今回ご紹介するのはこの本
サバイバル女道
サバイバル女道 (CYZO NEW BOOKS) | |
辛酸なめ子 サイゾー 2011-10-13 |
辛酸なめ子がスキルを持つ女性に突撃取材、という内容の本です。
で、この本の中に、ある葬儀社に勤める女性社員への取材記事があります。
この記事がいろいろ問題ありまして・・・
まずは事実誤認の訂正から。
×葬祭ディレクター・・・厚生労働省認定の資格で
→厚生労働省が認定しているのは、
「葬祭ディレクターの資格」ではなく「葬祭ディレクター技能審査」
×関東地方の平均葬儀費用は313万円
→ この本の出版は2011年なんですが
なんで日本消費者協会の第7回(2003年度発表)の古いデータを使いますかね。
最新版はもう第9回(2010年度発表)なのに。
おまけに日本消費者協会の統計データ自体が精度低いですし。
関東地方の「平均」葬儀費用が313万円だったことなんか、
おそらく一度もないです。
×家族が亡くなったらすぐやらなくてはならないことは
故人の銀行口座からお金を引き出すこと。
→もういい加減、この「都市伝説」をなんとかしようよ。
あとでもめたらどうするの?
(参考記事:プレジデント「介護・葬式・墓 賢い選択50」の問題記事)
×エンバーミングに使うファンデーションやチーク
→実際エンバーミングでもファンデーションやチークを使うだろうけど
この葬儀社はエンバーミングをしていないから「エンゼルメイク」の間違いでは。
たった6ページの記事のボリュームにしては間違いが多いですね。
そもそもこの本って雑誌「サイゾー」の連載をもとにしていますから
連載当初に葬儀社側が間違いを指摘しておくべきだと思うのですが。
それから一番問題だと思うのはこれ。
この葬儀屋、遺族の承諾を得ないで、
遺体処置の現場に辛酸なめ子を同席させているのではないでしょうか。
本文から該当箇所を抜粋します。
・「ちょうど病院から故人様がいらっしゃってます」と葬儀屋さん。
・故人様とまさかのご対面
・見知らぬ女がこの場にいても良いのでしょうか
・体液止めの脱脂綿を穴という穴に詰める
・「脱脂綿詰めてみますか?」とのせっかくの申し出を断ってしまいました。
遊びじゃねぇんだ、バカ!
あっ、失礼。つい怒りが。
ダメでしょ、これ。
遺族から承諾をうける描写はもちろんありません。
そもそもこの取材を承諾する遺族がいるとはどうしても思えません。
遺族側には取材を受けるメリットはないですし
おまけに取材者は「辛酸なめ子」という方です、っていわれた日にゃ・・・ねぇ。
やっぱりこれ無許可でしょ。
この内容での掲載にOK出してるってことは、
この会社の体質がこうってことですよね。
こんなことしてるからいつまでたっても、
葬儀屋は常識がないって
世間から思われるわけですよ。
「エンバーミング」のことは、
このブログを読ませていただくようになってから知り、ネット検索で調べたりしました。
先日TVで、ヨーロッパの若い女性葬儀屋さんのことを取り上げた時に、エンバーミングのシーンがちょっとだけあった気がします。
今では「エンバーミング」と「エンゼルメイク」の違いを、素人の私も少し理解ができるようになりました。
世に本を出して売れるほどのプロの物書きさんが、私のような素人でも簡単に調べられるようなことを、よく調べずに本にするということ、そのようなものでも出版物として発行してしまう現状に、少し恐ろしさを感じます。
私たちには、情報を選択する能力、それも「上質な」情報を選ぶことのできる力が必要であり重要だと思います。
こんにちは、いつも勉強させていただいています。
記事内の「このページが冗談に思える~」から貼られているリンク先(株式会社セレモニー)のサイトなんですが、アクセスしたらカスペルスキーが「トロイの木馬を含むダウンロードを検知しました」と通達してきました。
一応http://www.unmaskparasites.com/security-report/でチェックした結果はcleanだったのですが、こちらhttp://www.aguse.jp/?url=http%3A%2F%2Fwww.ceremo.jp%2Fprivacy.htmlではマルウェア検出してきました。
後者もカスペルスキーで検出しているようで、誤検出の可能性もありますが、取り急ぎご連絡まで。
もにーさん、
コメントありがとうございます。
確かにご指摘いただいた状況のようです。
昨日までは問題なかったのですが・・・
リンクをウェブ魚拓の画面に貼りなおしました。
取り急ぎお礼申し上げます。
ありがとうございます!
