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葬儀屋さんの残業をなくす方法




葬儀屋さんの残業をなくす方法を考えてみました。

ます今回ご紹介するのはこの本。

残業ゼロがすべてを解決する――ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツ[Kindle版]

小山 昇 ダイヤモンド社 2016-12-09
売り上げランキング : 278

by ヨメレバ

 

経営コンサルトの小山昇氏が残業をゼロにするというテーマで書いた本です。
小山氏に対して登場した頃はおもしろいと思っていました。
しかし最近業務改善方法を世に伝えるというよりは
本を出すこと自体が目的化しケレンのある内容にシフトしたという感じで
正直私の印象はあまり良くありません。
今回も良く言えばタイムリー、悪く言えば今の時期なら売れると踏んだのでしょう。

今回この著作も三十数社の取り組みを羅列して共通項をまとめていますが
深掘りもなくちょっと荒っぽいです。

その中で葬儀業界の会社が2社取り上げられています。
株式会社マキノ祭典(東京都の葬儀屋さん) と
株 イガラシ(福井の葬具屋さん)です。

特にマキノ祭典さんに関する記述部分はネットにもアップされていました。
ここに他の葬儀社でも使える知見がないか、見ていきましょう。

残業を放置する社長は「犯罪者」です!|残業ゼロがすべてを解決する|ダイヤモンド・オンライン
残業を放置する社長は「犯罪者」です!|残業ゼロがすべてを解決する|ダイヤモンド・オンライン

残業問題に限らずまずは社長の意思ありき、というのはその通りです。
とくに中小零細企業が多い葬儀社の場合はそうでしょう。

このブログでも葬儀屋さんの労務問題には何度も触れています。
一般の方に説明すると、
葬儀屋さんの残業というのはお通夜のイメージがあるかもしれませんが
大きいのは夜間待機です。
人が亡くなるのは24時間いつか分からないため、
常に待機体制をとらなけれないけません。
そのため当直業務は必須で、乱暴な言い方をすると、
葬儀屋の仕事とはいつもオンタイムでいること、つまり長く働くことなのです。

他の業種は時間あたりの生産性の向上が行われると労働時間の短縮が起きますが、
葬儀屋さんの仕事の場合、生産性の向上と時短にはあまり相関関係がありません。
もちろん新人よりベテランの方が 積み込み作業や設営など時間あたりの生産性は高いです。
しかしだからと言って、ベテランの現場では通夜のあと遺族が早く帰るわけではありませんし、
夜中に訃報が入らなくなるわけでもないからです。労働

では残業の時短は置いといて、休暇時間の増加(出勤日の減少)を考えてみます。

改善するとなると労務の仕組みをいじる必要があります。
前述したように労働の発生(≒訃報が入る)は事前に予測することが難しいという問題があり、緻密に計画されたシフトを組むことは困難です。

それでも労働時間を減らそうとするなら、一番分かりやすいのは「人を増やす」ことです。

そしてこれは固定費を増やします。
それがいやなので「普通の」葬儀屋の社長はできるだけ最小限な人員構成にして、
労働三法ガン無視でフラフラになるまで働かせるという方法を取っているわけです。
(余談ですがマキノ祭典のサイトを見ると社長はやさしそう
2代目、3代目に多いルックスですね。
時短始めたのが最近って、これまでの数十年間なんでやらなかったの?という疑問はありますが)
これまでこんな労働環境でブラックとまで言えなかったのは他業種より賃金の総量(時間あたりの単価ではない)が多かったからです。

この構造のままで社員を増やすと当然固定費が増え、閑散期(仕事が入ってこないとき)の無駄が増え、その結果従業員1人あたりの収入が減ります。さらに新人が増えると、葬儀屋さんの場合一人前にするまで最低1年はかかりますので
育成コストがのしかかってきます。

