換・返品するときに送料が千円近くかかります。(サイズによっては返品無料になりました。このページでサイズを選んだ時、価格の後に「返品無料」の表示が出れば、30日以内なら無料で返品できます。)

一方リーガルコーポレーションの公式通販サイトなら全ての商品が、送料だけでなく交換や返品にかかる費用も無料のようです。おそらくみなさんはAmazonの方が日頃使い慣れているでしょうから、Amazonで返品無料表示が出ないサイズを試したい場合のみ、リーガルコーポレーションの公式サイトから購入してはいかがでしょうか。(2018年10月現在)

リーガル公式通販サイト ケンフォードストレートチップ

この仕組みを利用してもよいかもしれません。

明日お通夜なのに履いていく靴がない!という方のために

あくまで緊急手段ですが、Amazonプライム会員の方なら、対象商品をAmazonで注文すれば翌日届きます。
とはいえサイズが合うかどうか分かりません。(多少きつかったりゆるかったりしても、とにかく通夜に間にあえばいいと割り切るなら構わないと思います。)
このあたりは自己責任でお願いします。

参考までAmazonの↓リンクを貼っておきます。(最初商品にAmazonプライムの表示がありませんが、足のサイズを選ぶとプライムのマークがつきます)

靴が足にフィットしているかのチェックポイント

必ず両足に履いて歩いて確認してください。なぜなら既製靴は当然左右対称に作っていますが、足の形が完全に左右対称の人はまれだからです。
(足が最もふくらむ夕方に履くのがベスト、という説があります。体質にもよるようですが)
そして下記のチェックポイントを確認してください。

  1. つま先に捨て寸(つま先の1㎝ほどの空間)があるか
  2. 足の指(特に小指)が1箇所だけ点で当たっていないか(複数の指が面で当たるのは問題ない)
  3. かかとが浮かないか
  4. くるぶしに当たらないか?
  5. 靴紐をきっちり結んだときに羽根が少し開いているか(長期間はいているとソールが沈んできます。最初から羽根が完全に閉じていると、それ以上閉まりません。そのうちグリップが弱くなります。)

以上の条件を満たしていればベストなのですが、正直注文靴でもない限り全て満たすのは難しいです。いくつかの条件は妥協する必要がでてきます。
1.の捨て寸がない場合の調整は難しいです。靴のサイズもしくは種類を変えた方が良いでしょう。
2.足の指への当たりの問題はストレッチ剤という薬品を使うという方法があります。私は他の靴(クロケット&ジョーンズ)でうまくいったことがあります。しかし成功を保証するものではないので、他にこれ以上合う靴が無い場合の最後の手段と考えてください。
3.かかとのサイズがだめならかかとの補正パッドを使います。
4.くるぶしと5.の締め付けがだめならインソール(靴敷)を使って調整します。
後述しますが、私は5.の条件がどうしても合わないので、インソールを使っています。

違和感がある方はインソールを使ってみてください

また余談ですが私の場合、足の甲が低いため、靴との間に少し隙間ができてしまいます。そのためインソール(靴敷)を入れて使っています。
インソールでお勧めはこれ。

少し高いですが、耐久性と通気性のバランスが高いと思います。
安いインソールはフリーサイズで靴の形に合わせてハサミで切ってくれ、というのが多いのですが、これは細かくサイズが分かれているのもありがたいです。
足の幅はぴったりなんだけど、ちょっと高さが、という方にはおすすめです。

お葬式にはいていく靴の靴ヒモの結び方

靴ヒモの結び方にもマナーがあるのか?と言われてしまいそうですが、
この結び方が一番フォーマル(格調高い)という話です。
違うヒモの通し方をしていたからと言って恥をかくわけではありません。
一応迷ったときは参考にしてください。

紐の通し方は「シングル」という方法が最も格調高く、お葬式にふさわしいです。
一番良いところは簡単で、手早く通せることです。
文章で説明するとややこしいのでYouTubeの動画を貼っておきます。

