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葬儀屋の給料ってどれくらいか、葬儀屋さんが教えます




葬儀屋さんて

  • いくらもらっているのか
  • 給料はどういう仕組みで決まるのか
  • 給料を上げるにはどうすればいいのか

について、葬儀屋さんが語ります。

結論

給料についてまず結論。

ポジション・勤務体系などの条件で幅がありますが
契約社員なら年収250万~350万円
30~40才位の夜勤もバリバリやる男性なら年収300万~600万円
が相場でしょう。
葬儀社や業務内容やエリアでも差があります。

後述しますが、私の年収は1,000万円くらいです。

くわしくは、以下をお読みください。

公開されているデータから分析

葬儀業界の給料の記事を書こうとしたところ、こんな記事を見つけました。

おくりびとの平均年収はいくら。葬儀業界の収益構造と給料の実態。」(←現在リンク先の記事は無くなっています)

葬儀屋の給料について良く調べられている記事なのでこれに乗っかかることにしました。

(「おくりびと」は、正確には納棺士なのですが、この記事は葬儀屋さんについて書かれています)

上記の記事データに、一部修正を加えた図がこちら。

原則上場している会社しか従業員の給料は公開しませんから、この図に載っている企業はすべて上場企業です。
ですから葬儀業界の中ではちゃんとした企業といえるでしょう。

○△×は私が付けました。
参考にできるか否か、の目印です。

なぜなら

燦HDは持ち株会社なので、葬儀担当者はいないはず。だから実際の葬儀屋さんの給料を反映していない数値なので×

東京博全も式場・火葬場経営のみを行っている企業で(地方の方は驚かれるかもしれませんが、東京の火葬場の多くが民営なのです)、葬儀社ではない。だから×

ニチリョクは葬儀部門はあるが主力は墓石販売、サンライフと平安レイは互助会のため、ホテル部門や結婚式部門のデータも反映されてしまっているはず。だから△

よって純粋に葬儀屋さんの給料が反映されているのはティアのみ○
ということになります。

私の実感に過ぎませんが、掲載された給料の額は妥当な線かなと思います。

ちょっとだけ少なめかなと感じるところもありますが、
上場企業の場合、労働基準法などに配慮して、他の葬儀社に比べて労働時間は短めで休日は多いんではないでしょうか。
あと夜勤や残業のの関係上、女性より男性の方が給料が多いはずです。

葬儀業界以外の人から見て、この給料のデータはどんな印象なんでしょうね。
世間一般の平均給与額(サラリーマンの平均は420万円ほど)と比べて多いけど、予想よりは少ないっていう感想かなと思うんですけど・・・

ゴシップ誌が書いているような葬儀屋のボロ儲けなんて、昔の悪徳葬儀社の限定の話です。

現在、裏の給料は存在しない

ここで一点気になるのは、いわゆる裏の給料です。
葬儀屋はお寺からバックマージン(紹介料という形で葬儀屋に支払う)を貰っているとか、遺族に心付けを強要しているという話がたまにメディアで流れます。それを自分の給料に充てていると・・・

私の勤めている葬儀社は昔からそのような行為を禁じています。葬儀業界の実態はウワサ程度のことしか知りません。
芸能人の麻薬みたいなもので、やってる奴はいるだろうけど、多数派じゃないだろっていうのが、私の印象です。
業界自体が不景気になってきている昨今、そういう連中はどんどん淘汰されているはず。

ちなみに上記の会社はそんなことはやっていないでしょう。モラルうんぬん以前に、上場企業がそんなことをやるのはリスクが大きすぎます。
町の葬儀屋レベルでも、寺からバックマージンをもらっていたのでクビになったという話を、10年前でさえ良く聞いたので。

(追記:2023年4月にティアの従業員が、遺族の香典を盗むという窃盗事件を起こしてしまったので上場企業だからといって性善説で信用できなくなりました。ただ寺院側ももうバックマージンを払う体力はないと思います。)

葬儀屋の給料は実力を反映する

葬儀屋の給料って実力を反映しています

なぜなら葬儀屋の人件費には市場原理(=競争原理)が働いているからです。

消費者が葬儀社を選ぶ際には、情報格差のため市場原理はなかなか働きません。ダメな葬儀社でも消費者に選ばれてしまう。しかし葬儀業界で働く人の収入に関しては市場原理が適正に働いているのです。

なぜなら葬儀業界は規制が無く人材が流動的だからです。
そのため競争原理が働きます。

一般的な規模の葬儀であれば、一人の担当と数名のサブスタッフで施行されます。
無宗教葬をのぞけば葬儀の様式もほとんど変わりません。
また大手の葬儀社であろうが零細の葬儀社であろうが一人の担当が責任者として施行する構造は同じです。
そして多くの葬儀担当者は打合せ、設営、司会などゼネラリストとしてのスキルを持っています。
ですから勤め先を変わっても葬儀担当者としてのスキルをそのまま使えるわけです。

