マニュアルがあっても葬儀業界では役に立たない理由 

先日元同僚と火葬場でばったり会いました。
もともと同じ葬儀社で一緒に働いていたのですが
三年ほど前に中堅の葬儀社に転職したのです。
話してみると現在教育の担当者をやっておりかなり苦戦しているとのこと。
前の会社、つまり今の私が勤めてる会社の教育ノウハウやマニュアルをそのまま持ち込んだのですが、うまくいっていないようで、それを嘆いていました。
会話

葬儀屋の特性の問題

「なぜなんだろう」

「本当の事を言ってもいい?」

「何?」

「うまくいかないのは君とこの社員が勉強苦手だからだよ。
地頭が良く反射神経は良いけど学力偏差値が低いタイプが多いんだな。
彼らは反射神経がいいので想定外のアクシデントに強いのが強み。
しかしそのぶんヒューマンエラーの発生を抑える仕組み作りが苦手。
ヒューマンエラーの発生リスクを高めてしまっている。
将棋で言うと終盤が得意なせいで序盤の定石を全く覚えない状態だね。」

「だから一生懸命皆にヒアリングしてマニュアルを導入したんだけど」

「でも読もうとすらしないだろう。標準的な葬儀屋って、
学生時代にこの教科書には正しいことが書かれているからこれを丸暗記すれば大丈夫と言われて
生理的な問題か能力的な問題かは知らないけれども
それが出来なかった連中が集まっているわけだろ?

このマニュアルを覚えろって言っても無理だよ。

マニュアルによるオペレーションの標準化が全くできていないのはある意味必然だとも言える。
新人で未経験の状態ならまだいい。
知識が欠落している部分があるから、
そこをマニュアルの情報で埋めようとする動機が存在する。
でも古いメンバーは入社した時から自分勝手にやってきたわけだし、
葬式の担当って担当個人の裁量が広いし、クレーム食らわなければいいっていう程度の志なら
今が労力の投入とリターンのバランスが最適化された状態な訳だよ。
俺のやり方はこう、って言うことでチームの生産性ではなく、
他人と違うことをアイデンティティにしてるせいで
マニュアルによる標準化で自分の強みが失われると思っている
。
そりゃ改革には否定的になるよね。
他の葬儀社がマニュアルの導入をハナから諦めているのもある意味合理的だと言える。」

マニュアルが必要な理由

「それでも、マニュアルは必要だろ?」

「ああ。マニュアルが必要な理由として
コミュニケーションの問題をまず考えよう。

そもそもスタッフは少なくて済むなら少ない方がいい。
なぜなら人が増えるとコミュニケーションコストが発生するから。
極端な例をあげると自分一人で全てやれるなら誰かに伝える必要は全くない。
でも当然一人じゃいつかは手が回らなくなるからスタッフをもう一人増やすとする。
そいつに何かを伝える必要が出てくる。
だからその分コストがかかって、人は倍に増えても生産性は倍にならない。

このコストを抑えるには共通のフォーマットで共通の言語で各人が機能しないといけない。
これを可能にするのがマニュアル。
だからマニュアル必要。ウチにいたころはそれが普通だったろ?
会話2
5人くらいの組織ならマニュアルがなくてもいい。
お互いのことが分かっているからあうんの呼吸で機能させられる。

でもお葬式は3人程度のチーム単位で行うことを前提にしている。
そしてスタッフが総勢50人くらいになってくると
毎日チームの構成メンバーが変わるという状況でやってかなきゃいけない。
この状況でめいめいが好き勝手な動きをすると、コストがたくさん発生する。

ほら、野球に例えると「自分は右打ちでサードの方が近いから、打ったらファーストじゃなくサードへ走るぜ」みたいなベテランいるだろ。

でもこれって数字で見えづらいから、
もしくは改善が面倒だからという理由でそのままにしておかれる。
だから葬儀社に零細企業が多いのもある意味合理的かもしれない。
多分50人越えるときがマネジメントをガラリと変える分岐点だったんだよ。」

「じゃあ俺はどうしたらいいんだろう」

「人を入れ換えるしかないね」

「無理だよ」

「じゃあ戻ってこいよ」

「(失笑) 」




2件のコメント

葬儀業界のマニュアル、テキストには「間違いが多い」のも悪因です。

経験論から導き出された物、旧来の誤った物、都合の良い解釈の物等。
そして、教える方も教わる方も「間違いに気が付かず、伝搬拡散」。
アルファの「マニュアルはありません」も、現状では一理はありますが。

prof様
>現状では一理はありますが
そんなに深いポリシーは無いのではないかと(^^;)

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