なぜお葬式の前日に「お通夜」という儀式を行うのでしょうか?
お通夜を行う理由
お通夜を行う理由の一つは、そもそも宗教儀式としてやるように決まっているから、です。
ではなぜ宗教儀式として取り入れられたかというと、最も有力な説は、「一晩かけて愛する人の死を受け入れることができるように」と考えられています。
地方によっては「寝ずにお線香を絶やさないようにする」習慣がありますが、それも同じ目的です。
お通夜という言葉には「(故人のそばで)夜通し(起きている)」という意味があるのです。
日本の仏教が独特なのは、それを儀式化したことでしょう。
欧米のキリスト教や、イスラム教には、葬儀の前日になにか儀式を行う、ということはありません。
神道にも遷霊祭が、日本のキリスト教にも前夜式という通夜に相当する儀式がありますが、これは仏教のお通夜に影響を受けて生まれた、日本独自のものです。
なぜお通夜は儀式化したのか
なぜお通夜が儀式化したのか、という問題ですが、
村社会という地域コミュニティの同調圧力というか、参加を強制する空気があったらかではないか、と私は考えています。
村八分(むらはちぶ)という言葉をご存知ですか。たとえ組織の除け者(のけもの)であるとしても、10のうち8の付き合いはしないが、のこり2つの火事と葬式のときには手伝う、という意味があります。
それくらい村社会では、葬式の参加強制力があったのです。
お通夜は戦後、村社会ではない都市部では遺族のものになりました。
ところが都市部のバブル期頃から、会社帰りに参加しやすいという理由で、一般参列者がお通夜に参加するようになりました。
現在では、一般参列者はお通夜に参列することが多いです。
その影響からか、本来お通夜のお経は、お葬式に比べるとあっさりした30分弱程度のものだったのですが、現在では40分を超えることもあります。
たまに地方からきた僧侶がお通夜をお経を読むときは、昔の名残なのか、30分程度で終わることがあり、経験の少ない葬儀担当者をあわてさせることがあります。
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