最近(2009年)の
病院と契約している葬儀社の事情
についての話です。
葬儀社と病院の関係
ある程度葬儀に関するサイトをお読みになった方ならご存じだと思いますが、葬儀社と病院の関係について、一般的にネット上で書かれていることを、まず簡単にまとめます。
「病院内では、病院と契約した葬儀社が下記の業務を請け負っている。
・病室から病院内の霊安室へのご遺体の移動
・病院内の霊安室の管理
葬儀社はこれらの業務を病院から請け負うことにより、病院内で遺族とコンタクトを取ることができるので、葬儀の施行につながる。
そのため
病院と契約を結ぶために、病院に高い金を払っている。
葬儀社は病院に支払った分の金額を、葬儀費用に上乗せしている。
だから病院の葬儀屋には絶対頼んではいけない。」
こんなところでしょうか。
葬儀社と病院との癒着は割にあわない?
最近の葬儀業界では
病院の霊安室業務を請け負う(病院の出入り葬儀社になる)ビジネスモデル(?)は崩壊しつつある
という話を良く聞きます。
「20年以上前なら霊安室での遺族に対しての営業活動で葬儀を請け負う確率は5割ほどであった。
しかし最近は1割近くになり、直葬の人も多くなった。
そのため病院の出入りの葬儀社をやるのは割にあわなくなってきた」
というものです。
1割に近くになった原因は、やはり
・消費者の側に病院の葬儀社に頼んではいけないという認識が出来た
ということと
・事前相談をして、葬儀社を決めておく人が増えた
ことによるものでしょう。
いいことだと思います。
わたしも、病院の出入りの葬儀社には頼むべきではないと思います。
ただ、私の場合、上記の様に、病院に金を払って、葬儀費用に上乗せされているから・・・ という理由ではありません。
病院と契約している葬儀業者をおすすめしない理由
病院に金を払って、葬儀費用に上乗せされているからという理由は、感情的には分かりますが、論理的ではありません。
なぜなら、「TVのCMで宣伝している商品は、多額の広告費を商品の値段に上乗せしている。だからCMで宣伝している商品は買ってはいけない」
という論理と同じだからです。
病院の葬儀社に依頼しなければならないというルールがあるならともかく、
依頼するしないは消費者の自由なのです。
もし病院に金を積んだ結果、消費者がその葬儀社の葬儀費用が高いと感じたなら、消費者はその葬儀社を選ばなければいいだけの話です。
(だって遺族は十分な判断できないんだから・・・という方はこのページ(なぜ葬儀屋は嫌われるのか? )を参考にしてください)
私が病院と契約している葬儀業者をお薦めしないのは
確率の悪いギャンブルになるから
です。
病院で出会った葬儀社に葬儀を頼むというのは、タウンページで適当に目にとまった葬儀社に葬儀を依頼するようなものだからです。
わざわざそんなギャンブルをする必要は無い
というのが私の意見です。
今後、病院の葬儀社に依頼する割合が1割を切れば、葬儀社側としても投資とリターンのバランスが取れなくなるでしょう。
大きな病院の出入りの葬儀業者の場合、毎日病院の霊安室に葬儀社のスタッフを二人ほど、待機させておかなければなりません。これも葬儀社の利益を圧迫する結構な出費です。
現在、都立の病院は抽選で葬儀社を選ぶようになっています。いずれ私立の病院も、出入りの葬儀社を決める際に、お金のやりとりを行わずに選ばれるような時代がくればいいと思います。
この流れを加速させるためには、消費者が良い葬儀社を選ぶ必要があります。
良い葬儀社の選び方はこのブログをお読みください。
ご遺体の搬送を病院契約の葬儀社に頼んではいけない
葬儀を行う葬儀社は決まっているけど、病院から自宅へのご遺体の移動は病院と契約している葬儀社に頼むという方がいます。
これは危険です。
葬儀の施行に至らないと判断した病院の葬儀社が、搬送費用を高く請求したり、必要のない棺を売りつけたりするケースがあります。
葬儀社が決まっているなら、万が一の際、すぐその葬儀社に一報を入れ、病院の葬儀社には「頼んだ葬儀社が迎えにくる」ことを宣言してください。
トラブルになった場合
またもし
・明らかに不当な請求をされて
・病院が公立だった場合
病院に抗議すると葬儀社に言ってみてください。
公立の病院は葬儀社と病院間のお金のやりとりが無く、抽選で葬儀社を選ぶことが多いので、葬儀社としても遺族と揉めたくないと考えています。
病院の選定葬儀社を外されてしまうからです。
この脅しは効くはずです。