正しい心付けの断り方

今日は心付け(チップ)をもらうのは是か非かという話です。

葬儀屋さんの間では
心付け(チップ)をいただくのは是か非かが論じられることがあります。

心付けを要求するのは論外としても、
相手が感謝の意を表すために心付けを差し出してくれたなら
もらってもいいのではないか、
という意見もあるようです。

しかし私は絶対に心付けを受け取るべきではないと思います。

札束

心付けをもらうことを自分に許すと、次回ももらえるのではとほんの少し期待する気持ちが芽生えます。
そういう気持ちは知らず知らず澱(おり)のようにたまっていって人を卑しくすると思うのです。
卑しくなっているという自覚が無いのが一番怖い、
と思います。

自分が勤めている葬儀社も当然心付けは禁止です。
しかしたまに後輩が困った顔をして
「どうしても断れなかったんです。どうしたらいいでしょうか?」
と相談しにくることがあります。
まぁ、喪主さんにしてみたら、自分の孫くらいの子が一生懸命に葬儀の担当してくれたら、お小遣いをって言う気持ちは分からないでもないですが・・・

では、「上手な心付けの断り方」です。

ああ、その前に一番下手な断り方をお教えしましょう。
「会社で禁止されているので」
でしょう。
本心では ほとんど 「ください」と言っているのに等しい(^^;)
これは×です。

「お心遣いありがとうございます」
と御礼を言った後、私が伝えるのはこの3つ。

「お気持ちだけ頂戴してもよろしいですか。」

「いままで、一度も受け取ったことがないんです」

「こういう形ではなく、御霊前にお供えするお花を買い求めていただけると、私にとって一番うれしいのですが」

自分も似たようなこと言ってるけど、断りきれないことがあるという葬儀屋さんもいるかもしれませんね。

最も重要なポイントはですね、
1ミリの誤解も生まないような毅然とした態度と信念
ですね。
あわよくば「どうぞ」「いいえ」の数回のやりとりの上で、もらってしまったら仕方ないなという気持ちが、言っている本人に1%でもあると、それが相手に伝わって失敗します。

あと最後に御喪家へのお願い。
がんばった葬儀屋さんにはお金を与えるのではなく、
その言葉を支えにしてその担当がずっとこのキツイ仕事を続けられるような、カッコイイほめ言葉をかけてやってください。

よろしくお願いします<(_ _)>




3件のコメント

とてもためになった。自分もチップをもらうことがある業界に勤めているが、今後はこのようにしていきたいです。

家を出る前に「志」と書いた小袋数枚を遺族に示し、「幾らと幾らと幾らで包んですぐ出せるように用意しておいてください」と言い、「今、このタイミングで運転手さんに」とか「火葬場の方に」と指示を出す葬儀屋さんがいました。葬儀屋さん自身は求めたりしませんが、あれってどうなんでしょうね。

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