散骨の体験記です。
国内の散骨は
・船から海に散骨する
・セスナから散骨する
・ヘリコプターから散骨する
といった方法が一般的です。
費用百万円でロケットに遺骨をのせて(ただし10グラムが上限)
人工衛星軌道上に散骨する方法もありますが、
これって遺族も宇宙に同行しないと実感湧かないような気がするのですが。
(ちなみに飛行機から散骨した方の話によると、
一瞬でお骨が消えてしまって、余韻がなかったとのことです。)
この中でも最も人気があるのは
船から海に散骨する方法でしょう。
とはいうものの、まだ散骨自体がまだ一般的ではないのですが。
私の勤めている葬儀社の場合は年に1回あるかないかくらいだと思います。
海からの散骨の費用は大体25万円から30万円くらいで、
週末は高くて平日は安いようです。
ただし遺族の同行無しで、業者さんに散骨を全て委託する場合は10万円未満で行えるとのこと。
上記の料金にはお骨をパウダー化する作業も含まれています。
お骨は火葬場で収骨したそのままの状態では散骨できません。
さらさらのパウダー状にする必要があります。
多分に法務省の「節度ある行為なら散骨はOK」
という解釈に基づいているのだと思います。
パウダー化するのはアメリカから輸入した機械を使うそうです。
ちなみにお骨をパウダー化(粉骨)するだけなら国内では
戸田葬祭場(東京都板橋区)
海士町火葬場(島根県海士町)
新冠粉骨場(北海道新冠町)
でも可能です。
散骨は無宗教葬と一緒で、
潜在的な需要はけっこうあると思うのですが、
周囲の反対が障害になっていると思うのです。
本人が生前、散骨を望んだとしましょう。
でも代々守っているお墓があったり、つきあいのある菩提寺があったり、お骨はずっと手元に置いときたいという家族の希望があったりして、
結局反対されてうまくいかないことが多いと思います。
なかなか急進的な行為って「伝統的」な枠組みの中ではやりづらいのです。
とはいうものの、白木の祭壇も霊柩車もたかだか100年くらいの歴史しかなく、
始まった頃は、「何これ?」的な扱いだったとは思うのですが。
もしご自分が亡くなったときに散骨してもらいたいが、周囲に反対されている方は、
お骨の半分だけ散骨してもらう
という形で説得する方法もあると思います。
現状では、なかなか散骨の体験情報を耳にされる機会も少ないと思いまして、
私が担当した御喪家が、海から散骨された時に同行したときのことを
お話ししたいと思います。
散骨は故人の生前の希望でした。
沿岸部での散骨は禁止されていますので、
貸し切りのクルーザーを40分ほどを走らせて沖に出ます。
出発の際、お孫さんが
「海岸にまいた方が、若い女の子が多いからおじいちゃん喜ぶんじゃない?」
と発言して、皆さんを笑わせました。
クルーザーに乗るのは私を含め皆さん初めてでしたが
どなたも船酔いはしませんでした。
梅雨に入る前で、天気も良くなかなか爽快でした。
散骨する海上のポイントに到着すると、
パウダー状になったお骨を人数分紙に包んだ状態で手渡されます。
そして紙に包んだお骨を南国系の鮮やかな色のお花と一緒に海に投げ入れます。
その際故人が好きだったJAZZの曲をBGMとして流しました。
無宗教葬の時に使ったのと同じ曲です。
そうしてクルーザーはぷかぷか浮かぶ紙包みとお花の周りをぐるぐる回り出し、
紙包みがゆっくり沈みだして見えなくなるまでの、5分間、回り続けました。
そして港に帰ります。
実はこの目で見るまで、散骨って実際どうかなぁという気持ちがあったのですが、
経験してみると、なかなか良いものだと思いました。
多分、そう感じた理由としては
クルージングの高揚感
海の美しさ
それに加えて
DNAレベルの太古の記憶が・・・っていうと大げさなんですけど、
海に還るって意外と安心感があるものだと感じたせいでしょうね。
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