直葬を安く効果的に行う方法を葬儀屋さんが教えます




直葬を安く効果的に行う方法を葬儀屋さんが教えます

直葬って何?
直葬を安く行うにはどうしたらいい?
直葬をするときの最適な葬儀屋さんの選び方とは?
など直葬でお困りの方のために
直葬のコツと注意点を葬儀屋さんである私がお教えします。

直葬って何?

最近のお葬式に関する報道を見ていると
「直葬(ちょくそう)」という言葉が使われる機会が増えてきています。

直葬とは「宗教儀式を行わず身内のみで火葬だけを行う」ことです。
(たまに「直送」という表記を見かけますが、これは間違い。)
通常のお葬式の流れは
①逝去→②安置→③打合せ→④納棺→⑤通夜→⑥告別式→⑦火葬→⑧拾骨→⑨食事→⑩解散
という流れです。
直葬はこのうち⑤通夜⑥告別式を省きます。
(現実には⑨食事を省く人も多い)

直葬を選ぶ理由

日本の場合、直葬を選ぶ理由は
1番目は経済的事情(お金がない)
2番目は宗教観の変化(特に信仰がないからお坊さん呼ばなくていいや)
3番目は人間関係の希薄化(参列者がいないからお葬式やらなくても)
が挙げられると思います。
(直葬は深く語り出すと、日本の社会論、にまで発展可能なテーマなんです)

1番目の経済的事情についてですが
都市部で小規模な普通の仏式の葬儀を行ってもお坊さんへの御礼などを含めると100万円はかかってしまいます。
これを直葬にすれば30万円(火葬料込み)くらいで、
よく葬儀社を吟味すれば20万円以内
 (火葬料込み) で執り行うことが可能です。
(たまに50万円で直葬ができます、という葬儀業者がいますが、高すぎです。)

長期化した不景気、医療費の高騰、喪主世代の老後不安などの理由で以前ほどお葬式にお金をかけられないという人が増えてきました。
そういう方にとって、かつては生活保護の受けていた方が主に利用していた、お金のかからない直葬が選択肢に上がってきました。
具体的に費用を抑えて良い直葬を行う方法は後述します。

2番目は宗教観の変化についてです。
日本人は無宗教というのは正しい表現ではなくて、私は仏教の神道と儒教を漠然と信仰している民族だと考えています。ただ江戸時代にお寺が戸籍管理を任されたことがきっかけで、お葬式にはお坊さん、ということが定着したのです。
ただ最近は核家族化ということもあり家に仏壇を置いておく家も少なくなりました。
そうなると日頃仏教徒であることを意識することもなくなってきます。
また仏教界にもいろいろ問題が有り、日頃布教しないでお葬式の時だけ不当に高い御布施(御礼)を要求するのはけしからんと考える人もいます。
そういう人にとっては、葬式はそこまでしてやる必要のないもの、ということになります。
というわけで必要最低限、火葬だけをやれば良い、という結論になります。

3番目は人間関係の希薄化についてです。
現代社会は下記の三つの「縁」が薄くなってきています。
・血縁(戦後地方から都市部への人口移動があり、実家と実家の菩提寺との縁が薄くなった)
・地縁(都市部は近所づきあいも積極的に行わないので、地域コミュニティのつながりが弱い)
・社縁(高齢化に伴い、退職してから20年近くして亡くなるので、その時には会社とのつながりが薄くなっている)
お葬式には社会的に亡くなったことを告知する、別れを共有する機能があります。しかしその機能を使う必要がない、つまりお葬式を行う必要がなくなってきたということです。

 

直葬はどうやればいい?

さて1の経済的事情(費用を抑えたい)で直葬を行う場合の選択肢は以下の3つです。
①全部自分でやる
②葬儀屋ブローカーに葬儀屋を紹介してもらう
③自分で葬儀屋を選ぶ

まず

①全部自分でやる

です。

結論から言うとこれは不可能です。
棺はAmazonで買えるし、遺体を自家用車で運ぶのは法律違反ではない、ということでまれに自分で直葬やればいい、と無責任におっしゃる方がいますが、実際は不可能です。

遺体を丁寧に運んだり、体の状態を保つためにドライアイスなどの処置を行ったり、火葬場の予約などの段取りを行うことは、一般の方がはじめてやるには難しすぎます。
私の勤める葬儀社でも、入社してから1年くらい経たないと直葬の担当はさせません。

