香山リカ「しがみつかない死に方」




今回紹介する本はこちら

この本のタイトルは前作の「しがみつかない生き方」に自分で乗っかかった
と思われるのですが、
「しがみつかない生き方」が勝間和代ブームに乗っかったもので
さらに今回は島田裕巳氏の「葬式は、要らないブーム」と
上野千鶴子の「おひとりさまブーム」?に乗っかかっていて
さらに内容は以前自分で書いた「老後はこわい」の焼き直しなので
もう土台がグラグラで、なにがなんだか(^^;)

(それにしても精神科医が「こわい」シリーズ で本を書くって
・・・不安をあおってどうする)

上野千鶴子氏の著作が「高齢者に向けた、フィールドワークを通しての解決策の提示」
だとすると
香山リカ氏の著作は「心配性の独身女性に向けた、他人の著作を読んだ感想文」
だと思います。

他人の著作やネットの検索だけで話を進めようとするから
ついついこういう間違いを書いてしまう。
(引用開始)
さらに、犯罪性があると認められた場合は「司法解剖」で、
それ以外の場合は「行政解剖」で死因が特定される。
司法解剖には遺族の同意や許可は不要だが、
行政解剖の場合は、遺族の所在が不明といった場合以外は、
原則として遺族の同意が必要である。
(引用終わり)
この書き方では間違いなく誤解を招くでしょう。
行政解剖も監察医制度下では、遺族の同意は必要ありません。
遺族が拒否しても解剖は行われます。
「変死」がそんなに怖いなら(そして調査を読書だけで済ましたいなら)
死因不明社会 (ブルーバックス)
この本くらい読むべきです。そもそも香山リカさんは一応お医者さんなんですから。

直前のこの記述にいたっては、私は意味を理解することができませんでした。
(引用開始)
検死を避けるため、病院以外で亡くなったことを隠蔽したりすると、それだけで隠した人が死体遺棄の罪に問われる場合もあるという。だから、友人に「もし私が孤独死しているのを見つけたら、警察が家に来るのはいやだから、救急隊にも連絡しないで」と頼むのは、原則的にはやめたほうがよいだろう。
(引用終わり)

またシングル女性の孤独死をひたすら「こわい、こわい」と言い続けて
不安をあおります。
30代40代女性も孤独死を心配していると主張しますが
香山氏の患者さんの意見を一般化して展開するのは無理があります。
そもそも40才の人がこの一年間に無くなる確率は1万人に7~8名です。
葉隠れ的「常住死身」の思想なら立派ですが、
そうでなければ文字通り杞憂にすぎない、
というよりもっと精神医学的療法によるアプローチが必要な事例であり、
一般化すべきでは無いように思えます

そしてこの本が根本的にだめな理由はここだと思います。
(引用開始)
そして02年11月には、とても親しくしていた年若い作家が孤独死することになる。
今度は、私自身が彼女の第一発見者のひとりになった。
本書のような本を執筆しながら言うのも心苦しいが、
そのできごとに関して私は今でも
目分の中できちんと整理することができず、詳細に書き記すことはできない。
(引用終わり)
「友人の死を体験した」「精神科医」は、
残された人の心の中を語る役割上もっとも適任であるはずですが、
その「大義名分」すら放棄してしまったことで、
このテーマの本を香山リカ氏が今現在書く必然性は全くないと言えます。
(今出せば売れる、ということでしょうか。
好意的に解釈すれば、なりふり構わない金儲けに、
友人の死をネタとして提供したくなかったとも解釈できますが)

こんな調子で話しが進み、
香山リカ氏自身の死生観や宗教観がほとんど語られないので、
彼女の立ち位置が分からず、(偉そうな言い方で申し訳ないのですが)
議論が「幼い」印象を受けてしまうのです。
結論もなんかお手軽な精神論ですし。

というわけで
孤独死が心配な方は上野千鶴子さんの著作を薦めます。
(上野さんは「孤独死」の本ではないとおっしゃっていますが)











6 件のコメント

  • 確かに、タイトルと著者のネームバリューに惹かれて買いましたがいまいちピンとこない本でした(汗
    言ってくれれば差し上げましたのに(笑

    しかし死体解剖保存法の7・8条規定なんて、医師とはいえ一般の人が知ってるもんなんですかね?しかもその後のはもっと知られてない軽犯罪法1条18・19違反か刑法192条違反ですよね。キビシイなぁ…r(^^;)

  • 香山リカさん、お前もか!って感じですね。

    2匹目3匹目の どじょう!

    出せば売れるのかしら?(>_<) なんだか節操が無い気がいたします。

  • 医学部では「死体解剖保存法」について学びますが、卒後は忘れてしまい救急医や在宅医療を行っている医師以外は知らないと思います。
    ましてや、精神科の医師は知らないでしょう。
    死体解剖保存法、食品衛生法、検疫法でも「強制解剖」が出来、ご家族や関係者の承諾(承諾解剖)は必要ありません。
    強制解剖は、刑事訴訟法による解剖(司法解剖)と同じですが、司法解剖の場合は裁判所の執行許可(令状)が必要ですが、上記3法による強制解剖の場合は、現場の判断だけで可能です。

    おそらく、香山先生も「時期を考えて慌てて執筆」したために、法令の確認を怠ったのでしょう。
    私の施設でも、月に40体の司法解剖を行っていますが、行政解剖は「事務手続きの最も簡単な、強制解剖」です。

  • 高見様、
    > 言ってくれれば差し上げましたのに(笑
    ありがとうございます。
    でも批評する以上は自分でお金を出して買わないと、
    という考え方なので(^_^)

    > キビシイなぁ…r(^^;)
    やっぱり、本を出す立場の人は多少なりとも責任はあるのではないでしょうか。
    真に受けた読者が現場の警察官を困らせることもあり得るので。

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