 

Amazonでお葬式の靴を買ってみました

さてここからは、先日Amazonでお葬式の靴を買ってみた話です。

Amazonで良さそうな靴を見つける

最近、
Amazonでコストパフォーマンスが高そうで、お葬式にはいていく条件を満たしている靴、つまり黒の内羽根のストレートチップの靴を見つけました。
価格が安かったこともありためしに購入してみました。

by カエレバ

 

私の足は、平均的な日本人とはやや異なります。幅が狭く甲が低いのです。そのためネット注文をすると、自宅で試し履き→返品を繰り返さなければいけなくなりそうで、靴のネット注文には二の足を踏んでいました。

とはいえ、
・本革で
・内羽根にもかかわらず
・5,000円を切る価格
というのは驚異的です。
外羽根に比べ内羽根の靴は値段が高くなりがちです。
本革を使うとどうしても1万円を超えるのが普通です。

そこで興味本位で購入してみて、だめだとしてもブログネタとして成立するからいいか、と考えたのです。

販売者はAmazingJPという中国の会社です。
一見Amazonのプライベートブランド商品だと勘違いしてしまいそうな社名です。
紛らわしいです。

そして注文。5日後に届きました。
受注後、中国から日本に送っているらしくそれで日にちがかかったようです。
つまりお急ぎの方にはおすすめできません。

靴の評価とはきごこち

箱から出してみるとこんな感じ。
靴縦

つま先のステッチの位置が履き口寄りにあることと
つま先がぼってりしているので、シャープというよりはカントリーテイストです。

確かに本革です。
ただしおそらく表面に樹脂コーティングを施しているらしく、このテカテカ感は逆に高級感を損ないます。
国産の1万円前後の靴にありがちな処理です。
まぁでも5,000円を切っているならしょうがないでしょう。

そして靴底はこんな感じ。
靴底

表記はありませんが、もちろんウェルト方式(靴底を本体に縫い付ける製造方法)ではなく、底を接着剤ではりつけた、それゆえ安く製造できるセメンテッド方式でしょう。
構造上ソール(靴底)の張り替えはできません。
とはいえおそらくソールを交換するまでに表革の方が先に傷んでしまうので、これは別に問題無いでしょう。

さて履いてみました。
足に合いますように。
履いた靴

ちなみに私の足のサイズは27センチほどで
平均的な日本人男性に比べて幅がせまく、甲が低く、かかとが細いです。

究極の葬式靴を買った話
↑この記事に書いたようにエドワードグリーンのチェルシーのラスト82ならCウィズになります・・・って靴好きの人にしか伝わらないと思いますが。

そんな足の形状のため、つま先のぽってり感が心配だったのですが、意外と問題なし。
捨て寸(つま先の空間)も丁度よく、幅も合っている。
甲が少し余る感じで、10万円オーバーの靴なら購入を断念するかも知れませんが
日常使いのこの価格なら許容範囲です。

ただ・・・

問題はかかとです。
これがゆるい。
歩いてみるとかかと浮いてしまいます。

↑こういうのを靴のかかとの部分の内側に貼って調整する方法があります。
しかし仕事柄、玄関先で靴を脱ぐ機会が多く、その際カッコ悪いので、できることなら使いたくない。

靴の返品の仕方

悩んだあげく返品を決意しました。
Amazonでは靴が足に合わない場合の返品を受け付けてくれます。
返品無料対象商品で無く自己都合(私の場合は足に合わない、という理由)での返品の場合、送料は自分持ちです。(返品無料表示のある商品は返品代も無料なのですが、残念ながら今回購入した靴は返品有料でした。)
佐川急便で926円でした。

ちなみに別サイズを購入という選択肢に関しては、おそらくワンサイズ下げてもかかとはそれほどタイトにならないでしょうし、おそらく捨て寸(つま先の余裕)が無くなってしまうでしょう。