そして不適合による退職者や転職組も多い業界なので、
さらに投資のリターンが得られないリスクが高まります。

そのリスクは人件費にも上乗せされますから、
さらに 従業員1人あたりの収入が減る可能性があります。

つまり「効率的」とは言えない状態になります。

このように労働環境と賃金はトレードオフで、そのバランスをどうとるか、が難しいところです。

そんな状況で打つ手はあるのでしょうか。

そこで紹介されているマキノ祭典の社長の採っている方法とは。

「まだ完璧にできていませんが、『フレックスタイムを導入してお通夜の当日はお昼出勤にする』『バックヤードをIT化して事務作業の手間を省く』『社員とパートの仕事の役割を見直す』といった工夫をして、就業時間が長くならないように気を配っています。
また、将来的には、「夜間専門グループの立ち上げ」や「夜間運搬のアウトソーシング化」なども検討しています」(牧野社長)

上記の改善策は実際大手を中心に同様のことが行われています。
そして十分な成果を上げているとは言いがたい状況です。
正確に言うと全てがトレードオフの関係でどのスタンスがベストがハッキリと定まっていないということでしょう。

『フレックスタイムを導入してお通夜の当日はお昼出勤にする』

これができるくらいの人的余裕があるなら「自然と」そうなるでしょう。
しかし実際は昼間の葬儀をこなしてから通夜もやらざるを得ない
という葬儀社が多いのではないでしょうか。

『バックヤードをIT化して事務作業の手間を省く』

これはある程度の規模の葬儀社でないと導入できないし、導入後の成果も出ません。
仮に作業効率が上がったとしても拘束時間はほとんど変わらない、というのが問題。
デスクワークが片付いても当直が終わるまでは帰れない、
もしくはお通夜が終わって遺族が帰るまで帰れない
という状況に変化は無いです。

『社員とパートの仕事の役割を見直す』

役割を見直す、という表現をしていますが
これまで正社員が担っていた仕事をパートが担うことで
労務費の増加をできるだけ抑えるということでしょう。
ただし、葬祭業のような人的市場が流動的なサービス業は賃金と能力には相関関係があり、
よほどうまいことをやらないと仕事の質は劣化します。
それに同一労働同一賃金の理念からすると微妙な話です。

「夜間専門グループの立ち上げ」

特に病院搬送業務と初期段階の打合せを担当させるということなのでしょう。
これも正社員の構成比率が高いならコストアップの問題、パートなら能力の問題が発生します。
とりあえず安置してから葬儀社を決める消費者も増えているので、
パートが行うことでチャンスロスになる場合も。

「夜間運搬のアウトソーシング化」

これは都内の業者ならすでにどこでもやっているはずです。
全部自社で、っていう葬儀社の方が珍しいんじゃないでしょうか。
労働2

さて、では私の考える施策は・・・
①経営者目線では、多能工化です。
ベタですけどね。
病院搬送しかできないとか設営しかできない、とかではなく
一通り葬儀手順で発生する業務を全てこなせるようにすることで
ポジションチェンジをやりやすくして極力人手を増やさず生産性を上げる。
そして営業活動も行えるようにして、無駄な待ち時間を有効活用する。
くわしくはこちらを→葬儀屋さんの利益をあげる方法

②次に提供する商品自体を変えてしまうという方法です。
詳しくはこちら↓
「ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略」を葬儀業界に当てはめたら 1/2

③個人的な対策ですが
拘束されること前提でインプット時間に当ててしまう、というもの。

空いた待ち時間は、仕事に必要なんだけど本来プライベートタイムにやるべきインプット作業に当てる、
要は仕事関係の本を読むってことですね(^^;)
家で行うインプット作業は減らしてその分を家族サービスにあてる、とか。
この残業ゼロがすべてを解決する――ダラダラ社員がキビキビ動く9のコツという本も当直の布団の中でKindle使って読みました。

Kindleの登場でだいぶ助かっています。

生涯勉強ですからね。
でもそれはあなたの場合の特殊事例で、
葬儀屋さんに多い、活字を読むのはスポーツ紙のみって人はどうしたらいいの?
という意見があるかもしれません。
でもそんな人は残業が無くなっても帰りにパチンコ屋と飲み屋に寄るだけの人生ですから
同じことです
ああ、最後にまた余計なことを言ってしまった・・・

 











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