料理人と同じといえば分かりやすいでしょうか。
料理人がより良い労働条件を求めて勤め先を転々とするように、この業界も人材は流動的です。

通常規制が無く、人材が流動的であるならば競争原理が働き、給料は能力に応じた物になります。
ですから優秀な葬儀屋が安い賃金で働いているということはありえないのです。

たまに葬儀屋さんのブログで
「自分の収入は300万円」とおっしゃる方がいますが、
ウソを言っているか、契約社員の方か、よっぽど働きが良くないか(失礼!)のいずれかではないでしょうか。
(葬儀業界がブラック化して最近は300万円の葬儀社正社員も普通に見かけるようになりました。次の章へどうぞ。)

葬儀屋さんの本当の給料 2022年加筆

上記の記事を書いてから、約13年が経ちました。
葬儀屋さんの給料がどう変化したか、現時点での最新のデータを見てみましょう。

上場企業の葬儀屋さんの給料はいくらか

ではさきほどの上場企業の葬儀屋さんの給料を確認してみましょう。上場している葬儀屋さんは数社しかないのが残念ですが
上場企業は従業員の給与を有価証券報告書で公開しているので、貴重な情報です。

ちなみに有価証券報告書に掲載されている給与額は、
・正社員だが役員は含まない
・ボーナスと残業含む
金額です。

つまり普通の社員がもらっている総額ということですね。

平安レイ

平安レイ給料2021年

平安レイさんは互助会なので、葬儀部門だけではなく、結婚式部門や介助事業や互助会契約部隊の給与も反映されるので、注意が必要です。

しかしIRのデータを見ると、対象者数174名のうち、65%の113名が葬儀部門で占められています。
正社員の葬儀担当者の実態と、それほど違っていないはずです。

平均給与は約541万円。スタッフの平均年齢が約46才、平均勤続年数が約16年です。
2009年の時点で
平均給与は約624万円。スタッフの平均年齢が約40才、平均勤続年数が約11年でした。

つまりスタッフの平均年齢は6才延びたのに、平均給与は83万円(13%)ダウンしています。

ティア

510名中、75%の380名が葬儀部門のスタッフなので、ティアさんが一番葬儀現場の給与を色濃く表していると思われます。

平均給与は約526万円。スタッフの平均年齢が38.5才で平均勤続年数7.0年です。
2009年の時点で
平均給与は約520万円。スタッフの平均年齢が約33.3才で平均勤続年数が約2.1年でした。

平均年齢は5才延びましたが、給与は6万円アップでほぼ横ばいです。

その他の葬儀社

燦ホールディングス給与2021年
以前の記事でも述べたように、燦ホールディングスは持ち株会社です。
そのため現場の葬儀屋さんではなく役員とバックオフィス(総務や経理なのどの事務方)のみの給料になってしまうので参考になりません。

サンライフ給料2021年

またサンライフも2018年から持ち株会社に移行してしまったので、役員とバックオフィスの給料しか分からなくなってしまいました。

進むブラック化

さて先程見ていただいた各社は、上場していることから分かるように葬儀業界内ではトップクラスの優良企業です。
にもかかわらず、給与は横ばいもしくは減少です。

ということは、4,000~5,000社あると言われている葬儀社のほとんどで、この10年間給与が下がったと見るべきでしょう。

ちなみに2009年の日本全体の年収の中央値は427万円だったのですが、2022年の中央値は433万円(賃金構造基本統計調査より)でした。
つまり日本人全体の給与が横ばいだったのに対して、葬儀屋さんの給料は下がってしまいました。

それから2009年の日本の死亡者数が114万1920人であったのに対し、2021年の死亡者数は145万2289人人でした。
つまり葬儀の件数は、約40万件(35%)増えています。
単純計算すると業界全体で仕事量が35%増えたということです。

葬儀屋さんの労働人口の正確な統計は存在しないのですが、労働人口が3割増えたという実感は全く無いので、葬儀屋さん1人当たりの仕事量は増えているはずです。

つまり、葬儀屋さんの仕事量が増えて収入は減っているわけで、葬儀業界がブラック化したと言って良いでしょう。

葬儀屋さんのブラック化については↓この記事を参考にしてください。

「葬儀屋はやめとけ!」は、本当か。

 

