原作:高橋源一郎、作・演出:平田オリザの舞台
「日本文学盛衰史」を観てきました。
普段お芝居はあまり観に行かないのですが
・明治の文豪のお葬式が舞台であるらしい
・平田オリザ氏の著作を何冊か読んだことがある(平田オリザ氏に関する記事:考える葬儀屋さんのブログ)
・そしてこの日は終劇後、演出した平田オリザと内田樹の対談があった(内田樹氏に関する記事:考える葬儀屋さんのブログ)
という理由で劇場のある吉祥寺に足を運びました。
週末ということもあり席はほとんど埋まっていました。
現在(2018年6月)も公演中なので、プロモーションで明らかにされていること以外には、ネタバレになるので言及しません。
ただ観に行く方へのアドバイスとしては
明治時代の作家とその生涯の知識がないと、舞台もよく分からないと思います。
平田氏にもその葛藤はあったようで、数ページにわたるパンフレットの記述でフォローされようとしていました。
しかし開場は20分前からで、その時にパンフレットが渡されるので、文字の小ささも加わって老眼の人はほぼ目を通すことはできないでしょう。
客層は50~60代のインテリっぽい男性が多かったので既に承知済みなのかな?
多分私もネタの3割くらいは理解できていないのだろうと思います。
ちなみに原作の「日本文学盛衰史」は読んでいません。
これから観に行く方のために主要人物のウィキペディア情報にリンクを貼っておきます。必読です。
島崎藤村 田山花袋 森鴎外 北村透谷 二葉亭四迷 樋口一葉 正岡子規 与謝野晶子 石川啄木 幸徳秋水 夏目漱石 大杉栄 平塚らいてう
ちなみに田山花袋がいい味だしています。
これも彼の著作「蒲団」がどういう作品か分かっていないとよくわからないと思います。
(分かればいいので、読む必要はありません。青空文庫で無料で読めますが)
<https://ja.wikipedia.org/wiki/夏目漱石#/media/File:Natsume_Soseki_photo.jpg>
さて終劇後の平田オリザ氏と内田樹氏の対談の中で個人的に印象深かった話を。
(私の記憶で意訳しています。ご容赦を)
「お葬式を舞台にするのは演劇のパターンとしてある。
・登場人物を集めやすい
・対象者の生涯を振り返りやすい
・弔辞者に語らせやすい
という構造から作劇がやりやすいから。」
↑サスペンスドラマにお葬式のシーンが多いのもまさにこれ
「生き残った者は亡くなった者の遺志を継承していくというお葬式の構造が
文学による日本語の表現の進歩と重なる」
だからお葬式という設定は舞台で安易に使われやすいのです。しかしこの構造だったからこそ
今回は600ページにわたる「日本文学盛衰史」を2時間の作劇に収めることに成功したとも言えるでしょう。
演劇としてはそんなにおもしろいとは思わなかった、というのが感想です。
(平田オリザの演劇論と、明治文学のバックグラウンドがおまえになかったからだよ、と言われればその通り)
しかし今回多少知識を仕入れてこのお芝居を観たことで、明治時代の文学の流れが頭に入ったのは収穫でした。
行って損はなかったです。
(追記)
それにしても小劇場に行くたびに思うのだけれど、なんでああいうところのイスは固いのだろう。
後半はお尻の痛みで演劇どころではなくなると思うのだけれど。
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