次に

②葬儀屋ブローカーに葬儀屋を紹介してもらう

です。

葬儀ブローカーとはインターネット上に広告を出して、ネット上で葬儀社を探している人を葬儀社に紹介し、紹介手数料を得る人達のことです。

確かに値段に関しては最安値だと思います。
大手の葬儀ブローカーは4,5社ほどあり(インターネット上にビジネスは大抵そうですが)激しい価格競争を繰り返して、直葬なら15万円程度でできることをうたっています。

ただこのブログでも何度か指摘していますが、葬儀業界自体に管理する監督官庁や規制する法律がないため、やりたい放題になっています。
(参考記事:とうとう「イオンのお葬式」が消費者庁からダメ出しされた件
情報が無い消費者に対し、少しでも他社より安く見せるため、広告や運営の仕方にモラルがありません。

特に
1.クオリティの問題と2.追加費用を要求する
問題が深刻です。

まず
1.クオリティの問題についてです。

大手葬儀ブローカーは業界最安値を追い求めてほぼギリギリのところまで値段を下げています。
そしてさらにその最低価格から紹介手数料を取るわけです。

そんな厳しい条件でも、直葬をやろうとする葬儀社ってどんな葬儀社でしょうか?

クオリティが最低で、直接自社への依頼が消費者から来ないため、葬儀ブローカーから仕事をもらわないとやっていけない葬儀社です。
ちゃんとした葬儀社なら、自社への直接依頼の葬儀だけをやろうとするはずです。

葬儀ブローカーから紹介された利益率の低い葬儀で、赤字にならないようにするためにはどうすれば良いでしょうか。

人件費を下げるしかありません。

直葬は物品をほとんど使わないのでヒトのコストを下げるしかないのです。
そうなると中には入社3ヶ月くらいのアルバイトに担当させるというケースも出てきます。
あえてキツい言い方をしますが、大切な故人をモノのように扱われてしまう可能性がでてきます。

ネット上では価格と品質が比例するのはなるのはむしろある意味当たり前の話と言えるかもしれません。
この当たり前のことが理解できていない人、例えばLCC(格安航空会社)を利用して、サービスが悪いと怒り出すような人は、葬儀ブローカーを利用することはお勧めしません。
(参考記事:格安航空会社と格安葬儀屋の共通点とは

次に
2.追加費用を要求する問題です。

度々、葬儀ブローカーから直葬を請け負った葬儀社が、追加費用を要求することが問題になっています。
ギリギリの底値で仕事を受けているので、余計なオプションを売りつけようとするのです。
紹介者の葬儀ブローカーはこれを取り締まらないのか、と思われるかもしれません。
しかし葬儀ブローカーも追加費用はかからない、と広告でうたっておきながら、理論上この金額ではできない、という価格設定にしていることも多いのです。
つまり共犯です。
(参考記事:とうとう「イオンのお葬式」が消費者庁からダメ出しされた件

どちらにしても消費者にしてみれば、そんな費用がかかるとは聞いていない、ということになります。
紹介者である葬儀ブローカーも、仕事を請け負う葬儀社も、コンプライアンス(法令遵守)意識が薄いのですね。

以上が(私の個人的な考えとして)葬儀ブローカーを使うことをおすすめしない理由です。

それでも1円でも安く直葬したいので、自分は葬儀ブローカーを使う、という方にアドバイスです。
葬儀ブローカーによって施行のクオリティの違いはあるでしょうか?

ほとんどありません。

なぜなら直葬を葬儀ブローカーから紹介してもらうような葬儀社は薄利多売状態になっているので、
複数の葬儀ブローカーと契約を行っています。
つまりどの葬儀ブローカーに頼んでも、そのエリアではやってくる葬儀屋さんは同じ、という結果になりやすいのです。
結局どの葬儀ブローカーに頼んでも、クオリティは一緒であると考えてください。