実際のところ300万~600万

一口に葬儀屋さんの給料と言っても、いろんな要素で給料は変わってきます。
影響を与える要素を優先順位別にならべてみました。

  1. 会社の業績
  2. 正社員か契約社員かパート(アルバイト)か
  3. 営業所長(マネジメント)か葬儀担当かサポート業務か
  4. 残業の多い少ない(もしくはサービス残業強要の有無)
  5. 夜勤の有り無し
  6. 都市部か地方か
  7. 年齢給を採用しているかどうか(結構年功序列的な会社が多い)
  8. 法律を守っているか、いないか(笑)

最後は冗談みたいですが、法律きっちり守っている葬儀屋さんなんて、大手のごくごく一部だと思います。コンプライアンス意識が高い方が、収入の絶対値が高いとは必ずしも言えませんが、休日などの福利厚生とのバランスは優れています。

学歴は、ほとんど給料に影響を与えないと思います。

ただ新卒採用している大手の場合は、エントリーの必要条件である場合も。
とはいえ、そういう大手でも、大卒しか採らないというところはおそらく存在しないでしょう。高卒は不利なだけでチャンスはあります。

https://kangaerusougiyasan.com/archives/2048322.html

このようにポジションや業務内容によって大部異なるということを前提にお聞き頂きたいのですが
サポート業務で契約社員なら年収250万~350万円
30~40才位の夜勤もバリバリやる男性なら年収300万~600万円

というところが、ボリュームゾーンではないでしょうか。

たとえば
地方都市で、夜勤無しで葬儀担当してる30才女性なら300万円とか
都市部で夜勤含めて残業100時間くらいの35才男性で500万円とか
は、標準的かどうかは分かりませんが、普通にいます。

ただし、都市部で夜勤含めて残業100時間くらいの35才男性なのに、300万円で働かせる葬儀社も存在するのが、葬儀業界の怖いところ。

このように労働条件によって大きく変わってくるので、ネットで出回っている葬儀屋の収入の平均値や中央値に、あまり意味はありません。

葬祭業は遺族の役に立っているというやりがいを感じやすいので、安い賃金で働かせる「やりがい詐欺」になりやすいです。こういう言い方は申し訳ないですが、介護職と似ているかもしれません。
葬儀社を選ぶときは注意が必要です。

最近は大手の寡占化が進み、零細の葬儀屋さんがどんどん潰れているので、決して景気はよくありません。
最近は正社員でも、「現在勤めている葬儀社は手取り17万円です」というような方が面接に来るようになりました。

ネットで言われている葬儀屋さんの給料は間違っている

2023年5月現在、ネットで「葬儀屋 給料」で検索すると、以下の内容の記事が散見されます。

葬儀屋の平均年収は386.1万円(平均年齢42.3歳)
内訳は平均月給約28.1万円×12ヶ月+年間賞与及びその他特別給与額の平均48.4万円
短時間労働者(パート・アルバイト)の場合、平均時給は1,298円

でもこの数字、間違っています。
おそらく実態よりもかなり下振れしてます。

その理由を以下、解説します。

この数値の根拠になっているのは、厚生労働省が毎年発表している
賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種 | 政府統計の総合窓口
というデータです。

この統計にはいろんな職業の平均賃金統計が載っていて、
さきほど紹介した葬儀屋の平均賃金は「その他のサービス職業従事者」の数値を元にしてます。

しかし「その他のサービス職業従事者」には
(旅行・観光ガイド、物品賃貸人、葬儀師、火葬作業員 等)が含まれている
のです。(出典:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/pdf/135-6-reizihyo.pdf

葬儀師はたしかに葬儀屋さんのことです。(「〇〇屋」という表現は蔑称にあたるという理由で役所は使わない。)
火葬作業員も葬儀業界の人なので、ギリギリよいとしましょう。

しかし

    • 旅行・観光ガイド
    • 物品賃貸人(レンタルビデオショップ店員、レンタルサイクル店員、貸しボート屋など)
    • 等(さらにそれ以外の職業)

が同じカテゴリーに入っているのはおかしいです。
厚生労働省は、葬儀屋も旅行ガイドもレンタルビデオショップ店員も、同じ職業だと考えているのです。
そして旅行ガイドやレンタルビデオショップ店員のデータを混ぜたものを、葬儀屋の給料として発表しているのです。

わけがわかりません。

おそらく葬儀屋さんは旅行ガイドやレンタルビデオショップ店員よりは給料がいいはずなので
葬儀屋さんの実際の収入より下振れしたデータが世間に出回っていることになります。

皆さんは、この数字を信用してはいけません。

今年2023年も、最新データが厚生労働省のサイトで公開されており、
年収381.9万円と書かれています。しかし先程述べたのと同様の理由で、間違っています。

↓使っているのはこのデータ。

ちなみに月の平均労働時間が165時間と書かれているのですが、これだと年間休日120日で残業がほどんどないってことになります。
そんな葬儀屋さんは存在しません。
これも旅行ガイドやレンタルビデオショップ店員のデータと混ぜてしまったがゆえのミスリードです。

