「男と女」の映画評

映画「男と女」を観た

前回恵比寿のジュエルロブションで食事をしたことを書きました。(世界一のサービスを経験してみた

食事の後、すぐ近くの映画館でフランス映画の名作「男と女」(1966年公開)のリマスター版を観ました。

ここまで書くとセレブ気取りのようですが
その時私の財布の中には前日ゲットした「なか卯」の割引券が入ったままだったことを告白します。
カツ丼(生卵を追加してかけるとさらにおいしいんだよね)を食べ終わった後、
抹茶プリンがなかなか出てこず
とはいえこの歳になって「抹茶プリンはまだかね!」と言うのも恥ずかしく、
店員さん(二十歳くらいの女性)に気づかれるまで3分ほどジッとしていた・・・
ってことが前日あったなんてジュエルロブションのスタッフは夢にも思うまい。
男と女
えっとなんの話だったっけ。
そうそうフランスのおしゃれ映画の話だ。
この「ダバダバダ」っていうメロディを知らない人はいないでしょ。

その映画の中のレストランのシーンで

「何か(メニューを)追加しようか」
とメートルドテル(給仕長)を呼んで
「(ホテルの)部屋を頼む」という、いかしたセリフがありました。

ジュエルロブションでも同じ事が可能か、
愛人のいらっしゃる方は誰か試して報告していただけないでしょうか。
いやもちろん正妻に対して行ってもいいですけど。

それから映画の中でもう一つ。
「女」の元夫(職業はスタントマン)が、劇中劇で
土葬用棺を小脇に抱えて振り回す、というシーンがあったのですが
あれはいったいどういうシチュエーションだったのだろう・・・

(このブログの記事は必ずどこかに葬儀ネタが入ります。)

続編「男と女 人生最良の日々」を観た

(2020年2月6日追記しました)

映画「男と女」から53年ぶり!の続編、「男と女 人生最良の日々」を、先日観てきました。
(正確には1986年に続編「男と女 Ⅱ」が公開されているのですが、あまり触れられていないようです。)

劇場情報|映画『男と女 人生最良の日々』オフィシャルサイト

監督と主演俳優と女優は1作目と同じキャスティングです。
ということはみんなかなりの年齢(80代)ということです。

以下一部ネタバレ含みます・・・なのですが、第一作目を観たことがあるなら、おそらく内容は皆さんの予想と異ならないはず。昔からのファンのための続編になっています。

記憶を失いかけている元レーシング・ドライバーの男ジャン・ルイは、過去と現在が混濁するなかでもかつて愛した女性アンヌのことだけを追い求め続けていた。そんな父親の姿を見た息子は、アンヌを探し出し、2人を再会させることを決意する。長い年月が過ぎたいま、アンヌとジャン・ルイの物語が思い出の場所からまた始まろうとしていた……。

↑予告編動画を載せておきますが、主演女優のアヌーク・エーメは撮影当時86歳です。

多分この作品だけ観た人は、感動しないはず。

しかし第一作を観た人にとっては、多幸感に包まれる作品になっています。
第一作の名場面が何度も使われていますし。
「あれからもう50年。自分も年をとったなぁ」という感慨がプラスされての評価、ということになります。

私は渋谷のBunkamura  ル・シネマで観たのですが、観客はおそらく60才以上の男女がほとんど。公開1週間後の平日にもかかわらずほぼ満席でした。おそらくリアルタイムで第一作を観た人達なのでしょう。

私の感想ですが、この作品、監督は男性で、男性に都合良く作られすぎていると思います。女性の方はどう感じるのだろう。

元レーサーの主人公は、モテモテだったため浮気性が治らず、それが原因でヒロインと結ばれることなく別々の人生を歩む。
認知症寸前にもかかわらず、ヒロインと再会した主人公は彼女への変わらぬ愛を語り出し、また愛され始める。
認知症という設定を活かした二人の会話が、実にいいんですよ。
さらに担当の女医をジョークとは言え「寝ないか」と誘い、美人の愛娘(モニカ・ベルッチ)にも愛される。

いやいや、そんな都合のいい人生があっていいのか!

この映画の舞台はフランスの介護施設です。晩年をどう過ごすかというのは日本でも大きな問題ですが、これはフランスもいっしょのようです。
ただフランス人は(正確にはフランス映画の登場人物は、なのでしょうけど)常に、色恋沙汰なのですね。
晩年になったら純化した「愛」だけが残りそうなものなのに、「恋」なのです。

エンドロールは夕暮れの映像で、人生の黄昏のメタファーなのだろうなぁ、と思ってぼんやり見ていると、「願いごとを!」で終わる。
どこまでいって、枯れない。
現役だなと思うわけです。

日本で要介護の主人公で映画を作ると、こうはならんだろうなと。

ただ最近の自分の経験で言うと・・・
エンディングノートセミナーの依頼を受けて介護施設で入居者を前にお話しすることがあります。
そんなとき、ああこのおじいちゃんはこのおばあちゃんが好きなんだなぁと、会話の端々でふと気づく瞬間があって、できることなら、まぁそういう人生の方が理想だよね、と私も思うわけですけど。




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