「終活」という言葉が2012年の新語・流行語大賞に選ばれたようです。
この新語流行語大賞はネガティブな言葉を候補から外すことで、
たまに批判を受けることもあることから考えると
「終活」という言葉は今や好意的に受け入れられているという事でしょうか。
この終活という言葉が認知されるにともない、「終活セミナー」という、主に中高年者~高齢者の方を対象としたセミナーのことを
耳にする機会も増えました。
何度か終活セミナーに参加した経験から言うと
プレゼンテーションの基本である「聴衆」のことを考えていないセミナーが
多いと感じました。
それがこの記事を書いたきっかけです。
今回は終活セミナー参加者の視点から「良い」終活セミナーについて、
述べたいと思います。
終活の意味
さてその前に、「終活」の言葉の定義から
ウィキペディアから引用
「終活(しゅうかつ)とは「人生の終わりのための活動」の略であり、
人間が人生の最期を迎えるにあたって行うべきことを総括したことを意味する言葉。
主な事柄としては生前のうちに自身のための葬儀や墓などの準備や、
残された者が自身の財産の相続を円滑に進められるための計画を
立てておくことが挙げられる。」
もう少しシンプルに言うと
「葬儀の事前相談、墓探し、相続、遺言作成、エンディングノート作成、介護関係、信託業務など」に関する活動
を指します。
おそらく上記のテーマの中で全員が経験するにもかかわらずよく分からないのは
葬儀に関するものではないでしょうか。
私の専門は葬儀に関することなので、
以下葬儀に関する話題が中心になることをお許し下さい。
終活セミナーは大きく分けて2つ
終活セミナーをプレゼンテーションの発表者で分類し
コンテンツ(内容)と発表技術の二つの要素で見てみると・・・
この手の終活セミナーをやっている人は
まず葬儀屋さん、が挙げられます。
彼らはコンテンツ(葬儀に関すること)に詳しいのですが、
プレゼンテーションが下手なケースが多いです。
プレゼンが下手なのは
発表技術に問題があるから。
高齢者が多いのに、マイクの音が小さいとか、
パワーポイント画面に文字を詰め込み過ぎとか
話の展開が独りよがり、もしくはポジショントーク(自分の立場を有利に話すこと)ぽいだとか。
もう一つは、
行政書士やNPOや社団法人系の方がやっている終活セミナー。
これはプレゼンテーションはうまいんだけど、お葬式のコンテンツは弱いことが多い。
本で読んだことをなぞっている感じ。
間違ったことを言っているケースも耳にします。
良い終活セミナーの条件
プレゼンテーションの第一歩は
聴衆の立場、というものを考えることから。
聴衆が他人の話を聞く理由は二つ。
おもしろいか役に立つか
です。
葬儀に関する話でおもしろい、というのはかなり技術を要するものなので
(そしてコンスタントに成功するものではないので)
いかに聴衆の役に立つか、を考えているのが良いセミナー。
そして
聴衆が望んでいるのは
問題→解決
という流れです。
良い終活セミナーの特徴
とはいうものの残念ながら
自分も何度かセミナー講師をやっている経験から言うと
決まった時間内に、個々人の状況をフォローする葬儀知識を提供するのは
限界があります。
例えば、参列が100人以上と想定している聞き手がいるとすると
その方に家族葬の話をしてもあまり響かないでしょう。
前述したように、
時間の制限と個々のケースにフォーカスしずらい
という制約問題があるので、
ぴったりではない解決策を延々と提示して時間切れというのではなく
まずは正確で網羅的な問題点の洗い出し
を心がけているのが良いセミナーだと思います。
こういうところで失敗しやすいだとか、この点に注意などの話ですね。
一例を挙げると菩提寺や親族を怒らせてしまうケースだとか
参列者の数を見誤ってしまうケースだとか。
問題点がはっきりと分かったとして
解決方法はどうやって知るの?と思われるかもしれません。
そもそもぴったりの解決は個別相談でヒヤリングをやらないと提示するのは難しいので
セミナーが終わってから個別相談を持ちかけるのがベストなのです。
小規模なセミナーならそのまま講師やスタッフを捕まえて話を聞けばよいでしょう。
大規模なセミナーの場合は、個別相談のアポイントメントを取りましょう。
この段階のアポイントメントは葬儀屋さんであれ、行政書士などの士(サムライ)業の方であれ
無料のケースがほとんどです。
良いセミナーはこういうアフターフォローを前提にしているので
聴衆は次のステップにつなぎやすい、と思います。
逆にこういうところのセッティングができていない終活セミナーは
たとえ次の個別相談のステップに行ったとしても、空振りで終わるケースが多いです。
その場合は次の新しい終活セミナーを予約した方が
結果的に無駄を最小限に抑えられると思います。