というわけで購入を断念しました。
そのため耐久性に関しては未知数です。
やっぱりネットで靴を買うと、足に合わないというリスクは避けられないですよね。

結局私の足には合いませんでしたが、5,000円以下ということを考えるとコストパフォーマンスは大変高いです。
それほど身に付けるものにはこだわらないけど、いざというときのお葬式に履いていく靴くらいは準備しておきたい、という方におすすめします。

ここからは高級靴のマイベスト3です

さてここからは
個人的趣味でお葬式に履いていきたい「高級」靴ベスト3
っていう内容にしてみました。

選択基準は、当然お葬式にふさわしい色やデザイン。
次に葬儀屋さん目線ではなくて参列者目線で、
さらに靴の好きな私の目線で。
お葬式の靴の理想の条件は以下の通り。
前述したように、色は内羽根ストレートチップで有ることに加えて、艶っぽさがなくて靴自体は自己主張はしないもの。

そうなると形は
ロングノーズでもなくて、スクエアトウでもなくて、中庸なラウンドトゥ
コバはあまり張り出していないもの
となるとイタリア靴ではなくて、イギリスノーザンプトン系になりますかね。

そして価格に関しては
一生もの~ここぞっていうときの特別感を持てることができるくらいのもの。
というわけで

3位

3位はチャーチのコンサル

私は持っていないのですが、年季の入った靴好きからは高い支持を得ているようなので。
以前これをお履きになっていた喪主さんがいらっしゃって、法事の打合せでお邪魔したのに
「これいいって思った靴が足に合わないとホッとするよねー。これ以上買わなくて済むから」
という靴好きにしか理解できないあるある話を一時間ほど話し込んだ経験有り(^^;)

2位

2位クロケット&ジョーンズのコノウト

私が生まれて初めて買った5万円オーバーの靴。
10年近く活躍中。
クロケットは悪く言えば節操なくどんな靴でも作る力があるので、黒のストレートチップだけでもいろんな種類があります。
しかし流行に左右されない中庸さと価格と品質のバランスでは、これが一番かと。

1位

1位エドワードグリーンのチェルシー

クオリティや価格の面からも既製靴の頂点かなと。

個人的にいつかは手に入れたい一足です。(買ってしまいました)

「いつかは」といいつつ、この靴を緊張しながらストラスブルゴ(高級セレクトショップ)で初めて試し履きした頃って今の7割くらいの値段だったと思うのですが ・・・

あれから円高は進行しているはずだし、JMウェストンは値下げを行ったことを考えると、ちょっと日本の高級靴輸入靴市場は消費者に対してあまり誠実ではないと思うのです。

さてジョンロブのシティのシリーズが1位では?はというご意見も当然あると思うんですが

なんか、どう?高級でしょ、感が鼻につくんですよね。
(もちろん個人的な意見です。というか今回の記事の後半は全て個人的な意見なんですが)
シティはトゥをワックスで光らせないとおさまりがつかない感じが、お葬式に履いていくということを基準にするとちょっと外れるかな。

番外編

番外として国産の靴について少し。

日本の高級靴全体に言えることですが、国内の人件費は安くないものの輸入関税がかからない分コストパフォーマンスは高いです。
実用性で言えば国産が一番かも知れません。
その中でも特に私がコストパフォーマンスが高いと思うのはのはこのあたりでしょうか。

三陽山長
UNION IMPERIAL
大塚製靴

国産は作りの丁寧さはいいけど、自己主張の無さがいまいち、という評価を受けることがあるようです。
しかしお葬式に履いていく靴という観点からはむしろ好ましいと思います。

(追記)

靴にこんなにお金をかけられない、というご意見もおありかと思うのですが
(私も以前はそう思っていました)
・クラシックなデザインの靴は流行に左右されず、
・底の張り替えなどメンテナンスをしっかりやれば10年~20年は持つ
・ 靴がいいと装い全体がクラスアップする
ので他のアイテムに比べるとお得なんですよね。

(↓参考文献)