お葬式のネクタイの結び方




お葬式で喪服(礼服)を着るときのネクタイの結び方について葬儀屋さんがお話しします。

ネクタイが結べる方へ

ネクタイの説明の前に、自己紹介です。私はメンズファッションに比較的詳しい葬儀屋さんです。当然ネクタイにも詳しいです。
ネクタイの最高峰と言われている、マリネッラブリオーニのネクタイを持っています。

本題に入る前に、言わずもがなの確認事項ですが、日本におけるお葬式のネクタイの色は黒です。

お葬式のネクタイの結び方

ネクタイの結び方は物理学的には85通りありますが、個人的に使っているのは6パターンくらいです。
くわしく知りたい方はこの本を参考にしてください。

お葬式のときにはこの結び方ではないといけない、というきまりはありません

ただ強いて申し上げれば、シャツの襟の開き具合に合わせてバランスの良いノット(結び目)の大きさというものがあります。
そしてそれはネクタイの結び方で調整します。
例えば薄手のネクタイをワイドスプレッド(110度くらいの開き方)の開き気味の襟で結ぶ場合、シングルノットよりセミウィンザーやウィンザーで少し大きめに結んだ方がバランスが良いはずです。

ただ最近のネクタイは肉厚なため(昔はネクタイがペラペラだったのでネクタイピンを使っていた)、襟の開きの角度が90度前後(セミワイド)なら、シングルノットかセミウィンザーノットのどちらかになるでしょう。

それぞれの結び方の動画を載せておきます。参考にしてください。
シングルノット

セミウィンザーノット

ネクタイの適切な長さ

結んだときのネクタイの適切な長さは、ネクタイの大剣(ネクタイの両端の太い方)の先端がベルトのバックル(ベルトの穴を通す金属部分)を隠す長さがちょうど良い長さです。

スーツというのはジャケットからパンツへの流れが区切られずに一体化して見えるのが良いとされています。
喪服(礼服)を着るときも同様です。
そのためジャケットとパンツを分断するベルトは出来るだけ隠した方がいいというように考えます。
(この考え方のため、オーダースーツの場合、そもそもベルトを使用しないタイプもあります。)

スーツに詳しい人はこの長さに合わせて結び方を調整します。

ディンプル(くぼみ)は作ってもいい

雑誌やマナー系の書籍の中には、
「お葬式の時はネクタイの結び目にディンプル(くぼみ)をつくってはいけない」と主張しているものもあります。

私は、普段からディンプルをつけている方は、お葬式の時もいつも通りディンプルを入れても良いと思います。

ディンプルを入れたネクタイの写真<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%82%A4#/media/File:Tie_dimple.jpg>

ディンプルをつけるのはネクタイに立体感を出すためです。しかしそれが華美であるという判断からディンプルはお葬式にはふさわしくないということらしいです。
しかしスーツという衣服そのものが肉体を立体的に見せる構造なので、ネクタイの結び目だけ平面的にしたところで意味はないでしょう。

ちなみに「歩くドレスコードの世界基準」ことチャールズ皇太子はダイアナ妃の葬儀で、はっきりネクタイにディンプルを入れています

よってお葬式の時も、気にしないでディンプルをいれてください。

ネクタイはシルク製を買いましょう

まだお葬式用のネクタイを持っていなくて、これから買う予定の方へ。

私が日頃お葬式に参列するときに着用しているのは、セレクトショップのビームスFのオリジナルのネクタイ(確か1万2千円くらいだった)です。
このクラスになると品質も確かなのですが、
まれにしか使わないお葬式のネクタイにお金をかけたくない方も多いでしょう。

そんな方は、お葬式のネクタイは使用頻度が低くあまり耐久性を必要としないので、

Amazonのお葬式用のネクタイ
↑Amazonで販売されている2,000円~3,000円のネクタイでも、問題ありません。

ただ、ポリエステル製ではなくシルク製のものを選びましょう。
確かにポリエステル製のものなら1,000円程度からあります。
しかしウール製のお葬式の服と合わせると、不自然な光沢で、違和感があるので止めたおいた方が無難です。

