ティア社長冨安徳久氏へのエール

名古屋発の葬儀屋さんで東証一部にも上場されたティアの社長 冨安徳久氏の新刊が久しぶりに出ました。

最期の、ありがとう。新・ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)

出版後内容を確認しようと都内の大きい本屋さんに寄った機会に探してはみたのですが、紀伊國屋にも三省堂にも置いていません。
去年できたばかりのWonder Noteという福岡市にある出版社から発売されているらしく、あまり流通していないようです。
そこでAmazonから購入。

内容は以前発売された冨安氏の半生を描いた本「ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)」を加筆修正したものです。

この「ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)」には3つのバージョンがあります。

A ホメオシス版2008/7/10発売

B 講談社+α版 2009/9/17発売

C そして今回 2018/07/07にWonder Noteから発売された「最期の、ありがとう。新・ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)」
というラインナップです。

徐々に話が盛られていっているわけですが(笑)

以前AとBに関連して書評を書いたことがあります。

冨安徳久「ぼくが葬儀屋さんになった理由」を私が認めない理由 | 考える葬儀屋さんのブログ

このように問題点を指摘しました。このときはティアさんと冨安氏の立場を慮って、あえて具体的な内容には触れませんでした。
ただ葬儀業界では、この問題点が何かを知っている人も多いらしく、コメントやメールで、あの件ですよね?というご意見はいただきました。
今回Cにおいて、その箇所に修正が加えられたことと、状況が変わったことにより、問題点をオープンすることにしました。(オープンにした詳しい理由については後述します)

私が指摘した問題点は、Aには書かれていなかったのに、Bでは書き加えられたものです。
それは冨安徳久氏の息子さんの経歴に関するものです。
Bには下記の内容の記述があります。
「冨安氏の息子は明治大学を受験して現役で受かった。しかしその後冨安氏には内緒で大手葬儀社の面接を受けて内定。大学合格を蹴って大手葬儀社に就職した」という内容です。

これは嘘です。

事実は
「冨安氏の息子は大学には受からなかったので、冨安氏のコネで大手葬儀社に入社させた」
です。

先程「嘘」と申し上げましたが、AもBもCも、巻末に「事実に基づいて書かれているがフィクション部分も含まれている」という「逃げ」の但し書きがあるので、嘘ではなく、問題のある記述という表現が適切なのかもしれませんが。

こうして書く以上は複数筋から事実確認をとっています。

大学受験に関して潔白を証明されたければ、明治大学の合格通知か入学金振込履歴でも出していただければと思います。
就職のくだりに関しては、外部の人が普通に読んだとしてもおかしいと思うであろうところが何ヶ所もあります。
動機も採用のタイミングも採用方法も、ヘンです。
また大手葬儀社の人事担当役員と冨安氏が顔見知りだったのですから、普通なら住所が名古屋で名字が冨安という珍しい名前で履歴書が提出された段階で、確認のコンタクトがあるはずです。

もうちょっとうまく嘘をつかれては辻褄をあわせてはいかがでしょうか。

要は創業社長が、後継ぎになるかもしれない自分の息子をこんなにデキる子なんですと紹介することで、景品表示法でいうところの優良誤認を行ったということです。

冨安氏はCで初めて「僕はあえて一族ではやらない、と決めて子供達にも伝えていた」と加筆していますが、本当でしょうか。
最終的に息子を自分の会社であるティアに入社させて、ティアの感動エピソードを扱った書籍にまるまる1章を使って実名で登場させるなど、結構なことをおやりになっていたと記憶しますが。

この話が危なっかしいのは、会社が上場している以上、投資家の判断材料にもなりうるということです。
全部が事実ではないという後書きも、この場合免罪符にはならないでしょう。
出てない大学を卒業したと言っているわけではないので、経歴詐称とまではいきません。
しかし、我が子かわいさとはいえ、問題のある行動だと私は考えます。
万一息子さんが後継者になるのだとしたら、爆弾になる可能性は考えなかったのでしょうか。

こういったデリケートな背景があったため、これまで冨安氏本人にだけ伝わるような表現にとどめ、その内容をオープンにするのは避けてきました。
息子さんの評価にマイナス要素を与えることなく、冨安氏が反省してくれればいいなと思ったのです。
私なりの配慮です。

今回この内容をオープンにしたのは、2つの理由があります。

1つは、Cの内容から「明治大学」に関する記述が消されていたからです。
(どうでもいいことですがBでは中高一貫校出身と言っていたのが、Cでは高校は推薦となっています。)
Aの状態に戻す、つまり息子さんの経歴に関する記述を全て削除したなら、反省したと解釈できます。
しかし今回の中途半端な修正は、うやむやにして隠蔽を計ろうとしていると解釈しました。

もう1つは今年に入り当の息子さんが社外に出て独立されたため、後継者としての可能性は無くなったのだろうと判断したからです。
今回この話をオープンにしてもティアさん自体への評価には、もう影響を与えることはないでしょう。
彼が独立された背景は分かりません。

誤解のないように付け加えますが、冨安氏は優秀な人物であると私個人は思っています。
この件で彼を偽善者と呼ぶ葬儀業界人もいますが、名経営者でも多くが跡継ぎ問題で判断を誤ります。
嘘で世の中を渡っていけると教えることは子供の教育上よくないとは思いますが、それは冨安家の教育方針の問題なので外部からとやかく言うつもりはありません。

とはいえ上記のようなことをおやりになっておきながら
講演で教育について語り「学歴は重要ではない」とおっしゃっていることに関しては、
当初冨安氏の発言に感銘を受けていた身としては、非常に残念です。
(参考記事:株式会社ティアの冨安徳久社長ヘ | 考える葬儀屋さんのブログ
しゃべりながら葛藤があったと信じたいです。
だから今回の記事に関しては、
これからはしっかりしてくださいね、という私からのエールだと思ってください。

もし私の記述が誤りであるということを証拠とともに証明された場合、もしくは私の指摘を潔く認められた場合はこの記事を削除いたします。

 

ああ、それから最後に一つ。
Bで冨安さんは国立の山口大学経済学部に現役合格したと書かれていますが、
Cではその記述を削除されていますね。
息子さんと同じく、合格はしたけど葬儀屋さんをやるために行かなかったと。

大丈夫ですよね?