以前書いた
「葬儀社に就職したい!転職したい!人に葬儀屋さんがアドバイスをします(完全版)」
という記事の中で
「あなたが大学生なら、
今後30年先くらいまでは業界の展望に対して仮説を立てる必要
があります。
30年先を「当てる」のはどの業界でも大変難しいのですが。」
という偉そうなことを書いたものの(^^;)
ちょっと素っ気なさすぎるかなと思ったので
参考資料として
葬儀業界のPEST分析の図を作ってみました。
PEST分析というのはこんな手法です。
PESTとは、政治的(P=political)、経済的(E=economic)、社会的(S=social※)、技術的(T=technological)の頭文字を取った造語で、マクロ環境を網羅的に見ていくためのフレームワークである。PEST分析では、この4つの視点で外部環境に潜む、自社にプラスないしマイナスのインパクトを与え得る要因を整理し、その影響度を評価していく。
現在 | 10年後 | |||
---|---|---|---|---|
“P=Politics | ||||
(政治) | ・葬儀社の活動を規定する法律はない | 葬儀屋の質は向上しない | ||
(将来、消費者意識の高まりにより何らかの法律ができるかも) | ||||
・墓地埋葬等に関する法律(墓と火葬を規定する法律) | ||||
・その他関連する法律は「葬儀概論」を参照 | ||||
・将来、AIの全面導入により死体解剖保存法の改正有りか? | 葬儀屋の労働時間の増加 | |||
“E=Economy | ||||
(経済) | 長期不況 | 社葬の減少 | ||
デフレーション | 葬儀費用の抑制・直葬の増加 | 葬儀屋の賃金の低下 | 葬儀屋の質の低下 | |
年金問題による不安・支出抑制 | 葬儀費用の抑制・直葬の増加 | 葬儀屋の賃金の低下 | 葬儀屋の質の低下 | |
終身雇用の崩壊 | “会社関係の参列者数の減少 | |||
→葬儀の小規模化” | ||||
“S=Society | ||||
(社会・ライフスタイル) | “高度医療による医療費の増大”” | |||
葬儀費用の抑制 | 葬儀屋の淘汰 | 葬儀屋の質の向上 | ||
老人人口の増加 | 葬儀件数の増加 | |||
老人比率の増加(少子高齢化) | 葬儀費用の抑制 | |||
家族の少人数化 | 参列者数の減少→葬儀の小規模化 | |||
地縁関係の希薄化 | 近所の参列者数の減少→葬儀の小規模化 | |||
宗教意識の低下 | 葬儀の価値の低下 | |||
雇用の減少 | 葬祭従事者の増加 | 葬儀屋の質の向上 | ||
独居老人の増加 | ||||
“T=Technology | ||||
(技術) | ・インターネット(葬儀社と消費者の情報格差の解消) | 葬儀費用の最適化 | ||
誤った情報の流布 | ||||
あくまでPEST分析はマクロ視点なので
業界全体の傾向を反映して不景気な話になってしまうんですが
業界全体よりも、自分自身や自分の勤める葬儀社の質が重要だと思っています。
それから葬儀業界の方からは
この項目が抜けている、などのご指摘をいただければ助かります。<(_ _)>
(2019/05/18加筆)
この記事を書いてから約10年が経ちました。
だいたい将来の予測を当てていると思います。
想定外だったのは、他の産業が衰退して葬儀業界に良い人材が流れ込むと期待していたのですが、それは起こりませんでした。
葬儀業界も人手不足で、労働者の質の低下が起こると思います
2019年の大きな流れとしては「働き方改革」が挙げられますね。
ただ労働三法守らないという葬儀業界の体質があるので、労働基準監督署ががんばらないと変わりそうにないですね。
(2024年4月7日)
現在大手と零細では別の減少が起きています。
P(=Politics)の働き方改革の出現は想定外でした。
