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なぜ葬儀屋は嫌われるのか? 




葬儀屋を毛嫌いする人って多いですよね。

多分ホンネの理由としては

Ⅰモラルが低い
Ⅱ穢(けが)れている
Ⅲ頭が悪いくせに稼いでいる

という点が挙げられるのではないでしょうか。
(2チャンネルにもこの手の書き込みが見られます)

何事にも原因や理由があるはずですから、それを分析していきたいと思います。

Ⅰ葬儀屋はモラルが低い

こうなふうに言われてしまう理由として、
消費者の知識不足をいいことに、
葬儀費用の不透明な価格設定で、消費者をだましている

という消費者側の主張があります。

確かに悲しいかなモラルの低い、
お客さんをだますことを企んでいる葬儀屋はまだいっぱいいます。

ですから、それをもって「葬儀屋なんて」
とおっしゃる方の気持ちはよく分かります。

さて問題はそこからです。
この状況を改善するには?

ここ数年、「だます」行為としては
「振り込め詐欺(オレオレ詐欺)」が有名ですよね。
この振り込み詐欺にあわないためにすることは何でしょうか?
振り込み詐欺をする奴を、非難する?
それでは振り込み詐欺はなくならないですよね?

村上龍氏の著作に「だまされないために私は経済を学んだ」というのがあります。

そう、だまされたくなければ勉強しないといけないのです。

確かにかつては、消費者側に情報が十分に提供されていませんでした。
しかし、今はインターネットの発達で、そこそこの情報が手に入ります。

ではなぜ消費者は日頃から情報を集めて勉強しないのでしょうか?

だって日頃、人が死ぬことなんて考えたくないじゃない

うん、たしかにその気持ちは良く分かります。
私も父が亡くなるまで葬儀の情報を集めませんでした。
参照(父の葬儀の思い出とその周辺の記憶

でもそれっておかしくないですか

だって、そういう人って生命保険には入っていますよね?
(生命保険文化センターの「平成18年度 生命保険に関する全国実態調査」では生命保険の世帯加入率は87.5%)

生命保険には、
自分や家族が死ぬときのことを考えて
入ったのではないですか?
それなのに葬儀のことを考えるのはイヤって矛盾していませんか?

さらに、葬儀が情報の不足している消費者をだましてる商品であるというなら
生命保険も消費者をだましている商品です

生命保険に加入している消費者のうち、一体何割の方が
「健康保険」「医療費控除」「高額療養費制度」
「遺族年金」「純保険料と付加保険料」
の存在を知っているでしょうか?

「ガンの平均治療費は平均300万円かかるんです」
というのは保険勧誘員の方の常套句ですが、
この発言が無知な消費者をだましているということは、
ちょっと調べれば分かることです。
(詳しく説明すると長くなるので、「あなたの「生命保険」払いすぎ!」かんき出版や
生命保険の「罠」 (講談社+α新書) などの本をよんでください)

ちなみに
「純保険料」は、保険料の支払いにあてられる分
「付加保険料」は、保険会社の従業員の給料など保険金以外にあてられる分
です。
最近まで純保険料と付加保険料の比率を、保険業界は公開してませんでした。
最近になって新興ネット保険会社のライフネット生命保険がやっと公開しました。
(参照ページ)
その結果、商品によっては、大手生保の付加保険料は、
ライフネット生命保険の付加保険料の5倍であることが発覚しました。

これって「不透明な価格設定で、消費者をだましている」
ことにはならないんでしょうか?

えー、なんか保険業界批判になっちゃいましたけど(^^;)

それから公営ギャンブルのたぐい、例えば宝くじもそうですよね。
宝くじの当選金として使われるのは、宝くじの総売り上げの半分だけです。
残り半分は、国と銀行が持って行ってしまいます。
ファイナンス理論の期待値の考え方だと、
10,000円払って5,000円の商品を買っているのに等しいのです。
でも宝くじには、多くの方が喜々としてお金を払いますよね。
だまされているなんて言わないです。

保険業界や宝くじは結構大きなマーケットなのですが、
なぜ葬儀業界ほど非難されないのでしょうか?

ちょっときつい言い方をすると
勉強不足を葬儀業界のせいにしては、進歩が無い
と思うのです。

別に私は、絶対勉強しろ!と言っているわけではありません。
勉強する、しないは個人の自由です。
(もちろん生命保険に入るのも宝くじを買うのも)
ただし勉強しなかった為にかかるコスト=ツケ(つまり悪い葬儀屋さんに多額の葬儀費用を請求される)をかぶるリスクは消費者の自己責任で負ってくださいということなんです。
(どこの保険会社のどのプランを購入するかを考えるより、安くて良心的な葬儀社を探す方が、費用対効果は圧倒的に高いですよ。)

何度も言うようですが、葬儀屋さんのモラルのせいにしていては、
いつまでたっても、消費者と葬儀屋さん、どちらにも良い影響はあたえません。

私は消費者の皆さんに葬儀に関する正しい情報を知って欲しいという目的でこのブログを書いています。

なぜなら
悪い葬儀屋さんを市場から追い出す手段は、
消費者が良い葬儀屋さんを選ぶ以外にないから

です。

次は、やっかいなことに
理性的ではなく、生理的嫌悪によって思考停止にさせてしまうⅡとⅢの理由の話を始めたいと思います。

 