ネクタイが結べない方へ

このブログを解析すると、男性のお葬式の服装に関するページ(メンズのお葬式の服(礼服・喪服)はユニクロがおすすめ! )を読まれた後、Amazonでこのネクタイを購入されている方が多いことに気づきました。

ネクタイの結び方がわからない人のためのネクタイ

最初から結び目ができており、輪を首にかけて締め上げるという、ネクタイの結び方がわからない人にも簡単に着用できる設計のネクタイです。
よくよく考えてみると日頃ネクタイを締めない職業の方は、いざお葬式に参列するという時にどうやってネクタイを締めていいのかわからなくて困っているのだ、ということに気づきました。普段サラリーマン(葬儀社勤め)をしている私は、そんなニーズがあることにそれまで気づきませんでした。

注文してみた

そこで実際にこの商品を実際注文して試してみることにしました。この商品はAmazonプライム対象商品なので、プライム会員の方は注文すると遅くても翌日に届きます。
気に入らなければ30日以内なら無料で返品が可能です。

このネクタイはノット(結び目)が最初から固めてあり、それ以外は普通のネクタイと同じ構造だと購入するまで思っていました。

しかし実際購入してみると、ノットが最初から固められているのはその通りなのですが、小剣(ネクタイの両端の細い方)の裏にジッパーがあり、ジッパーが開いたり閉じたりすることで長さを調整できる仕組みになっていました。
ジッパーの摩擦によってネクタイがゆるみにくくなっているのです。

着用してみた

実際に着用してみました。
ちなみにこの商品は比較的ノットはコンパクトなので、私がお葬式に着ていくシャツとしてオススメしているレギュラーカラー(エリが90度くらい開いている)のタイプと相性が良いようです。
セミワイドの襟(大体100度ぐらい開いている)のシャツでも問題ないでしょう

装着の仕方は簡単で、シャツの襟を立てて、広げたネクタイの輪に頭を通してネクタイの小剣を引っぱって締め上げるだけです。


10秒で完了します。
ネクタイの結び方を全く知らなくても問題ありません。

注意点

注意点です。
ネクタイを結ぶときは、大剣の先がちょうどベルトのバックルを隠す長さが理想的です。そのため結ぶときに大剣の長さを調整するのですが、このネクタイは構造上、その長さを調整することができません

常に結び目の上部から大剣の先までが49センチです。身長が180センチを超えていて、ひと昔前のローライズっぽいスーツのパンツに合わせると少し長さが足りなくなるはずです。
身長170センチぐらいでノーマルなパンツを履いていればちょうどいい長さだと思います。
実際そこまでネクタイの長さこだわる人は、日頃から普通のネクタイを締めているはずなので、このネクタイを購入した段階で長さは大目にみたほうがいいかもしれません。

次に耐久性の問題です
先程申し上げた通り、小剣の裏がジッパーなので、これは何度も使っていると壊れてしまうのではないかと思いました。
もちろんお葬式は年に数回のことなので、お葬式用として使っている分には問題ないでしょう。
色違い(黒以外)で普段使いを想定したラインナップも出ているようですが、職場などの普段使いはオススメしません

また素材は一応シルクです。
一応と書いたのは冒頭で紹介した、高級なネクタイと比較するとあまり質が良くないと言う意味です。
とはいえ、ノットを作らなくてもいい、ワンタッチ式のネクタイの中では一番ましな素材感です。他にももっと安いワンタッチ式のネクタイはありますが、それはだいたい化学繊維(ポリエステル)でできており、明らかに安っぽいです。
お葬式に使うネクタイは最低限このようなシルクでできたものを使うことをおすすめします。

以上、日頃ネクタイを結ぶ習慣のない人がお葬式に参列する時のためのネクタイの紹介でした。











2 件のコメント

  • 85通りもあったんですね。考える葬儀屋さんのメンズファッションネタは密かに待ってました。

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