「ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略」を葬儀業界に当てはめたら




今回ご紹介するのはこの本

ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略

 

ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略

フランセス・フレイ,アン・モリス 日経BP社 2013-10-03
売り上げランキング : 42958

by ヨメレバ

 

タイトルはちょっと恥ずかしいのですが
去年読んだビジネス関係の本の中でベスト。

自分の備忘録としてこの本の内容をまとめると以下の通り。
(この本を読んでいなければ何のことか分らない部分も多いと思いますが
ご容赦を)

この本のテーマは
並はずれたサービスを実現するために、どのようにビジネスモデルを設計すべきか
である。

  • 原則1 すべてが最高」という考え方には無理がある
    ・スタッフが無期限に、毎日毎日、英雄的な活躍をし 続けるという前提でシステムを設計しても、けっしてうまくいかない
    ・良質なサービスが特別な行動ではなく、ごく普通の行動となる仕組みをつくる必要 がある
    ・最も重要な要素以外を切り捨てること
    ・並はずれたサービスを提供したければ、いくつかの側面で意図的にサービスの質を落とす必要 がある。
    顧客が最も重んじる要素で質の高いサービスをおこなうために、 つまり、それで採 算をとり、そのサービスを継続するために、
    顧客が最も軽んじている要素であえて低いレベ ルのサービスをおこなうのだ。
    並はずれたサービスを実現するうえで最大の障害となるのは、偉大であろうとする野心の欠如 ではなく、質の低いサービスをおこなう勇気の欠如だ。 これは、情緒的な障壁と言っていい。
    ・最大のコスト発生源を突き止める。
    ・とりあえず顧客と接する時聞を減らす
    ・自社の強みは何か、考える。
  • 原則2 誰かがコストを負担しなくてはならない
  • 原則3
    悪いのはスタッフではない
    スタッフが担う役割は大きいが、サービスはスタッフ次第、というわけではない。
    それより重要なのはビジネスモデルの設計だ。
    とくに、平均レベルのスタッフがごく普通に行動するだけで
    良質なサービスを提供できる仕組みを築けるかどうかがカギを握る。
  •  原則4
    顧客をマネジメントせよ
    好ましいサービス体験をつくり出す過程に、
    意識的に顧客を取り込むべきだ。
    顧客にサービスを消費させるだけでなく、
    サービスを生み出すプロセスの一翼を担わせるのである。

自分にとってこの本のキモは
おばあちゃんに「ノー」という勇気
という一言に集約されるだろう。

自分を含めて多くの葬祭業従事者は、おばあちゃんに「ノー」と言わないことをモットーにしているわけで
これはパラダイムシフトである。
NO
このブログの他の記事を読んでもらうと分ると思うが、私は「アクセルを常に踏みっぱなしにする」という気持ちでサービスをやってきた。

しかしそれではいけないのだ、とこの本は言う。
すくなくとも全体のシステム設計としては。

ノーと言わないサービスは、しばしば「もっと頑張れ」型の問題解決策に突き進んでしまう。
卓越したサービスができる人が一人いれば、全員にそれができるという発想は
陥りやすい罠で危険だ、とこの本は言う。

これは非現実的であるにもかかわらず、それを目指す経営者は多い。
本当は従業員の業務の単純化、もしくは会社として行なう業務の単純化が必要なのである。

おそらく10年前の自分ならこの考え方を受け入れなかっただろう。
この本に出てくるダメなサービス系企業経営者のケースと同じように。

でもマネージャーである現在ならわかる。
いや、正直それでもちょっと・・・、という気持ちはあるのだが、その気持ちはとりあえず脇に置いて社外コンサルタントになったつもりで、この本から導き出される葬儀のビジネスモデルを考えたいと思う。

こんなビジネスモデルはいかが?

というわけでここからは導き出される葬儀のビジネスモデルを考えていきます。

コンセプトは
「断る」

・自社会館の施行のみしか行なわない。
外仕事(貸し式場や自宅や寺院での施行)は行なわない。
顧客に対し、こちらの施設に来てもらうという形でコストを負担してもらう(介護業でいうとデイケア型)

・訃報が入ってもスタッフは病院に行かない
(行く場合は5万円上乗せ。病院搬送は搬送業者にアウトソース)

検視系の仕事には手数料10万円上乗せ
(事実上断っている。
検視系業務は時間と体力を奪われるのでコストバランスが悪すぎる。)

・常に自社の施設に安置する
(病院→自社施設にしか安置しないことで人的コストを削減。
自宅安置で発生する訪問してドライアイスの交換、それも時間指定されて訪問、が無くなる)

・価格帯は3プライスとする
(打合せ時間の短縮、
会館仕事のみの打合せなので外仕事に必要な各式場の特性(外装や内装になにが必要など)に関する知識が不要、
消費者はバリエーションに魅力を感じていない)

・祭壇はプリザーブドフラワーで台車つき。
(体力や設営時間のコストカット)

・神道キリスト教新宗教は断る

・火葬のみ(直葬)も断る

・遺族同席の納棺の儀式は行なわない
(スタッフが空き時間に行なう。シフトの効率化)

・自社式場は2つあり、通夜告別式の時間指定を行なう。同時刻開催はしない。
そのため担当者以外のサブスタッフは掛け持ちが原則。
よって一つの式を1.5人で運営)

・お布施は10万円でお勤めをしてくれる寺だけにお願いする
(現状「読経」と「戒名」は消費者が感じる価値に対してオーバープライス。
葬儀費用に回してもらう)

・礼状に名前入れない、汎用型のみ使用。(文言チェックのコスト削減)

・返礼品は金券のみ
(管理に注意が必要だが、場所を取らず変質しないのでストックが楽。汎用性高い)
女性
以上のような条件をつけた代わりに
それなりのクオリティでリーズナブルな葬儀を提供する
というのがセールスポイント。
(そば屋でいうといわもとQみたいなイメージ)

上記のシステムを構築することで、現在の葬祭業のシステムでは働けなくてあぶれている優秀な人材を、比較的安い人件費で機能させることができる。
つまり ホスピタリティマインドがあるのに体力と年齢と販売スキルが弱点であるため、通常の葬儀屋さんで働けない人を安く(契約社員として)雇う。

具体的には肉親を亡くして喪主を経験したことのある40代前後の女性を「人柄だけ」で選ぶ。
(現状葬儀業界は喪失経験の無い、つまりお葬式を買った経験の無いスタッフがほとんどを占めている。購買体験のない売り手がマジョリティという他の業種ではあり得ない弱点)

共感性の高い人材の使用によって顧客に与える印象が良く、評価の高いサービスを提供できる。

・担当者は原則引継ぎ業務無しで同じスタッフが行なう

・社外に出て行く必要がないので女性でも夜勤も可能。
(現状、女性の夜勤は認められているが、それは安全の保証が前提となっている)
この辺りの女性の使い方はこの本が参考になると思います。

東横インの経営術―女性のセンスを生かして日本一のホテルチェーンを創る

西田 憲正 日本評論社 2004-08
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by ヨメレバ

 

(著者は建築基準問題の時にマスコミ対応に失敗して叩かれたが、人の使い方は正しいと思う)

以上の仕組みで埋もれた「有能な」人材を有効活用できる。
そして上記の仕組みに特化することにより、安くて良いサービスを提供していることを消費者にアピールする。

これまでの葬儀業界って
劣悪で高価なサービスか、もしくは
スタッフのがんばりに依存するサービスしか無かったので
こういう形態も有りではないか、
と思うのだがいかがだろうか。











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