Narcissuss様
> 世に本を出して売れるほどのプロの物書きさんが、私のような素人でも簡単に調べられるようなことを、よく調べずに本にするということ、そのようなものでも出版物として発行してしまう現状に、少し恐ろしさを感じます。
この業界は、このケース多いんですよ-。
できるだけ出版物には目を通して誤解を解いていきたいと思っています。
エンバーミング用具販売業者が葬儀社や湯かん業者、メイク・納棺業者に対して、かなり積極的に営業をしています。
特に「エンバーミングで使用している道具です。エンバーミングで使用している化粧品です。」が営業常とう句ですので、「エンバーミングと同じ化粧です」と言う業者もいます。
売り上げからするとエンバーミング業者6対4その他の葬儀業者ではないでしょうか?
昨年、その業者と数回ですが会いましたが、エンバーミング用の材料や化粧品を、「どんどん、エンバーミング以外の葬儀業者と医療関係者に売りたい」と言っていました。
結果としては、「売り上げが上がればよいので」。
profさま
最大手のダッヂでさえ化粧品はハンドメイドです。エンバーで使用しているから、と言うのは「使えない」常套句ですが、知らない業者には「使える」んでしょうね苦笑
用具用品からエンバーミングの認知度が上がることは良いことだとは思いますが、あれらはエンバーミングをする事前提ですし、白人用がほとんでですので…フランスのように事が起こってからの規制になるんでしょうかねえ
物理教師さまの補足
関東313万…うちはもっと頂いても良いようです(笑)
閉口ですが、一応技術として奥歯付近に詰め込んで開かないようにする事はできますが、我々有資格者でも難しいです。
体液漏れ防止に脱脂綿は効果ありません。むしろ脱脂されているものは逆効果です。
prof様、
> エンバーミング用具販売業者
エンバーミング用だけでは、採算会わないんでしょうねぇ。
エソバソマー様、
> 体液漏れ防止に脱脂綿は効果ありません。むしろ脱脂されているものは逆効果です。
青梅綿ですよね。
施設死亡が85%、在宅医療での死亡が10%とすると、95%が看護師等の看取りですので総数で100万人以上がエンゼルメイクまたはエンゼルケアを受けうる環境。(エンゼルメイクとエンゼルケアは、患者さんの死亡に際して、担当した看護師等が行う処置と定義されるため)
一方で、普通葬を0.7と仮定して、さらに「葬儀メイク」を0.8(湯かんやメイク等の年間施行数が30万人弱と考えると)と想定すると、65万人位が葬儀関係者によるメイクと考えられ、エンゼルメイクと加算すると、約170万人が潜在的市場数。
死亡者よりも多いのは、「医療現場」+「葬儀現場」の重複処置であるため。
エンバーミングは、年間で1万7千程度であり、全死亡者の2%以下で偏在、市場規模としては100分の1であり、販売業者としては「更なる大きな販路」を求めるのは至極当然。
法律もなければ資格も存在しない葬儀業界のために、「誰に何を売っても問題はない」と言わざる得ません。
prof様、
看護士さんのメイクって点数に反映されないんでしたっけ。
その割には年を追う毎にていねいになっている印象ですね。
実は、厚労省で60年ぶりに「医師法第20条の解釈通知」を出すことになりました。
また、現在は「看取り加算」を検討しており、この中にエンゼルケア処置料金(点数)を含む考えがありますが、現時点では「診療報酬(点)の対象外」です。
因みに、保険点数(診療報酬)とは患者さん(生きたヒト)に対する医療行為であり、診察、検査、処置、投薬を指し、ご遺体(死んだヒト)に対する行為(病理解剖やエンゼルケア)は含まれません。
しかし、患者さんの死に際する退院のための処置(エンゼルケア)はターミナル・ケアの一環であり、尚且つ継続した処置との考え方が中央でも主流となり、終末期医療の一部との認識が増えました。
医療の一部、看護の一部、医療者の責務との考え方が多くなり、「医師法第20条問題と看取り加算」が追い風となり、更なるレベル・アップが進みます。
ここまで来るのに15年程を要しましたが、スキルはまだまだ上がります。
物理教師さま
