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2019年度No1終活本「ある日突然オタクの夫が亡くなったら? 身近な人が亡くなった時にやるべきこと、起こること」




今回紹介する書籍は「ある日突然オタクの夫が亡くなったら? 身近な人が亡くなった時にやるべきこと、起こること」

僭越(せんえつ)ながら私はおそらく日本でも有数の終活本の読み手だと自負しています。そんな私が2019年今年読んだいわゆる終活系の書籍の中で、この本が第1位です。(正確には2018年末に出版されていますが、私が読んだのは今年ということでご容赦を)

巻末を見ると、重版がかかっていました。昨今の一般書籍同様なかなか葬儀本というのは重版がかかることは少ないのですが、この内容であれば当然でしょう。

漫画家の奥さんが、御主人が急死した顛末と、その後を描いています。

筆者の体験をもとにした漫画部分と、手続きなどのノウハウが掲載されたテキスト部分で構成されているのですが
この本を傑作たらしめているのは、筆者の漫画部分です。

漫画部分は一部、事前にネット上に掲載され、私もリツィートした記憶があります。

ここには大切な人を亡くした悲しみや、支えてくれる人に対する感謝などのあらゆる感情、そして
死亡後の手続きや、二人の幼い子供を抱えて右往左往する生活にまつわる苦悩が描かれています。

かといってただ感情が表出するに任せて情感いっぱいに表現しているわけではありません。
筆者の画風のせいもあって、自分の身の上の一大事なのに、むしろ一歩引いた視点で淡々と描写していると言ってもいいほどです。

逆にそれが読み手の胸をうちます。

日常のちょっとした出来事や、そこからわきおこる感情の切り取り方が絶妙なのです。

私の母は39歳で亡くなりました。その時の父は我々子供達になにも悟らせなかったけど、恐らく心の中にはこういう苦しみがあったろうなぁと想像して不覚にも涙が出ました。

そう、この本が他の凡百の終活本と決定的に異なるのは、この「共感」です。
大切な人を亡くしたことのある人は、そういえばあの時自分もそうだったと思うでしょう。

まだ大切な人を亡くしたことのない人には、自分の身に起こったらどうしようと思うはずです。
その共感が、次に引き起こすのは、「行動」です。

終活本に限らず実用書全般に言えることですが、ノウハウや情報を提供するだけで、最後の「行動に移す」という一番重要な段階に持っていけないことが、最大の問題でした。

この本は読者に、「共感による行動」を起こさせるという点で、圧倒的に優れているのです。

前書きに「死に実感がわかない人にこそ読んで欲しい」とあります。筆者の望みは読者に伝わるでしょう。

おすすめです!

(2023年8月追記)
https://toyokeizai.net/articles/-/692389?display=b
2021年12月15日に筆者のこささんもお亡くなりなっていたことを、こちらの記事で知りました。
ご冥福をお祈りします。











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