星野リゾート代表の星野佳路氏のインタビューから考える葬儀社の組織作り

ダメな葬儀屋さんはタバコを吸う
という記事の中でも以前少しだけ紹介した星野リゾート代表の星野佳路氏のインタビューが東洋経済オンラインに掲載されていました。

葬儀業界にも当てはまる知見があると思いましたので、採り上げてみます。
(そういえばたしか静岡の互助会さんの経営陣に星野リゾート出身の人がいましたよね)

ホテル

その方法の一つが、マルチタスク(=セクションに分かれず、一人のスタッフがフロント、客室、レストランなど多様な働き方をすること)のサービスチームです。お客様の滞在の流れに沿って、レストランサービスからチェックアウト業務、清掃まで一人のスタッフが担当します。たとえば、「星のや東京」では84室に対し、120人のスタッフしかいません。外注はゼロです。

葬儀の場合外注ゼロは難しいと思いますが、
マルチタスク(多能工化)は大切だということは度々このブログでも申し上げてきました。

(参考記事:葬儀屋さんの利益をあげる方法

仕事量が日によって大きく変わり、その予測が難しい業態のため、
対応するには外注かマルチタスクのどちらかしかありません。
外注はどうしてもクオリティコントロールが効きませんので、
マルチタスクが大切ということになります。

ただどの組織でもできるというわけではなく、
スタッフの能力とモチベーションと育成システムの3つが揃っていないと難しいです。
一つでも欠けているとうまくいきません。

ウチは病院搬送から自宅の設営まで一通りできるよ、
とおっしゃると葬儀社もいらっしゃると思いますが、甘い、甘い(^_^)
それだけじゃ、ダメなんです。
なぜかは考えてみてください。

顧客満足度をスタッフがタイムリーに見られる仕組みを提供することです。

これは顧客アンケート情報の従業員間の共有ですかね。
葬祭業の場合、施行直後の対面アンケートは難しいところはありますが。

スタッフ一人ひとりが経営者感覚をもって、自立したチームとして、各拠点を管理しコントロールすることが重要なんです。
(中略)言いたいことを、言いたいときに、言いたい人に言えているのか。
つまり、人間関係がフラットになって、正しい議論ができているかどうかです。
それは、フラットな組織図を意味しているわけではありません。
組織図はピラミッド型でも構わない。
人間関係がフラットになっているかどうかが大事なんです。
私がチェックしているのは、「フラットかどうか」だけです。
総支配人やマネジャーが知っている情報は、スタッフ全員が知っているという状態をつくる。
それがフラットへの第一歩になるんです。

組織を営業所もしくは葬儀会館単位にばらして権限を委譲して、
経営トップとの距離を短くする(≒間に役職者の階層をたくさん置かない)ということですね。

そうなってくると営業所長もしくは会館の館長のマネジメント能力がどうしても必要になってくるのですが、葬儀業界はここが全体的に弱い。

マネージャーって偉い親方のことだと思っている人も居るくらいで
ドラッカーが言うところのマネージャーは、ほとんどいません。

マネージャーを育成できる経営者が少ない、と言えるかもしれません。

われわれにとって大事なことは社員のモチベーションの維持です。

葬儀業界もほんと、これ大事です。

言っちゃ悪いですが、
葬儀業界の方がホテル業界の何倍もハードなことをやっているので、
ホテル業界の何倍もモチベーションの維持が大切になってきます。

本来やるべきことはシンプルで、
担当のホスピタリティマインドの発現を邪魔しなきゃいいんです。

目先の利益を重視しすぎて人的資産価値を軽視した結果、
うまくいっていない葬儀社が多いのですが。




3件のコメント

難しい問題ですが、日本の管理職は「言うことを聞く人、使いやすい人」が選考基準。

皮を被って管理職になるのも人生、「鶏頭牛尾」も人生。

今日まで某大学病院でしたが、「困った人達のためなのか、カネのためなのか、データが欲しいためなのか」が分からなくなる事があります。

明日から1,500キロほど内陸に入り、政府の講習会を始めますが、これも国や自治体のためなのか、公務員のためなのか、遺体や家族のためなのか分からない部分もあります。

大学と学内企業にとっては大きなプラスですが。

prof様
>日本の管理職は「言うことを聞く人、使いやすい人」が選考基準。
二代目のボンボンが継いだ葬儀社の場合は
いうこと聞かなくて使いづらい管理職っていうのも多いですよね。

創業者や先代に仕えてきた社員や管理職は、新体制では不要の長物

使いやすい者への切り替えが有効ですが、古い業界体質ゆえの人事も入り乱れ、能力優先のスマートな人事は期待できず

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