「死体の経済学」ダメな本の書評




死体の経済学 (小学館101新書 17) (小学館101新書)
著者:窪田 順生
販売元:小学館
発売日:2009-02-03

本来書評欄ではおすすめ本を紹介していこうと思っています。

しかし・・・
どういうわけか、葬儀業界について書かれたトンデモない本が定期的に発行されてしまうので、葬儀業界代表として(いつから代表になったんだよ(^^;)
反論しなければ思うのです。


紹介しておきながらなんですけど、この本買わなくていいですからね(^^;)
 

今回ご紹介する本は「死体の経済学」です。

タイトルからしていやな感じでしょう。

確かに葬儀業界はまだまだ問題の多い業界です。

しかしこの本は、

葬祭業に従事している人間から見れば
トンデモ本

です。

 

葬儀業界に精通している「野口」という人物の語りを中心に展開していきます。
しかし彼の言う「業界の常識」はウソのオンパレードです。
(もしかしたらこの野口という人物は作者の創作かもしれません。実在するなら、虚言癖があるか、下位10%の悪徳業者でしょう)

 

反論するところにチェックを入れながら読んでいました。
しかし20カ所を超えた時点で、すべて書くのは不可能だと悟りましたので、いくつか抜粋します。

 

1.前提条件として「葬儀費用の全国平均が231万円」と述べています。

ハイ、間違えた!
この間違いに関しては「葬儀費用報道のウソ」をお読みください。

 

2.ドライアイスで法外な利益率を得ていると述べられています。

「化学プラントの多い地域の葬儀社なら無料で手に入れられますよ」というインタビューがのっているんですが、
「化学プラントの多い地域の葬儀社」って、一体葬儀社全体の何パーセントだよ()
そもそも、ドライアイスの交換のために自宅までお伺いして、ご遺体が凍傷を起こさないよう気をつかい、感染症のリスクを背負ってドライアイス当ててるんですから、1個あたり数千円というのは決して法外な利益率ではないと思います。

 

.「飲食費や返礼品代や式場使用料を顧客に説明しないで見積もりを作成してあとから追加請求する」と書かれています。
しかし今どきこんな詐欺まがいのことをやっている葬儀社は一握りでしょう。

 

それにしてもずっと物品の部分しか見ないで、終始、法外に利益率が高いと言っています。

この考え方からは

夜間当直を含めて月間300時間以上働く葬儀社従業員の人件費

が抜け落ちています。
 

例えば上場している葬儀社の財務諸表を確認すれば、不当な高利益体質ではないことが分かるはずです。


最終ページには

「(葬祭業の)仕事はサービス業ではなく、お金では計ることのできない心の平安を提供する仕事だと思っている」と書かれています。

じゃあ今までの葬儀屋は暴利を貪っているという話は何だったんだ!という話ですよ。


そもそもこの言い方って

葬儀屋ってちゃんとした仕事じゃない、

と言っているのに等しいです。

グリーフワークも含めてちゃんとしたサービス業のプロフェッショナルとして我々はがんばっているんだよって、この作者に私は言いたい。 


要は

葬儀屋のような賤民が金を得るのはむかつく、
消費者のみなさん、君たちはバカなんだから注意しな、
というのが作者の本音
なのでしょう。 


情報格差が問題と言いつつ、

誤った情報を提供することで、逆にこの職業への偏見を助長している本

です。  


著者のプロフィールには、5年間かけて取材をしたと書かれています。

それでこの程度の本しか書けないのであれば、ものを書く人間としての、モラルをはじめとした著者の資質に問題があるのではないでしょうか? 


それにしてもネット上で「この本で葬儀業界の真実を知った」という内容の書評が多くて悲しい気持ちになりました。

たしかにそう思われてしまう葬儀業界にも多くの問題があります。

だからちゃんと内部から情報を発信せねばと このブログを書いています。











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