葬儀費用のことでもめない自衛策としては、せめて見積書作成してもらったら、「追加費用は発生しないよね?」と念押しをするのを忘れないでください。

あとこれは全くの余談ですが、下記の様なケースって起こらないのだろうか、と考えたりします。

亡くなってからではなくてそれ以前に直葬の事前相談をする場合限定です。
葬儀ブローカーに、事前相談したいから直接葬儀社と会って話したいという。
葬儀社はおそらく15万円くらいの見積もりを提示するでしょう。
葬儀ブローカーの手数料の取り分は15%くらいと言われている。
つまり15万×15%≒2万円くらいの紹介手数料を葬儀社は払わなくてはならない。
「万一の時は、葬儀ブローカーを通さずに御社に直接お願いする。だから1万円ほど値引いてくれ。葬儀ブローカーには口外しない」と交渉したら、乗ってくるのでしょうか。
賢い消費者ならやりかねないと思うのですが。
お金に困っている(かつ法令遵守意識が低い)葬儀社が多そうですし。

もちろん皆様はマネしないでくださいね。

③自分で葬儀屋を選ぶ

別に経済的事情ではなく、宗教的儀式を評価しないから直葬を選ぶ、という方の場合。

当たり前の話ですが、普通のお葬式をちゃんと行える葬儀社は、直葬もちゃんと行えます。

そういうところは、価格は最安値では無いにしろ、適正です。
実は普通のお葬式よりも、直葬の方が葬儀屋さんの質の違いが如実に出ます
直葬は式場や装飾というハードが無い分、その担当者の人となり、
つまりソフト面が直接浮き彫りになってくるのです。

ではそういった良い葬儀屋さんを選ぶにはどうしたらよいかという話は
↓この本の中で書かせてもらいました。

Kindle版もありますし、時間のある方はこの本を読んでいただくとありがたいです。
(宣伝になってしまって申し訳ありません。でも良い本なんです。)

大切な故人の最期を任せるのです。
ただ安いからという理由だけで葬儀社を選んでしまって不愉快な思いをしないよう、
直葬の場合も葬儀屋さん選びは慎重にお願いします。

直葬で注意すべきこと

まずお寺にお墓を持っている方は注意してください。

つまり菩提寺があって、そこの檀家さんになっているケースですね。
お寺の許可がなく勝手に直葬してしまうと、あとあとお墓に納骨させてもらえないこともあります。
宗教儀式を行わないことはけしからん、というわけです。

事前にお寺に相談しましょう。

宗教的理由で直送したいと言ったら住職の機嫌を損ねてしまうでしょうが、
(それなら檀家を辞めてくれ、と言う話になりかねません)
経済的な事情だと説明すれば理解を示してくれるかもしれません。

次は、火葬のみ、つまり直葬でも霊安室は大事、という話です。
亡くなるとすぐに病院から火葬場に直行して火葬されると考えている方もいますが、
法定伝染病で亡くなっていない限り、死後24時間以内の火葬はできません

ということは、どこかご遺体を預かる場所、つまり霊安室が必要です。

通常亡くなってからずっと
病院にご遺体を預かってもらうというのは難しいと思います。

安置できる自宅をお持ちなら問題はないのですが、
特に都市部にお住まいの方だとマンション住まいなどスペースの問題があるでしょう。

自宅での安置が不可能な場合は、火葬場の霊安室に安置するという方法があります。
(有料の場合がほとんどです)
この際はお棺にご遺体を納めた状態で安置します。
しかし問題があります。
夜間の安置の受け入れをしてもらえなかったり、
そもそも霊安室が無い火葬場も多いのです。
(横浜市の横浜北部斎場は震災時の火葬に備えて石油の備蓄施設を備えているにもかかわらず、
肝心の霊安室が無い!横浜市の火葬場はなぜ霊安室を持たないのでしょうか?)

次の選択肢は葬儀屋さんの持つ霊安室を使う方法でしょう。
この霊安室も葬儀屋さんによって、費用や環境のレベルはいろいろあります。

最後は裏技です。
先程ずっと病院に安置することが難しいと申し上げましたが
もし亡くなったのが大きな病院なら、ご遺体保冷用の保冷庫を持っていることがあります。
ダメでもともとで看護師さんに「明日まで病院に安置 できませんか?」と
交渉してみるのも良いかもしれません。
または病院が複数の霊安室を持っていれば、
1日くらいなら貸してくれるかもしれません。
保冷設備がないときははドライアイスを葬儀屋さんに当ててもらいましょう。
上記の方法なら遺体安置場所の費用と遺体安置場所への移動費用が浮く可能性があります。
ただし前述したようにほとんどの病院は亡くなるとすぐにご遺体の移動を遺族に要請することを覚悟してください

