「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」が意外と使えない理由




このところずっと売れている
「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」という本は
意外と使えないという話です。

身近な人が亡くなった後の手続のすべて

身近な人が亡くなった後の手続のすべて

児島 明日美,福田 真弓,酒井 明日子 自由国民社 2014-11-29
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知合いの編集者からなんで売れてるんですかねー
と言われて読んでみました。
たしかになんで売れるのかわからない。
葬儀社の選び方の記述なんてペラペラだし。
もっとレイアウト工夫して図表をうまくつかっている書籍はほかにもあるし。

(↓余談ですがこの本のパクリ加減はむしろすがすがしい。(^^;)
絶対間違って買ったおじいちゃんいると思う)

身近な人が亡くなったときの手続きと届け出ぜんぶ

身近な人が亡くなったときの手続きと届け出ぜんぶ (中経の文庫)

池田 陽介 KADOKAWA 2015-12-11
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さてこの 「身近な人が亡くなった後の手続のすべて」が

売れている原因を私なりに考えてみると・・・
おそらく需要が発生しているマーケットで
重版がかかる程度の( ちょっとでも)売れているという評判が立ち始めると
みんながいっせいに買い始めるという
ナッシュ均衡的な状態なのだと思います。

葬儀の現場にいる者の一人として言わせてもらうと
この本に限らず葬儀後の手続き系の本て
実際はあまり役に立っていないのです。

なぜなら
全体像を理解するためにはボリューム多すぎだし
そのくせ実務を行うには浅すぎる内容だから、です。

たとえば自営業の夫が亡くなった70才の奥さんにとって
厚生年金の寡婦年金の情報なんていらないでしょう。
結局実務を行うには各喪家の個別のケースにフォーカスしないといけなくて、
その意味でこの手の本は広すぎて浅すぎるのです。
行政書士やFPのセミナーにいった方は経験有ると思いますが
あの他人の事例を延々聞かされる焦点の定まらないピンぼけ感に似ています。
体系的で網羅的な知識(そのくせ中途半端なくわしさ)に関して
一から説明を受ける必要はありません。

実務の話をすると
葬祭費などの役所の公的手続きなら役所の窓口で教えてくれるし
死亡診断書の書き方や葬儀後の法事やしきたり系の話なら葬儀屋さんが教えてくれるし
口座の切替系なら銀行が教えてくれる。
書式や必要書類も微妙に違いますしね。

さらに専門性を要する遺産やら税務やらの話になってくると
正直本を読んだって素人が実際の手続きを行うことはできません。
おまけに喪主は高齢だったりメンタル的に不安定になっている人が多いのです。
実務は士業の人(弁護士・行政書士・税理士・司法書士)に任せることになります。
身近な人キャプチャ

ではこの本の価値は何かというと
実際は役にたたないけど、手元に置いておくと何となく安心できる
ということだと思うのです。
読者はその日が来る前に買っておいて、パラパラと読んで
何となく安心している、という状況なのではないでしょうか。

そういう意味では家庭の医学と似ています。
本当に深刻な病状の人は分厚い家庭の医学なんか読まずに
専門家(医者)のもとに行くでしょう。

 

新 家庭の医学

堀原 一 時事通信社 2005-06-07
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なんとなく事前準備をしたという満足感と安心感を味わいたい人は買っていいですが
やっと葬儀が終わった、という人が手にとっても遠回りするだけではないでしょうか。

実際士業の方が書いたこの類の本の巻末に
事務所の連絡先が大きく載っているのは、
つまりそういうことなのだろうと思うのです。

以上が葬儀の現場にいる人間の感想です。











6 件のコメント

  • 手続き等はほぼ「全国統一」(自治体により、金額等が違いことはあるが)であり、
    書く内容は「基本的に同じ事」ですので、本による目新しさや違いはないので、
    「いかに売れる本を書くか」がポイントです。
    その意味では「似た内容は仕方がありません」が、タイトルを見ると「かなりグレー」。

    昨年11月、とある業界に激震が走りました。
    前代未聞の「とんでもない事件」であり、これが発覚しました。
    取りあえず、関係者が医大教授に「詫び(土下座はなし?)」で押さえた様ですが。
    日本の葬儀業界は「何でもあり」ですが、これに巻き込まれた災でした。
    その意味では、今回のネタ本は「かわいい部類のパクリ」です。

  • 売れてたんですね・・・去年本屋の宣伝コーナーにあったので手にとってパラパラ

    なんだか見る気のおきない本だな~といった印象でした。

  • 著者のひとりです。
    今回は、ブログにてご紹介頂き、また貴重なご意見を頂き、ありがとうございます。
    確かに葬儀の部分については、著者は司法書士、税理士、社労士であり
    専門家がいないので、記述が軽めかもしれません。
    できるだけ広い範囲の内容を、少ない文字数で分かりやすく書こうと
    努めた結果だとご理解頂ければ幸いです。
    タイトル通り、まずは入口として手に取って頂き、その上で
    各方面の専門家にご相談して頂けたらと考えています。

  • 福田真弓 様、
    著者御本人からコメントを頂戴いたしまして恐縮です。
    数ヶ月に一度「あちゃー、言い過ぎたかな」と反省してしまうコメントを頂戴することがあるのですが
    今回そんな感じです。
    大変失礼いたしました。
    今後益々のご活躍をお祈りしております。

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