一度はこのテーマに触れておいた方がよいかなと思いまして。
神についての書籍
まずは最近読んだ本の紹介から。
「神は妄想である―宗教との決別 」リチャード・ドーキンス
この本を見て後輩がドン引きしてたので
「いや、そんな極端な内容じゃないよ」って弁解したら
「いや、そんな分厚い本読むのかと思って」・・・って、そこかい!
一見するとお固い科学者が、四角四面な議論をしていそうな印象ですが、
実際はそうでもなく。
どうやらアメリカのキリスト教原理主義の洒落にならないカルトっぷりに業を煮やしたという感じです。
確かに信仰の自由はあるけども、自分の自由を無制限に拡大していくと
いずれ誰かの自由とぶつかりますからね。
中絶を行った医者を殺害するっていうのは、明らかにやりすぎです。
関連するタイムリーなトピックとしては
この映画が気になります(まだ見てません)
未公開映画祭~ジーザスキャンプ
(これ以外でも宗教系の興味深いドキュメンタリーが紹介されています)
次におすすめの本はこれ
知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)高橋 昌一郎
後半で「神は存在するか」というテーマを哲学的に、だけど分かり易く論じています。
最後は最近お亡くなりになりになった佐野洋子さんの晩年の作品。
佐野さんといえば
100万回生きたねこ
で、絵本作家として有名ですが、エッセイストとしてもこの本で小林秀雄賞を受賞しています。
男性作家が死について語ろうとすると、
どうしても恐怖か、その裏返しの虚勢、の両端に振れがちで、
結局「見て」はいないと感じることが多いのですが、
(たとえばこれ、老いれば自由に死ねばいいのだ―中味の濃い人生を生きる (光文社文庫) )
佐野さんは田舎暮らしをしながら、
迫り来る老いや死を静かに冷静に、じっと直視して語っています。
佐野さんは神も仏も信じない、という。
だけど彼女は何かを信じていると思います。
私にとっての神
さて最後にもう一度自分自身に質問を投げかけてみましょう。
神と仏を超然たる存在ということで同義にしたうえで
果たして神は存在するのか?
神は存在しない。
しかし私には必要だ。
だから存在することにする。
というのが現時点の私の結論です。
矛盾していますが、一人称で考える限りは問題ないです。
意外に自分の中で違和感なく完結できているのでOKなのです。
ただし二人称や三人称で説明するのはほとんど不可能です。
だから誰かを説得したり、誰かの考えに異を唱えたりはしませんし、できません。
父が意識不明になって万策尽きたとき、私は助けを求めて祈りました。
何に?
おそらく既に亡くなっていた母に。
では母がもう助からないと言われたとき、何に祈ったんだろう?
多分何かに祈ったはずで、
その何かが神であれ仏であれ、信じられようが信じられまいが
私はその何かを必要としたのです。
必要としない人にとっては神は存在しなくてもいいと思います。
でも欠陥だらけで弱い私には必要です。
葬儀屋という職業に就いて、自分と同じ境遇の遺族に出会うたび
彼ら彼女らにとって祈るべき何かは存在するのだろうかと考えつつ
現時点でたどりついた結論です。