以前訪問したことがある葬儀屋さんが買収されてしまったようです。
水に落ちた犬をたたくのは心苦しいのですが
時代の流れをあまりにも象徴する事案なのでご紹介します。
(固有名詞は伏せ字にしました)
葬儀老舗の○○社、広島の企業が買収
福岡都市圏で3か所の葬儀場を運営する老舗葬儀会社「○○社」(福岡市)を
冠婚葬祭業の△△グループ(広島市)が買収した。
今月1日付で、買収額は公表していない。同グループが、○○社の創業家が保有する全株式を引き受けた。
○○社によると、後継者がいないことから譲渡を打診したという。
(中略)
同グループは○○社の社名は変えず、
各葬儀場と従業員もそのまま維持する方針という。
(2013年8月23日 読売新聞)
実はここ、だいぶ前に訪問したことがあり
当時の私のメモには「あと十年でなくなる」と書かれています。
そう感じた理由は
・大きすぎる式場を持て余している
・眼前にできた他社式場と比較して、
スタッフのクオリティが劣っていた(当時)
ためです。
こちらの会社の方には大変申し訳ないのですが
なるべくしてなったという印象です。
「後継者がいないことから譲渡を打診」
ということなのですが、恐らく本当の理由ではないでしょう。
百歩譲って本当だとしても
経営者のやるべきことの中には後継者の育成も入っていると思うので
やはりこれは経営に失敗したということです。
ところで
「各葬儀場と従業員もそのまま維持」とのことですが
これが許されるのは
買収者が新規の集客媒体を持っているケースに限られるでしょう。
地元の企業ではないようですがその点は大丈夫なんでしょうか。
ここに赴任した経営者は
・大式場は他業種に売却もしくは賃貸
・従業員レベルのハードルを上げて半数以上を入れ替え
・顧客リストのみ継承
を行うべきだと思います。
と、偉そうなことを言ってはみたものの。
日頃は葬儀業界の淘汰が進むのはいいこと、と言っている私ですが
同様の会社がどんどん増えていくことを思うと
ちょっと胸の痛みを覚えます。
この会社は老舗の葬儀社ですが、本社住所に「互助会系企業」が登記されており、「会員」はいると考えています。
ただし、下記の時の「引き継ぎ」と異なり福岡市内、北九州市内は「レッド・オーシャン」の波が高い場所なので、疑問な部分もあります。(破綻は解約増)
http://houmukyoku.moj.go.jp/fukushima/static/ansaajikaiteiban.htm
後継者問題はco-factorに過ぎず、メインは我慢大会に疲れたのでしょう。
創業家の世襲でなくても社員が継げばよい話であり、
「良い売り時」かも知れません。
prof様
>「レッド・オーシャン」の波が高い場所
日本最高の激戦区ですよね。
>「良い売り時」かも知れません。
創業家にとってはそうだと思います。
prof様
福岡も激戦地ですが…
“下記の時”で出てくる福島県郡山市も、今現在、ある意味ホットな地域かもしれません。
去年上場した、福島市の業者(傘下に互助会や冠婚、葬祭事業会社を持つ)が、郡山市の同業者(婚礼がメインで、葬儀の割合は低い)を買収し、足場を固めたりしてますので。
元間接部門 様
葬儀に限らずM&Aが最も無駄のない(時間、金、人)方法であり(前名は残す、絡める等)、スムーズに移行しています。(無駄な争いは利が少ない)
冠婚葬祭は「屋号」が大事な部分もあり、客からは気が付かれない「入れ替え」が重要です。
http://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchDetail/j_jid__3000604743/
郡山もスムーズに入れ替わり、グループとしても千葉、群馬、北海道を除く東日本制覇は間違いがないでしょう。(経産も解体よりも承継を望んでいる)
少し気になるのは「毘沙門天」への進出。
また、互助会への消費者庁関連団体からの攻撃(現時点ではほとんどない)が常態化することです。
この先生が関西なので、東日本は「ブルー・オーシャン」ですが。
http://gojokai-ombudsman.net/index.htm
大手や互助会には「銀行からの出向」がいますが、M&Aを仕切れるほどの人材かは不明であり、下記の様なコンサルを使うのが一般的です。
http://www.integroup.jp/industry/funeral.html
ここの経営陣も「華々しい経歴」です。
一流校卒で外資やファンド等を経験して、海外BSでMBAを取り帰国組と税務や特許訴訟の強者。
葬儀業界図もこの様な人達が陰で書いているのかも知れません。
prof様、
葬儀屋のデューディリジェンスって難しいんですかね。
人材にどれくらいの評価をつけるかですが
売りに出されたところは明らかにダメって分かるから楽なんでしょうか。
ダメって分かってからの立て直し(首切り除く)が大変そう。
世襲の最大の利点は「3バンの承継」であり、これはM&Aにも通じる部分はあります。
3バンを持つことで、「一定時期の継承」は可能でしょうが、「新たな目玉を作る」、「従来と異なる戦略」を発てなければ持続は難しいでしょう。
葬儀における「カバン」は箱物であり「人材は含まれていません」。
売るに至った最大の責任は「経営者と経営陣」ですが、それを看過したり収支バランス異常を来した社員側の責任もあります。(葬儀は一族経営なので、社員には発言権や投票権、拒否権もないが)
その意味で、買い手にとっては単純労働力(言われた、指示された、書かれた仕事だけをこなす)は害が少ないので承継ですが、管理職以上は不要です。
実は公立病院等でも同じことが起こっています。
毎年10億円近くの赤字を出していた市立病院を、民間に経営をさせたところ、3年後には1億円の利益を出すようになり黒字が続いています。
箱物の施設や機器、看護師や医師等も同じであり、変わったのは経営陣(市役所)と事務(公務員)であり、「首を切らずに立て直し」に成功はしています。
勝算(管理者投入で何とかなる)があると考えたから、買ったのでしょうが。(進出拠点は別の考え)