究極の葬式靴を買った話




やっちまった というか 買っちまった。

 

(以下、読者の方を置いてけぼりにしてひたすら靴について語るシリーズです。
あの・・・・途中で付いて来れなくなったらすいません。)

 

以前

お葬式に履いていきたい靴ベスト3(メンズ向け)

という記事を書きました。
私はこのランキング第2位の

クロケット&ジョーンズのコノウト

という黒のストレートチップの靴を15年近く履いていたわけですね。
別に目立つことはないのですが、ソールも2回張り替えているしそろそろへたってくるのも当然かと。

 

そこでやっぱりなんだかんだいってもこの靴はお気に入りなのでまた同じの買おうかなと思ったのですが・・・・

 

この靴を購入後、高級紳士靴ブームが到来し、さらに昨今の円安のため15年前より高級インポート靴相場は4割くらい値上がりしてるんですよね。

 

そして何よりもし同じ靴を買ってあと15年履くとするとその靴をはきつぶす頃には、
自分はサラリーマンとしてのキャリアをほとんど終えてしまっているということに気づきました。
つまり次に買うストレートチップが人生最後のストレートチップかもしれない。

苦悩の始まり

となると・・・

 

買うのか?
俺ランキング1位のアイツを・・・
前回コノウトを買うときに半年迷ったじゃないか。
というか1週間前にユニクロのブリーフを1枚買うか2枚買うかで10分悩んだお前が
チェルシーを買えるわけがない。

 

どうする?

 

そうだ、まずは試し履きしてから考えればいいじゃん。

 

というわけで気づけばやってきました日本の靴の”聖地”
伊勢丹メンズ館B1Fのあの一角。

 

とりあえずいい機会(何が?)なので
一通り高級靴の試し履きにトライ。

 

こんな時、靴好きは、靴が足に合わなければいい
と思ってしまうのです。
買わずに済むので。
お分かりいただけますかね、この気持ち。

 

さてまずジョンロブのCITYⅡに挑戦。
残念ながらボールジョイントがブカブカ。

 

これは予想通り。
私の足は縦長でウィズ(横幅)が細い。

 

同様の理由でVASSもダメ。

 

そしてついにチェルシーに挑戦。
とはいえチェルシーにもラスト(木型)がいくつか有るのです。
202というクラシックタイプのラストが自分に合わないのは
10年前にバーニーズニューヨークで試し履きをしたので知っていました。
(ちなみにその時は革製のソファに座らされ
タイトスカートの女性にひざまづかれて靴紐を結んでもらうという
私にとってはフィッティングどころではない
いたたまれないシチュエーションだった。)

 

今回試すのは202より細長のラスト82だ。

ウィズはもちろん(なにがもちろんなのか)Dの8ハーフ。

さて履いてみる。

うーん、微妙。

いやこれが数万円の靴なら十分妥協できるフィッティングだが

相手はチェルシーである。
完璧に近いものを求めてしまう。

 

ついでにJMウエストンの300の8ハーフのDウィズにも挑戦。
うーん、キツい。
これが噂のJMウエストンのタイトフィットか。
ここから伸ばしていくわけね。
しかしスクエアトゥが気に入らない。
ストレートチップはラウンドトゥじゃないと。
いや、俺ルールだけど。
てなわけで330も履いてみる。
うーん、300よりシルエットはいい。
ただソールが厚い。
ダブルソールまでは行かないが。
きっと丈夫なんだろうけどドレッシーじゃない。
(いやあくまでエドワードグリーンのチェルシーと比べると、だけど)

 

ここでふと棚の表示が目に入ってきた。
「エドワードグリーンは円安のため来月1日より値上げします」

 

何!

 

「あのー、これって・・・」
「ええ、来月から1万円値上がりするんです」

 

ああ、これでついに税込みで15年前の倍の値段になっちまうじゃないか。
15年前に買っておけば・・・
というかあのころこんな金額の靴を買うなんて夢にも思ってなかったし
そもそもあの当時82ラストなんて無かったしな・・・

 

それにしても今後の為替の動きを考えると
もう円高に振れることはないだろう。
ってことは、今後もさらに値上がりしていく、ってことだよね。

 

買うとしたら値上がり前の今しかない。
買うべきなのか・・・

 

もちろん私は衝動買いなどしない。
チキンハートの俺にできるはずもない。

 

結局熟考し続けとうとう値上げタイムリミットの
前日を迎えることになる。

 

たかが靴に、という方の意見は十分分かります。
しかし講義や役員発表など人前で話すときに、
完璧な靴を履いている、という自信がもたらす安心感を考えると
この値段もあり得るのです。
目利きができるようになって
それぞれのクオリティの違いが分かるようになってしまった、
というのも大きい。
エドワードグリーン

伊勢丹再訪

再度伊勢丹を訪問。
前回訪れた時間帯が午前中であったこともあり、
(足は歩いているうちに少し膨張するので午後のフィッティングの方がより正確)
今回は午後訪問。

 

再度エドワードグリーンのチェルシー ラスト82 Dの8ハーフ
を履いてみる。

 

うん?ちょっと捨て寸が足りない感じがする。
フロアを少し歩いてみるが、やはり捨て寸が足りない気がする。

 

ダメなのか・・・
苦悩の表情の私を見て、店員さんがこう言った。

 

「Cの9インチもありますけど」

 

何ですと!
さすがエドワードグリーン。
さすが伊勢丹。

 

おそるおそる足入れしてみる。
あのピッタリあった靴を履くときにだけ聞こえる
「シュッ」という空気漏れの音が・・・

 

「やっと逢えたね」 by 辻仁成

 

ここで店員さんに今日MIカード(三越伊勢丹グループのカード)に入会すれば
5%引きだと言われる。
ここで私の頭はフル回転。初年度年会費がタダだから一年以内に解約すればいい。

仮カードの発行か本カードの発行か問われて本カードを作ることにする。

ピンと背筋を伸ばした状態で店員さんから靴の入った紙袋を受け取って帰路につく。

「買っちまった・・・」

 

帰りの電車の中であることに気づく。
あそこで本カードを発行せずに
仮カード+普段使っているアマゾンリーダーズカードの組み合わせにしておけば
2,000円得だったのでは・・・

 

軽く凹む・・・
どこまでいっても小物の自分が情けない。

 

とにかく
新しい「一歩」を踏み出してしまった。

 

靴だけに・・・

 

ごめん、今、俺、疲れてるわ。