もうすぐ年末年始ですね。
葬儀屋の皆さんは、
連休の前後に葬儀依頼が集中して、連休の間は依頼が少ない、
と感じたことはないでしょうか?
それはお医者さんを含めた病院のスタッフが
人手の薄い連休期間中は死亡者が出ないように、
コントロールするからなのです。
というのはウソです。
でも意外と信じている葬儀屋さんているんですよね。
あと月齢がどうだとか、潮の満ち引きがどうだとか。
全部ウソです。
ページ無くなってますけどある研究者が統計的に
死亡のタイミングに関してそのような相関関係はなく
完全にランダム(規則性が無い)であることを証明していました。
ではなぜ一部の葬儀屋さんは、このようなウソを信じているのでしょうか?
ということでこの本。
人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか
この本の冒頭でも、満月の日に出産が多くなるというウソが
看護士の間で信じられている事例が紹介されています。
そもそものきっかけは
ランダムな散らばりの誤認知
が起きるせいです。
人間はランダムな事象に対し、勝手に規則性を見てしまうのです。
サイコロばくちのツキみたいなもんですね。
サイコロはその前にどんな目が出たか気にしないのに・・・
あと株価の怪しげなチャート分析とか。
これと同じように
葬儀依頼が集中するような事例がたまにあると、まさか、と思うわけですね。
(この本で紹介されている看護士のケースもその一つです)
これは偏りの錯誤と呼ばれています。
そして次にその勝手に見いだした規則性が真の現象として(自分の中で)認識されると
それにもっともらしい座りのいい理由を付けようとします。
医者の都合とか月齢とか潮の満ち引きとかですね。
これでいかにもありそうなもっともらしい話ができあがります。
その後もし連続して葬儀依頼が集中するようなことがあると
合致情報として認識され、より強固な信念を持ってしまいます。
「ほらね、やっぱり」ってやつですね。
当然その現象の一方では、
連続して葬儀依頼が集中しない現象も同条件下で起こっているのですが、
それは非合致情報として、スルーされてしまうのです。
一言で言うと人間は自分が信じたいことを信じるってことですね。
そしてそう信じ込んだ人は、人に伝えるとき脚色を行い事実関係をゆがめて話すので
より一層間違った考えが広まるという仕組みです。
その結果
集中して人が亡くなる日があって
それは医者の都合とか月齢とか潮の満ち引きのせいである、
という迷信が広まっていったのです。
同様の迷信に葬儀屋ってロクでもない連中だ、というものがありますけど、
ああ、それは一部当たってるわ(^^;)
なかなか面白い題材です。
これは、「カオス理論」にも通ずる部分があります。
「初期値敏感性をもつ決定論的システム」であり、実はランダムであるにも関わらず、わずか蝶の羽ばたき程度の意味のない事でも、判断の誤りにより「結果が大きく変わる」との結論が出ます。
葬儀業界はカオス理論の例に使える事案が多くあり、教材としては面白い分野です。
人は「都合の良い事柄を信じ、都合の良いように解釈をする部分があります」。
特に、理系等で実証や分析、証明等の手法を学ばなかった人達は、「都合の良い嘘を信じ、都合の悪い真実を否定(排除)」します。
バブル期はこれでも問題は少ないのですが、停滞期や再考期には「真実追求や原点回帰」が模索されますが、カオス理論から考えても「後戻りは出来ません」。
残念なことに、葬儀業界は「感性」で仕事をする人達が大部分であり、マイナーな「真実」は認められない状態です。
お邪魔します。
連休前の死亡退院調整…。
自分が葬儀の仕事をしていた頃、
ある病院で働く友人の看護師は、
そういった死亡退院調整は
彼女が勤める病院では、あると言っていましたよ。
連休前どうのこうのだけではなく、
在院日数の調整、稼働率の向上等、
ベッドコントロールの一環としても、
死亡退院の調整は行われていると。
全体からすれば、ごく一部の病院で、
そういったことが行われているだけで、
統計的には顕著なサインを示さないとしても、
“ウソ”と言い切ってしまうことは出来ないと思います。
統計は全体の動き、流れを見るには良いけれど、
個々の事象を埋没してしまう危険があると思います。
私が臨床にいた30年近く前は、ゴールデン・ウイーク、お盆、年末年始前に「死亡調整」をしていました。(恥であり反省するべき事象)
