葬祭業消失

ちょっと前の週間東洋経済の記事から

 

週刊 東洋経済 2014年 4/19号 [雑誌]

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やはりこの話題のメインは富士フイルム 古森会長兼CEO
(しかし古森さんて、これ以上ないくらいの「会長」顔だよね)

 

魂の経営

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↑こちらの本も売れていますが
内容が簡潔に整理されている分、東洋経済の方が読みやすいです。

葬儀業界が舵を切れないわけ

さて
これまでも葬儀業界は衰退産業と申し上げてきましたが
これねー、葬儀業界も無縁の話ではありませんよ、
というか完全に当事者ですよ。

それにもかかわらず
葬儀業界が環境変化を予測して
舵を上手く切れていないのは
3つ理由があると思います。

1.市場変化予測が甘くなりがちだから

葬儀単価は下落していますが、葬儀件数自体は増えている。
現場にツケをまわしつつも、倒産が相次ぐという自体には至っていない。
そして直葬も含めるなら産業自体が完全に無くなることはないはず。
というわけで
なんだかんだでこれからもなんとかなる、
という希望的観測にすがってみたり。

富士フイルムのように
「分析すると、これ、どうやっても10年後に市場が消滅するよね」
という「正確な」切迫感は生まれない。
そのため手遅れになるまで「悪い数字」から目をそらせ続けようとする。

2.周辺業務への水平展開を行いたくてもケイパビリティがないから

葬儀屋ってツブシがきかない人が多い。

そして伝統的文化事業の側面があるせいか
あんまり急激な変化を受け入れられない。
人材は流動的で、組織の強みって実は個々の属人的能力に負うところが大きい。
つまり組織のシステムとしての強みというかノウハウがない組織が多い。

だから周辺業務にシフトしたくても、
どうしても組織力不足になる。
そのため、ホテルとか介護とか不動産とかを
申し訳程度にやる、という結果になりがち。

3.葬祭業への愛情がネックになっているから

葬祭業で働いている人達のほとんどが
葬祭業は素晴らしい仕事と思っていると思う。
そこで働き続けることができるかどうかはともかく。

ゴーイングコンサーンの考え方に基づくと本来は
会社を存続させる>葬祭業を続ける
という風に考えなければいけない。

でも葬儀屋にはそれができない。

葬儀にかかわることができないなら
衰退する葬儀業界と心中するほうがまし、
という中堅の葬儀屋さんは多いと思う。
それほど葬祭業が素晴らしいと思っている。
実は私もそうなんだけど・・・

だから考えることといったら
葬儀業界のフレームの中での「選択と集中」くらいしか考えられないので
「ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略」を葬儀業界に当てはめたら
↑このあたりの発想が限界。

前述の古森氏はフィルム畑ではなく印刷畑出身だから
生え抜きにもかかわらずここまで大なたを振るえたのだと思う。
これがフィルムに対する絶対的な愛情を持っていたら
ここまでのことができたかどうか。

それを考えると
今後葬儀屋のトップって
葬儀経験者ではない方が良いのかもしれんね。




6件のコメント

そういう意味ではアーバンや大阪公益社の社長は
外部からの経営者として成功している、と言えそうですね。
まぁ中川さんは冠婚からの人か…

と、外部からの人間が申しております。

消費者が主体性を持って動き出した場合、気付いたらそんな時代になっていた、という事が本当にありえそうです。
グリーフ、そして今までとは違った形で地域コミュニティと地域経済に寄与する様な仕組みを構築する事が鍵になりそうな気がしますが。

小泉様、
>グリーフ、そして今までとは違った形で地域コミュニティと地域経済に寄与する様な仕組みを構築する事が鍵
同感です。
具体的にどうするか、がまだ見えておりませんが。

>グリーフ、そして今までとは違った形で地域コミュニティと地域経済に寄与する様な仕組みを構築する事が鍵

旧来の社協とはまた違った形で、「福祉」に関わる企業となれればこうした道も開かれるのかなと感じております。

最近、地域のソーシャルワーカーやヘルパー支援団体からの相談や依頼も増えてきました。

kai様、
そうですね。宗教がパワーダウンしていますので
それを補う何か、というアプローチもありますよね。

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