週刊東洋経済の不思議な記事




鮮度の低い記事で恐縮ですが、今回紹介するのは
週刊東洋経済2009.3.14号、64ページから始まる葬儀業界に関する記事。
(私のつたない推理力と際だった人の悪さを発揮してみました)

最初読んだときは、
窪田順生へのインタビューに注意を奪われて気づかなかったのですが、
最近読み返していて不思議な記事を発見しました。

「駐車場に遺体入りの棺を3段に重ねておく業者も」
の見出しに続く記事です。

(引用開始:ただし人名はイニシャルにしました)
もともとM氏は冠婚葬祭の司会を務めていたが、
そこで葬儀業界の裏側を目のあたりにした。
「ある有名な葬儀社は遺体の入った棺を3段に積んで、
駐車場に放置していた。それでも保管料と称しておカネを取っている」(M氏)
(引用終わり)

故人への尊厳やモラルのかけらも無い、ひどい話です。

事実であるならば。

それにしても
(仮に、その葬儀社のスタッフに、
故人への尊厳やモラルが全くないとしても)
「遺体入りの棺を3段に重ねておく」
のは不可解な行為に思えます。

棺に御遺体を納めて3段に重ねた状態をイメージしてください。
一つの御棺+御遺体+ドライアイスの重さは合計すると100キロを超える場合もざらにあります。
とすると御遺体の入った棺を3段積み重ねると一番下の棺には
200キロ以上の負荷がかかることもあるわけです。
棺は底が抜けないように作られてはいますが、
上に重い物を乗せることを想定して作られていません。
火葬炉のダメージを考えて接合部の金属類も最少限に抑えられていますし。
たとえ運良く棺が潰れなかったとしても、
フタに傷や凹みが生じる可能性があります。
それなのに、なぜ積み重ねる?

それから棺の高さは大体50㎝くらいありますから
3段目は結構高い位置に積み上げないといけないですね。
100キロの棺をその高さに積み上げるのは結構キツイですよ。
それなのに、なぜ積み重ねる?

それから積み重ねて置けるということは
棺のフタがかまぼこのように湾曲しているのではなく、平なタイプだと思います。
葬儀屋さんなら想像できると思いますが、もし棺を積み上げたなら
(上により大きな棺を置いて不安定な形にしない限り)
棺の底とその下の棺のフタが密着してしまうので
持ち上げるとき底に指を入れる隙間がない状態です。

もし棺を持ち上げようと思ったなら
実際はすごい力で棺の側面を手で押しつけながら
100キロの棺を持ち上げねばなりません。
それなのに、なぜ積み重ねる?

そして一番下にある棺のドライアイスを一日1回交換する度に
筋力の限界に挑むようなことを2人がかり(2人でも無理かもしれない)で
やらないといけないのです。
それなのに、なぜ積み重ねる?

以上の推論をもって
Mさんの言うそんな事実はなかった、と断定しているのではありません。
論理的に完璧に「存在しない」と証明するのは不可能です。
(いわゆる「悪魔の証明」と呼ばれているものです)
そんな非合理的なことをする葬儀屋さんはこの世にいない、
とは断定できません。

私が、
新規参入の葬儀業者さんの中に、既存業者のありもしない悪行をでっち上げて、
相対的に自分の価値を高めようとした人を知っているからと言って、
Mさんもそうだと思うのはちょっと早計でしょう。

それにメジャー経済誌での発言です。
Mさんも自分の発言には「責任」をお持ちのはずですし。

それにしてもMさんはどうして
その棺の中に御遺体が入っていることが分かったんでしょうか?

空の棺を放置しているのを見て
勝手にそう思い込んだというわけでもないでしょう。

おそらく1人で100キロの棺をバランス良く持ち上げてどかしたか
合計200キロの棺を乗せたまま一番下の棺のフタを開けて
棺の中を確認されたのだと思います。

もしくはそこの従業員に聞いた?
ずいぶんおしゃべりな従業員ですね。
もし100歩譲ってそうしゃべったのだとしても、
当然事実確認を取られたのだと思います。

Mさんにどこかでお会いする機会があったら
どこの葬儀屋さんがそんなことをしていたのか是非お聞きしたいです。

ちなみに上記の記事の続きです。
(引用開始)
そうしたひどい実態を見るにつけ
「自分の母親をどこで見送ればいいんだろう」
という不安が頭をもたげ
「自分の手で、心のこもった葬儀ができる場所を作ろう」と、
葬儀業界に入る決意をした。
(引用終了)

あのー大きなお世話かもしれませんが
ご自身のお母様をちゃんと見送りたければ、
良い葬儀屋さんを見つけた方がいいですよ。
そのために葬儀式場を建設するのは割に合わないと思いますよ。











5 件のコメント

  • ヨッパ様、コメントありがとうございます。
    > いつも勉強させて頂いています。
    いえいえ、こんな駄文を
    お読みいただいてうれしいです。
    またお越し下さい(^_^)

  • さくら777♪さん、
    いつもコメントありがとうございます(^_^)
    最近、かなり寒くなってきました。
    お互い体調には気をつけてがんばりましょう!

  • 出版業界は大変厳しい(電子書籍でますます大変)ので、「何でもあり」でしょう。
    葬儀は「ブラック・ボックス」であり、一般の人には何を書いても分かりません。
    物書きと出版社の良心に頼るしかありませんが、「嘘の話」と「提灯記事」は無くなりません。

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