厚生労働省はこのような誤った情報発信をただちに止めるべきです。
それから葬儀屋の情報を発信している就職情報サイトも、このデータを利用するべきではありません。

私の給料は大体1,000万円くらい

ちなみに葬儀屋さんとしての私の給与は大体1,000万円くらいです。

わざわざ公開したのは、こんな記事を書いておきながら自分の収入を伏せているのはフェアじゃないかな、と思ったのと
不景気な話が続いたので、葬儀屋さんでもこれくらいの給料なら目指せるよってことは、言っておいてもいいかなと思いました。

先程からの話で分かるように、この金額は葬儀屋さんとしてはトップクラスだと思います。
だからと言って、現在馬車馬のような働き方をしているわけではありません。

「葬儀屋 給料」で検索するといろいろ高給物件が出てきますよね。
正直けっこう眉唾な物件も多いです。

「おまえところ全然うまくいってないのに、そんなにもらえるの?もしかして社長の待遇載せてる?」みたいな(笑)

葬儀担当者「だけ」をやって1千万円いくのは、ほぼあり得ないと思います。
なぜならスタープレーヤーと言っても、体は1つなので、たとえ冴えない担当と比較しても、2倍の件数のお葬式は施行できません。またセールストークがいくらうまくても、葬儀費用を2倍にすることもできません。
保険販売や自動車ディーラーや投資銀行員なら、ボトムの層の2倍のパフォーマンスを上げることができるかもしれませんが、葬儀屋さんはそういうわけにはいかないのです。

それなら葬儀社社長にとっては、1人に1千万円はらうより、500万円で2人雇ったほうが生産的です。
肉体労働量を増やしていけるのも、40代までですし、年をとれば体を壊して退職するリスクも増えます。

よって葬儀担当者「だけ」をやっている1千万円プレーヤーはほとんど存在しないのです。

私は、プレイングマネジャー的な役割で、いろんなことをやっています。
いろんな部署をつないでいるハブ的な役割だという自己認識です。

たとえばマーケティング部門から上がってきたデータを元に、新商品開発のプロジェクトを回して、原価計算して売値決めて企画書書いて、メーカー探して商品開発して、販売ツールと販売マニュアル作って、リリース後はアンケート解析して、現場に販売ノウハウをフィードバックしてPDCAを回し続ける、ということもやります。

葬儀屋さんのスキル × お金を生み出すその他のスキル を掛け合わせることで、初めて1千万円のラインを目指せるのだと思います。

ツィッター上の他業種の1,000万円プレーヤーのツィートを見て「同じだな」と思うのは以下の3点。

①がんばるのもそうだけど、自分の能力にマッチする職業とポジションに立っておくのが、収入アップにとって大事だと言うこと。
そしてマッチングは有能かどうかというより運の要素が強いということ。だからこそ、マッチングを狙ってできるやつが本当の有能。

②1,000万円越えると、収入と幸福感は比例しない。(ノーベル賞を受賞した行動経済学者ダニエル・カーネマンは、80,000ドルと言っています)

③累進課税やら控除制度など日本の税制のせいで、収入1,000万円越えたあたりで、あんまり増えている実感がしなくなる。
1,000万を超えると、2,000万円までは収入の半分を国に持っていかれるイメージ。

到達した収入1,000万円の生活は、収入500万円の時にイメージしていた1,000万円の生活に遠く及びません。実感としては2倍ではなく、1.5倍にしか増えていない感じです。
聞いた話だと2,000万円越えだすとまた、「伸びてる」感じがするそうです。

でも2,000万円超えても自分の生活レベルは変わらない気がします。実際は株式の含み益なども入れると、本業以外に数百万円の収入が発生している計算ですが、なか卯のカツ丼に生卵を追加するかどうか数秒迷う生活です。ちなみに子供はおらず、住まいは賃貸です。

1千万円プレーヤーはサラリーマン全体の上位5%です。でもそこまで行ってもこの程度、というかお金の満足感てそれほどでもないのです。
お金で避けられる不幸はたくさんあるので、収入アップを目指すことは正しいのですが、1千万円越えてからはそんなにうれしくない、というのが実感です。

それよりは仕事のやりがいの方が気になる、というのが今の私の心境です。
でもそう思えるのは、ある程度の収入があるからだろ!と言われればその通りですね。

 

葬儀業界に興味を持った方は、こちらの記事も併せてどうぞお読みください。

葬儀社に就職・転職するその前に…葬儀屋さんがアドバイスをします











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