この当たりの詳しい事情を知りたい方は上記の私の著作をお読みください。

直葬だけではちょっと・・・という方に

経済的に直葬をせざるをえないが、それだけではちょっと・・・という方に。
直葬を選んだものの、数ヶ月してから「何もしてやれなかったのが心残りで」という心情を訴えるご遺族がいます。

直葬は宗教儀式をしないと言いましたが、
葬儀屋さんに依頼すれば、火葬の直前にお寺さんを火葬場に呼んで火葬炉の前でお経を読んでもらうことができます。
(すでに書いているように、菩提寺がいないことが前提です)
このときのお布施は5~3万円くらいでしょうか。
全く何も宗教儀式をしないのは抵抗があるという方におすすめです。

以上、直葬をお考えの方は参考にしてみてください。

(追記)

「直葬」の読み方は「ちょくそう」OR「じきそう」?

直葬を「じきそう」って呼んでいるサイトもありますね。
でも、この直葬って言葉を使い出したとおっしゃっている表現社(葬儀業界向け出版社)の碑文谷(ひもんや)さんが
「ちょくそう」と呼んでいるのでここでは「ちょくそう」が正解とします。

たしかソシュール(哲学者・言語学者)が言っていたと思いますが、
物や観念は名前を付けられると同時に存在し定義付けされ定着します。

昔であったら、
なんかエロ上司の発言が不愉快だなという漠然とした観念だったものが、
セクシャルハラスメントという名前を付けられたとたん、
その行為が違法であり、反社会的行為として扱われるようになったように。

直葬も同じで名前を付けられたとたんに、
「ああ、そういう方法もあるんだ」
と世間一般に認識され、広まりつつあるのだと思います。

多分碑文谷さんはアメリカの
DIRECT CREMATION
を直訳されたのだと思います。
しかし火葬の研究者の方に伺ったところによると、
アメリカの DIRECT CREMATION と日本の直葬とは少し事情が異なるとのこと。

アメリカの場合は、遺体という抜け殻を処分するという考えで、お骨も遺族が持ち帰ることもなく、
言葉は悪いですが廃棄処分的な扱いだそうです。
これは亡くなったら体は単なる抜け殻という宗教観と、
死んだ後はお金を残さないアメリカ人の人生プラン(家を担保に借金をして自分が死んだら家も処分のような)が関係しているのではないでしょうか。

(さらに追記)

上記の直葬の記事の内容に関して碑文谷さんご本人からご指摘のメールを頂戴いたしました。
承諾をいただきましたので、一部を転記させていただきます。
—————————————
「直葬」について一言。
私が社会化した最初ということで実態はその前からありました。
無視できなくなったので、
というのは昔の生活保護での葬儀等とは明らかに異なると判断したので社会化したものです。
direct cremationは後から知りましたので、それを訳したというのは事実と異なります。

火葬研究者の話が紹介されていますが、
アメリカというのはかなりいろいろな考え方の人たちの集合です。
ブッシュのアメリカもあればオバマのアメリカもあるわけで。
立場によって評価はガラリと異なるのです。
その方の考えを否定しませんが、ある立場での評価です。
アメリカで最近火葬が急激に増加しているのはご存知だと思います。
それは一つの考え方が支持されたわけではないのです。
60年代のカトリックのバチカン公会議による火葬解禁が拍車をかけたことは事実でしょう。
アメリカはどちらかと言えばプロテスタントの国ですが、保守もまたプロテスタントです。
でも、こうした細かい話はよいのです。

ブログを興味深く読ませていただきました。
—————————————–
転記させていただいた文章の前後で、
このブログへの賛辞と励ましのお言葉を頂戴しました。
ありがとうございました。











4 件のコメント

  • たこ様、
    そうですね、でも火葬だけの方ってお葬式の人が使わない時間帯に火葬することが可能なので(朝早くとか)、時間帯気にしなければそれほど待つことはないんです。

  • 「直送」を式場会館への直送の意で使ってます
    「火葬のみ」の意ではなく、「自宅安置が困難な方のために病院から直接会館へお連れし、会館の控室にご安置することが可能です」の意です
    地方では、家族が遠方に居て、個人の家が廃屋であったり、掃除が行き届かなくてはいることが不可能な場合があるんです
    そのために 直送という言葉をチラシや営業トークで用いています
    ご参考になれば幸いです

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