当時は、看護師の多く(特に准看)が地方出身者(東北や九州、沖縄が多い)ために、これらの看護師が帰省に伴い手薄となる、当直アルバイトの医師確保が難しいとの医業サイドの理由(家族の希望もあった)から、死期を早める事がありました。
しかし、当時と異なり看護師数は「10対1または7対1」(7対1)が主流であり、昔の様な「看護師総数計算」は行えないために、「死亡調整の意味がなくなりました」。(意識が低い、スタッフが足りない等の病院では未だにあると思うが、かなりレア)
特に患者さん自身や家族に「DNR」に関する意識が広まり、医療にコントロールされない「自然な死期」を選択する人達が増えています。(機械的な生存は意味が無い)
また、死亡調整が発覚すると高額な民事訴訟に留まらず刑事訴訟、免許取り消し(医師及び看護師)、保険指定取り消しなり、病院が倒産をするために「ハイリスク、ローリターン」な事は行わなくなりました。
現在、行われている事は「退院調整」であり、軽快者の一時退院、ほぼ完治者の早期退院であり、これらの者が自宅で死亡することは「ほとんどありません」。(都内23区では)
また、病院評価機構の評価項目に「死亡事項」があり、死亡調整を行うと「低評価」となるために保険点数削減期限前に「下部病院への転院」をさせ、急性期患者だけを診て慢性期または回復の見込みのない患者さんはターミナル医療機関へ送っています。
特例的に、「患者さんや家族の依頼」で月末死亡を翌月頭まで「死期を伸ばす医療」はありますが、これもレアケースでありかなり稀です。
「死亡調整」自体が今も昔も限りなくブラックであり、存在はウソではありませんが(今でも問題のある病院では存在するはず)「参考例」に過ぎないと思います。(○○病院は、長期連休前によく死ぬ等)
prof様、
詳しいコメントいつもありがとうございます。
コウ様、コメントありがとうございました。
医療や医学の現場では「人の嫌な面」を多く見ます。
月末死亡と月初め死亡の「意味」が解りますか?
私の所属する、してきた企業では土日祝日が少なかったですね。
担当の受注数にも数字で出てました苦笑
同じように、ご遺族も土日祝日で通夜告を行い
翌日から仕事に復帰するケースが多かったような気がします。
エソバソマー様
>、ご遺族も土日祝日で通夜告を行い
これは実際に休みが取りやすいから
その日程にしたのではないでしょうか。
prof様、
>月末死亡と月初め死亡の「意味」
はて?
ヒトの死亡場所であり、ある程度は管理ができる医療現場では「色々な依頼」があります。
月末にsaturationが下がりBPも低下し家族に対して「1両日がヤマです」と伝えると、訳もなく「機械的な延命」を求めてきます。(薬剤維持)
そして、月をまたいだ途端に「もう充分です、楽にして下さい」との依頼があります。
全ての事案が当てはまる訳ではありませんが、「家族の金銭的事情」がある場合が多いと思います。
これは「消えた高齢者や年金不正受給」と同じく、年金システム上の問題に起因します。
31日の23時59分死亡では何もありませんが、1日の0時0分死亡であれば「年金支給があります」。
親の年金依存の人達にとっては「1日になってから死亡しなければ困る事」となります。
月をまたぐ1秒が「大きな意味」を持ちます。
prof様、
あけましておめでとうございます。
解説ありがとうございます。
ということは、相続税率切替えのタイミングではこの逆パターンが起きるかも
ということですね。
消費税率切替えの時はさすがにないとは思いますが・・・
物理教師 様
今年もよろしくお願いします
純粋に「少しでも長く生きてもらいたい」との考えと「これ以上辛い状態は避けたい」(機械・薬剤的生存)との考えもありますが、色々な方法があります。
消費税に関しては平成25年9月30日をもって「互助会優遇措置」が終了しましたが、次回の10%増税以降も「互助会優遇状態」であることは変わりません。
現在、色々な文献や例文を漁って「抜け道」を模索しています。
司法試験を受けなくても、検事や弁護士になれる方法がある様に。
prof様、
>色々な方法があります。
そうですよね。結局決断した責任を家族がちゃんと引き受けることができるか
だと思います。
療養病院に時々バイトに来ますが、月末の金土日によく死亡があります。
看護師は、死亡調整やりかねない面々です。
常勤医(オーナー一族)も、そのタイミングで死亡させるのを狙って、
点滴減らしたりとか抗生物質中止したりとかよくやってます。
個人病院なので、全て院長の指示次第でやってると思いますが、
診療報酬の面で、月末の金土日に死亡する程有利ということなのでしょうか?