以前
映画「おくりびと」の粋(いき)ではない批評
という記事を書きました。
今日(2012年1月12日)から
「最高の人生の終り方 エンディングプランナー」
というドラマが始まったので
葬儀屋さんから見たドラマの変なところ
というテーマで一本記事を書こうと思ったのです。
いや、たしかに、葬儀屋さん目線で
「現実にはコレはない」というシーンはいくつもあったのですが・・・
ご遺体に一度もドライアイス当ててないみたいなんだけど。エンバーミングをしたとは思えないが・・・
東京でドラゴン一匹まるごと乗せた霊柩車走ってんのか。
ああいう亡くなり方したのに、検案は行われないのか。
マンションの葬儀でマイク使うなよ、うるさいよ。
でもねぇ、それ以前に脚本全体が「現実にはコレはない」レベルで・・・
家族喧嘩のぐだぐだ感とか
女刑事に出会いすぎだろとか
葬儀屋に頼まれたくらいで警察が再捜査すんなよ、どんだけヒマなんだよ。
あんな屋上でキャッチボールしたらそりゃボール落ちるよとか
予告編であんなに関係者亡くなるんだったらホラーじゃんとか
飼い犬カワイイ・・・って脚本関係ねーわ。すまん。
うーん、
「最高の人生の終り方 エンディングプランナー」
ヒットもしないし
葬儀業界の追い風にもなりそうにない予感(>_<)
追記
主人公は、実家が葬儀屋ってのがいやなのはともかく、
5人兄弟っていうのはOKなのか?
お世話になっている方が制作に関わっているので、今度会ったら「こんなツッコミがありますよ」って伝えておきます(笑
エソバソマー様、
> お世話になっている方が制作に関わっているので
そう言えばお葬式のシーンで某葬儀社の供花札が出ていましたね。
私も何度かドラマや映画の撮影に参加した際には
「本当はこうだけど絵的にはこっちのほうがいいですよね」
ってことが良くありました。
あくまでブログネタということで(^^;)
相変わらずの内容ですが、こんな物でしょう。
葬儀に関しては言う気になりませんが、法令と専門分野に関しては「呆れました」。
葬儀社社員や関係者が警察官に「遺体の業況や捜査内容を聞くことはあり得なく、警察官がこれに応えることは明らかに違法」です。
本来は刑法134条ですが、警察官の場合は国家公務員甲種1類合格後の警察庁入省組や警部以上の司法警察官は国家公務員法違反、これ以下の都道府県司法警察員は地方公務員法違反で、捜査情報漏洩として懲戒免職(懲戒解雇)処分となります。
また、軟球の野球ボールから指紋を採取したとの設定ですが、これも「違法捜査」でしょう。
合法な捜査であれば、葬儀社が傷害発生状況を説明することはあり得なく、自殺と判断した所轄警察署の副署長か刑事課長が謝罪と報告に来ます。
加えて、指紋を確認したとするボールには「指紋採取の痕跡がない」。
白い軟球のためにアルミ粉は使用せずに他の粉体(おそらく黒色)を使用するはずですが(液体法やガス法等も否定できないが)、少なくともゼラチン紙採取や写真撮影を行った形跡はありません。
指紋採取後に、ボールをキレイに洗ったと仮定すればあり得るが。
ドラマなので仕方がありませんが。
死亡した父の手から数珠を外し、それを主人公の手に付けるシーンで数珠が大写しされ、「承継」を感じさせましたが、もう一つの意味があるのかも知れません。
参考HP http://ishop.tbs.co.jp/tbs/org/drama/saikou_no_jinsei/?xadid=41825
もう1点。
転落者の体重が70k前後でマンション屋上(おそらく5階相当以上の高さ)から、前屈状態で頭部からコンクリート上に落下した場合は、テレビの状況の患者さん症状や治療内容、遺体状況は「全く合致しません」。
少なくとも頭蓋骨骨折(おそらく粉砕)や頸椎骨折、胸部多発骨折、上腕骨骨折(フォーク様骨折も含む)、骨盤骨折、胸腹腔内臓器損傷等はあってもおかしくはないのですが、治療中の患者さんにこれらの症状や治療がなされてないません。
頭蓋内減圧や血腫除去処置、頸椎に対する処置もなく、血気胸に対する処置も見られません。
少なくとも、ERの患者さんでICUが担当でしょう。
医療ドラマでなく葬儀ドラマなので仕方がないが。
また、ご遺体の状態が受傷状態と合致しません。
最近のドラマには、専門の者から見ても感心する物もありますが、「雑」に感じました。
出演者はそうそうたるメンバーであり、キャスティングにはかなりの気遣い様ですが、「ご遺体」をテーマにした割には「?」です。
prof様、
先に出版されたノベライズやドラマ予告によると
監察医務院で「司法」解剖の所見を警察が葬儀屋に語って聞かせている
みたいなんですが・・・
心の準備が出来るように
お知らせしておきます(^^;)
史実や事実よりも「視聴率至上主義」が重視され評価される業界ですので、仕方がないのでしょうが。
これは、ある意味では葬儀業界にも通じる部分があります。
ただし、監察医務院は都議会においても廃止論が出ていた現状からすれば、いい加減な取り扱いは誤解を招く行為です。
監察医務院や監察医務事務所と葬儀社とは、線引きをする様に指導されており(問題な所もあるが)、
10年ほど前には、兵庫県監察医務業務における葬儀社との不適切な関係について(厚労省通知に反していた)、兵庫県庁より指導が入りました。
ちなみに、東京都監察医務院では司法解剖は行いません。
しかし、行政解剖中に殺人等の可能性を見出した時は「司法解剖へ切り替えて続行」することはありますが、これは年に数件であり、0.1%位にしか過ぎません。
ヒューマン&ラブ・コメディーとの看板ですので、コメディー番組と受け取ります。
prof 様、
ドラマ撮影の現場って、視聴者からクレームがきそうな所って(方言とか)
結構こだわるんですよね。俳優の演技よりも。
いつも更新楽しみにしてます
葬儀のドラマの件ですが、早速ですが今回からドライアイスを使用するシーンがありました!
物理教師さんのご意見の影響かと思ってしまいました
抜け道様、
> いつも更新楽しみにしてます
ありがとうございます。
このドラマの記事は1回でいいかなと思ったのですが
そうおっしゃっていただけるなら
もう少し書いてみようかなと思います。