よくご存じで!さすがです。
(少なくとも実際のエンバーミングでは詰めなく漏れない処置をしますが)青海綿は若干硬いので鼻に詰める際は皮膚が剥けないようにお気をつけください。
公益社などは、総合病院や緩和ケアを中心にメイクの勉強会なども頻繁におこなっているようです。
profさま
エンバーミングの年間施術ですが、2010年で2万件越えてますので、いちおー報告いたします
さて、「潜在的市場数や潜在的市場予測」とは、「広く一般的な市場」を考えます。
例えば、火葬においては「日本の火葬率は世界1であり、99.9%」であることから、全死亡者数×0.999+改葬火葬者数となります。
エンバーミングの潜在的市場数は、日本とアメリカでは大きく考え方が異なります。
アメリカは土葬から火葬へのシフトがあり、エンバーミング潜在市場数減少が加速し、南部等の特殊な地区を除くと火葬率と反比例してエンバーミング実施率は減少し続けています。
アメリカではどの葬儀社でもエンバーミングは行えますが、日本では偏在的であることを考慮しなければ潜在市場数は出せません。
例えば、A市にエンバーミング施設を持つB葬儀社があり、その葬儀社のエンバーミング率は90%かもしれませんが、同じ市内の競合葬儀社ではエンバーミング率が0%のことは珍しくありません。
グロスで考えるかネットで考えるかの違いはありますが、実施数は実績であり潜在的市場数ではないとゆうことです。
そのために、A市における潜在的市場数はB葬儀社の葬儀施行数であり、A市内の死亡数ではないとゆうことです。
日本においてのエンバーミングは偏在的であり、同じ地区、同じ市内でも前記のような実情から、エンバーミング施設を所持している互助会や大手葬儀社の「葬儀施行数が潜在的市場数」となります。
国内のエンバーミング数の増加は、既存エンバーミング施設所持互助会等が増設や、大手葬儀社が新設したためであり、非所持葬儀社の比率が大きく伸びた訳ではないことから、全葬儀施行数から計算するのではなく、エンバーミング施設所持互助会・大手葬儀社の葬儀施行数増加率から算出します。
これら、大手の葬儀施行数は明らかに伸びており、企業内エンバーミング率(実は企業外エンバーミング率が最も重要)が非常に高率であることから、エンバーミング施行数(実数)は増えますが、これは真の意味では潜在的市場数の増加とは言えません。
特に火葬だけ(直葬)や小規模葬が増加すると(互助会や大手葬儀社は関係ないかも知れないが)、アメリカと同様にエンバーミング率の低下を因子として考える必要があり、年間施行数17,000人、全死亡者数の2%(23,000人)と計算するのが科学的。
ポイントは、自社率ではなく他社受注率を増やせるかだけであり、自社率の増加や自社施行数の増加は潜在的な市場とは考えません。
エソバソマー様
> よくご存じで!
「ダッシメン」って言葉が耳になじんでますが
よく考えてみると「脂を抜いた」って意味ですもんね。
prof様、
たくさんのコメントありがとうございます。
> ここまで来るのに15年程を要しましたが、スキルはまだまだ上がります。
葬儀屋さんの出番は少なくなりますが、グリーフケアの観点からいってもいいことだと思います。
木曜の夜に帰国し、これからNRTを飛びます。
司法解剖も月曜から水曜に変更され、何とか金曜までには火葬が出来そうですので、盆までにはTKYに連れ帰れそうです。
後は、「葬儀社さんの仕事」ですので、よろしくお願いします。
prof様、
マイルたまってますねー(^^;)
この仕事のいい点
1.ビジネスクラスに乗れる(保険会社に請求)
2.マイルがたまる(妻の航空券は無料)
3.酒とタバコに強くなる(警察との宴会が多い)
4.世界中に行ける(北朝鮮やコロンビアも)
5.家に帰る回数が少なくなる?
この仕事のわるい点
1.体がボロボロになる
2.色々な伝染病に罹患する(マラリア、etc)
3.食中毒になる(O157、ノロ、カンピロ、etc)
4.パスポートが分厚くなる(増冊のため)
5.外務省や日本の警察から敵視される
prof様、
えーと・・・んー、くれぐれもお気をつけ下さい(^^;)