本日ご紹介する本はこれ
さよなら、そしてこんにちは (光文社文庫) 荻原 浩 (著)
さよなら、そしてこんにちは (光文社文庫) | |
荻原 浩 光文社 2010-11-11 |
著者は渡邊謙主演で映画化された小説『明日の記憶』で
山本周五郎賞を受賞した方。
短編集なのですが本のタイトルにもなっている第一話は、
葬儀屋さんが主人公です。
リアリティに関しては、こんなこと実際しねぇよ、
っていうところがちらほら。
(最低限のリサーチはしてるみたいですけどね。)
そもそもドラマチックなストーリーで、
読者の価値観に揺さぶりをかけたり、
魂をふるわせたりするのが良い小説の役目とすると
葬儀屋さんから見たときのリアリティがどうこうなんて
別に意味はないんですけどね。
ただこの手の葬儀をテーマにした小説よりも、
葬儀屋さんの現実の方が
ずっと劇的
(この↑表現もしっくりこないのですが、他に適当な言葉も思いつかないので)
なことが起こるんですよね。
リアルであることゆえの強み、というものを抜きにしたとしても。
この小説と似たようなシチュエーションで
実際に私が体験した事の方が圧倒的にこの小説より劇的。
でもここでは書かない。
というか、墓まで持っていくつもりです。
本当に自分にとって大切な体験て、そういうもの。
葬儀屋さんになってから小説(特に文学系)をあまり読まなくなったのも
現実にすら及ばないフィクションに価値を見いだせなくなったからかもしれません。
一般的に葬儀屋さんが本を読まないのはそのせいか?
いや、違うな(^^;)
おくりびとも葬儀社のさわりの部分しか描かれていませんでした。
業界全体や葬家を掘り下げれば、続編の1つ2つ作られるのに日本映画の残念な所ですね。
ところで葬儀社は社内恋愛はあまり縁が無いのでしょうか?
猫丸様
> ところで葬儀社は社内恋愛はあまり縁が無いのでしょうか?
んー社内恋愛はありますけど、他業界と比べて発生率が高いかどうかは不明です。
色々な出版社から「一般本」を書かないかとの話は来ますが、ノンフィクションに勝るはありません。
昨日、ある編集部の人達と飲んでいたところ、「葬儀業界の人からの売り込み(本を書かせてくれ)」が多いと言っていました。
自己PRのメールを見せてもらいましたが、「全てがフィクション」であり、事実ではないことばかり。
ノンフィクションが壮絶な葬儀業界にいると、更なる刺激的なフィクションを造り出し、自己の売り込みに使うのかと感心(むしろ呆れている)したり。
本を書くことはPRにはなりますが、「出版や発表は責任が重い」ことにも気が付くべきです。
prof様、
次回からこれらの点について触れていきます。
私は一般本を書きません。
何故なら、「私自信が法令で縛られているから」と答えなければなりません。
そして、最近増加した「劇場型業界人」と一緒に見られたくないからです。
出版社や他のメディアに対して、葬儀業界人の売り込みが多くなったと書きましたが、皆がほぼ同じパターンで「版で押した様な経緯と経過」。
基本的には2パターンで、最も多いのが「恋人または親友の急死」(交通事故か白血病等が多い)。
そこで、若くして死亡した愛する人の壮絶な死と大きく変わったご遺体を目にして、「私が葬儀業界に入り、多くの人達を助けなければいけない」と思い立ち、業界に入るパターン。
もう1つは、大きな事故や災害を見て(多くは報道で)、「私が皆のために、何とかしなければ」とのパターン。
そして、どちらも「今は葬儀現場で、多くの人達を助けている由」で結語。
普通の理由や葬儀社の跡取りが、普通に葬儀業に携わる事は「志が低いの?」、と思ってしまいます。
「全てがフィクション」とは断言できませんが、韓国ドラマの様な劇的な経緯と経過の人は、残念ながら私の周りには1人も居ません。
「志が低い」と言われている者の愚痴ですが。
prof様、
それから
「そのときの葬儀屋が信じられないくらいひどかった」
ですよね(^^;)
そうなんです!!
担当した葬儀社(職員)があまりにも酷い対応、仕事だったために、「私が何とかしなければ」!!!。
真実は「その人の心の中」ですので分りませんが、
日本の葬儀人材はかなり良くなっており、人生を変えるほどの「悪い職員に当たる確率は低い」と思いますが。(金銭面は別の考え方が必要)
実は、400頁の専門書を依頼されており、単著ではなく共著(監修は担当)で行こうかなと考えており、葬儀部門を50~80頁ほど入れようと思っています。
売り込み系の人達の「エピソードが凄すぎて」、真鴈以前の話となっています。
私達としては、「普通の葬儀屋さんの考え」を書いて頂きたいのですが、「業界批判と自画自賛の自書伝部分」が多過ぎて専門書には不適格となっています。
prof様、
世間は「まさか人の生き死にでウソをつくひといるわけがない」
と思いがちですもんね。