Ⅱ穢(けが)れている

今回は葬儀屋が嫌われる2番目の理由
「葬儀屋は穢(けが)れている」の解説から始めます。

日本の歴史的経緯から考えるとデリケートな問題なのですが、やはり避けて通れないですよね。

穢れの定義に関しての詳しい説明は日本版ウィキペディアを見てもらうとして

やっぱり「死」と「遺体」を扱うということの生理的嫌悪
は日本人の根底にあると思います。

私の場合はこの仕事を始める前から両親が鬼籍に入っていましたから、死や遺体への嫌悪感っていうのはなかったですね。
そもそも死んだら急に気味悪がられるって、亡くなった本人からしたら悲しいじゃないですか。

でも親戚に「葬儀社に就職決まった」って言ったら嫌な顔されました。

この問題に理屈で反論することは簡単なんです。
多分嫌悪している方も、良心の呵責(かしゃく)や理屈に合わないということは感じていると思います。
「生理的」な問題だから、難しい。

残念ながら穢れの思想っていうのは、なくならないのではないでしょうか
長年日本の文化の中に根付いてきたものですから、そうやすやすとはなくならないと思います。

それから、葬祭業=穢れの仕事、という構図が
→葬儀屋なんてやりたくない
→供給側の人材不足
→葬儀屋の給与を押し上げている(経済学をかじった方は需給曲線を頭に描いてください)
と思えば仕方ないし、多少なりとも葬儀屋が我慢すべきなのかなというのが私の意見です。

漫画「バガボンド」の中で「俺の真実があれば(いい)」というセリフがありましたけど、自分のやっていることに信念があればそれでいいと、思っています。

Ⅲ葬儀屋は頭が悪いくせに収入が多い

あえて挑発的なタイトルにしてみました(^_^;)
要は能力以上の給料もらっているんじゃないかってことです。

稼いでいるっていうのは分かるけど、頭が悪いって世間は思っているのか?
という懐疑的な意見もあるかもしれませんね。

でもお医者さんのこと考えてみてください。

高収入・遺体にも触れる・過酷な労働条件 ってところまでは、葬儀屋と同じはずなのに、医者は社会的ステータスが高いですよね。
医者は命を救っているからという意見もあるでしょう。
でもすべての医者が脳外科のように生命に関わるレベルの治療を行っているわけではないので、その反論も決定的ではないかなと。

となると
医者は受験勉強を一生懸命やって、難しい大学に入るという選抜を経て今のポジションを得たが、葬儀屋は穢れた職業に就くという「恥」を捨てるというハードルを越えただけで高収入はけしからん
という感覚に依る部分が大きいのではないかと思うのです。

いやいや、世間はそこまで思っていないよ、といわれるかもしれません。

しかし・・・
葬儀業界自身が、葬儀屋はバカだと思っているフシがありまして。
というのは葬祭ディレクター試験という葬儀業界の資格試験があります(私もこの資格を持ってます)

この試験科目の一つに「接遇」っていうのがあります。

これはお客様への挨拶の実演をするっていうものなんです。例えば
「○○葬儀社の○○と申します。
このたびはご愁傷様でございました。
これから打ち合わせを始めてもよろしいでしょうか。
本日はよろしくお願いします。」
というような挨拶を2分間の制限時間に行います。

これを聞いたとき、何の目的でこんなことするのか訳が分からなかったですね。
こんな挨拶、誰でもできるだろう、って言うのが正直な私の感想でした。

後日この接遇試験の意図を関係者に聞く機会がありました。
その方の話によると「いや、この挨拶すらちゃんとできない葬儀屋がいるんだよ。敬語の使い方なんてメチャクチャだよ」
とのこと。

んー、でもそれって葬儀屋以前に社会人としてダメなのでは(^^;)
まさか、葬儀屋は社会人以下でも何とかなるってことか・・・

で、実際のところ、葬儀屋ってそんなにバカなのかっていう問題なんですが。
私の印象としては確かにアカデミックな教養がない人は多いです。
本は読まないし、ITにも弱い。
けど実践的な問題解決能力という頭の良さを持つ人は多いという印象ですね。
機転が利くというんでしょうか。
どっちかというと私は理屈をこねるのが好きな書生タイプなので、上記の様な頭の良さを持つ人には実務ではかなわないなと思います。

決して学歴や教養と収入がリンクしなければいけない訳じゃないでしょうけど、潜在的な世間の感情としてはやっぱり、葬儀屋儲けすぎという、やっかみ半分の意見があるのではないでしょうか。
このこのまた機会を改めて掘り下げたいと思います。

いろいろ書いてきて自分の文章を読み返してみると、
葬儀屋さん、消費者、保険業界、みんなにケンカ売っている(^^;)
もし不愉快になった方がいらっしゃったらすいません。
<(_ _)>
多少の向かい傷は覚悟してます。

でも消費者の方と葬儀屋さんの関係がもっと良くなることを願っているという点だけは分かってもらえたら、と思います

最後までおつきあいいただいてありがとうございました
<(_ _)>











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