大手葬儀社は労働基準監督署の調査が入りやすいために、法令遵守を徹底しなければなりません。労働時間短縮のため、効率化≒分業化を進めています。
かつてのように同じ担当が最初から最後まで施行するということは不可能になってしまいました。
ホスピタリティマインドの高いベテランスタッフほど、システムチックな分業制に対しては拒否反応を持っています。しかしこの流れは止まらないでしょう。
零細企業は、
・葬儀単価の低下
・労働人口の減少
により、労働環境がどんどんブラックになっています。そのためさらに人が集まらないという悪循環で、今後もどんどん潰れていくでしょう。
PESTっていう語は初めて聞きましたが、なかなか面白いですね。書き足したいことが多くなってしまったので、物理教師さんのを元にこちらでも作ってみました。
http://www10.ocn.ne.jp/~shalom/note/data/30y_pest.htm
ところでこの表は一人で作ると、関連付けの仕方で作り手の主観を大きく反映してしまいますね。資料として説得力がありそうに見えて、実は「結果ありき」に陥りそうなニオイがしました。ということで皆さん、私のをご覧になる時もお気を付けくださいね(汗
地域特異性はありますが、新宿区の日本人人口は28万4千人、外国人(登録数)は3万6千人。
実際には帰化した外国人も多く、実際の外国人数は5万人位は居ると思いますので、80:20位の比率になるのかも知れません。
特に、EPAとTPPが締結されると「安価な外国人労働者の受け入れが始まり」、全国各地での外国人比率が急速に高まります。
新宿区や中野区、江戸川区の葬儀社は「中国語やハングル語が話せることが必要」となり、学卒の中国人や韓国人を雇用することも考えられます。
中国や韓国の大学の葬儀学部でもこれらは視野に入れており、中国、香港、台湾の葬儀社も日本進出のタイミングを伺っています。(日本人の葬儀を受けなくても、在日中国人だけの葬儀やご遺体の本国送還や日本への帰還だけで十分に採算が出る)。
国内の一般企業も新卒採用では「外国人比率を上げる傾向があり」(グローバル対策)、葬儀業界も避けては通れません、(地域特異性はあるが)
物理教師さま
お父さん葬式はいらないって言わないでを半分以上読み終えてグリーフケアの所を読んでます。
大変勉強になりました、ありがとうございます。
また仕事になれるまで大変と思いますがやはり、やりたい方向性は間違いないと少し確信に変わりつつあります。
『感謝される』事が仕事の本質でありその対価でサラリーをもらう事こそ仕事の核心部分と思ってますので~葬儀屋さんと呼ばれてみたくなりました。
年末近くなり転職活動は正直厳しくなりますが、頑張っていきます。
ありがとうございました。
高見様、
うーん、良く出来てますよね(^_^)
しかしこうしてみると葬儀業界のPoliticsの緩さを改めて認識してしまいますよね。
prof様
なるほど、こういう変化もあり得ますよね。
そのうち社内言語を英語に、っていう葬儀社も出てくるんでしょうか(^_^)
たけさん、コメントありがとうございます。
> 頑張っていきます。
応援してます。がんばってください。
それからコメントはどの記事に書き込んでも私には分かるようになっているので、最新記事への書き込みでなくても大丈夫ですよ(^_^)
物理教師さん、ありがとうございます。
やはり、宗教が駄目になり社会から信頼失われてる昨今、『葬儀本ブーム(?)』に乗って葬儀社の方々もどんどん社会にアピールする時代に来てる気がします。人間として、日本人としての『心』が失われてる現代社会の日本が怖いです。
自分自身もそうですが、金に囚われる事なく生きていきたいです。
お釈迦さんでしたか?確か『この世の悩みの根源は執着である』と言ったのは?当たってると思います。
日本人全員『執着ガム』がべったりついて取れなくて苦しみもがき将来を悩み、年間自殺者の数を増やしてるとしか思えません。
『執着ガム』を取るべき国家、宗教屋が衰退してく今『葬儀屋』さんの出番が来てる気がします。