またもや葬儀ブローカー(ネット上で葬儀屋さんを探している顧客を集客し、葬儀屋さんに送客する会社)というレッドオーシャン(ライバルが多く激しい戦いが行われている市場)に今さら突っ込む猛者を発見。
プレスリリース 本当に必要なものだけを揃えた定額葬儀 全国対応の新サービス「お手本にしたいお葬式」
「お手本にしたいお葬式」って、もっと良いネーミングはなかったのか、という問題はさておき、ずいぶん後発だけど勝ち目はあるのか、を考えてみました。
葬儀ブローカーのトップを走る問題児「小さなお葬式」と比較してみます。
小さなお葬式とは記事を盗作されたり(「小さなお葬式」に対する疑惑)、個人的にいろいろ因縁(「小さなお葬式」のあの事件を振り返る )があるので、彼らのシェアを食ってくれるのなら、敵の敵は味方という理屈で、大歓迎なのですが。
値段で比べてみた
葬儀ブローカーを選ぶときの最優先事項、「値段」を比較してみましょう。
葬儀ブローカーへの依頼は通常のお葬式よりも直葬(火葬のみ)の件数が多いと言われています。
何より価格を抑えたいという人が多いからです。
小さなお葬式は140,000円(税込)、お手本にしたいお葬式は138,000円(税込)
おおっ、安さで勝負か!
と言いたいところですが、細部を比較すると・・・
法律上24時間以内の火葬はできず、火葬炉は大体15時くらいまでしか稼働しません。そのため16時以降に亡くなってしまうと、火葬できるのは翌々日ということになります。また寝台車はタクシーと同じく走行距離に比例して金額が上がっていきますが、自宅~火葬場の距離のカウントではなく、車庫~自宅~火葬場でカウントするのが原則です。
つまり「お手本にしたいお葬式」の場合、ドライアイスも安置日数も寝台車の走行距離も、初期設定で収まらないケースが頻発するでしょう。つまり最初から追加費用ありきの価格体系ということです。
これでは実際の合計金額で小さなお葬式を上回ることになります。
問題アリだと私は見ます。
後発組にアドバンテージはない
よく考えてみれば既に成熟期に入った葬儀ブローカー市場で、後発組が価格競争で先行者を上回れる可能性は低いのです。
ちゃんと活動している葬儀ブローカーは大体どこも横並びの料金体系です。
葬儀ブローカーは葬儀施行業務をそのエリアの葬儀屋さんに丸投げします。
レベルが高くて集客力のある葬儀社は、わざわざ高い紹介手数料を払ってまで葬儀ブローカーの依頼を受ける必要はありません。
集客力がなく、レベルが低く、利益率の低い葬儀社は、葬儀ブローカーの紹介案件を受け続けないと組織が維持できません。
その結果、葬儀ブローカーの仕事を受けない葬儀社は1社も受けない、受けるところはほとんど全ての葬儀ブローカーの仕事を受けるというように、姿勢がハッキリと分かれます。
一方葬儀ブローカーに依頼する顧客は、ネットで検索して複数の葬儀ブローカーにコンタクトを取ります。
その結果、そのエリアの葬儀社A社に、同時に、複数の葬儀ブローカーから同一の顧客Bさんの紹介が行われます。
もし、利益率がバラバラなら葬儀社は一番利益率の高い葬儀ブローカーの仕事を受けるでしょう。
実際は、市場原理が働いて、最低価格に収れんされてしまって、どこの葬儀ブローカーも最後は横並びの手数料体系にならざるを得ません。
そんな状況では葬儀ブローカーC社だけが安い、ということはなんらかの裏技がない限り不可能なのです。
他にセールスポイントは?
他に「お手本にしたいお葬式」が何をセールスポイントにしているかサイトで確認してみましょう。
選ばれる理由|お手本にしたいお葬式
・お客様第一・・・まぁこれはかけ声みたいなもんで無意味なフレーズです。
・全国対応・・・全国対応でない葬儀ブローカーの方が珍しいのですが
・充実したアフターケア・・・これもどこもやっています。
・24時間365日対応・・・これも当たり前
・豊富なプランからご提案・・・いや7パターンしかないし。それに直葬に枕飾りセットがついたら火葬式と呼んだり、家族葬に参列者が5名プラスされたら身内葬と呼んだり、分かりづらい混乱を招くネーミングだと思います。
・厳選した葬儀社が対応・・・前述したとおり、紹介葬儀社は他の葬儀ブローカーの紹介葬儀社と被る傾向にあります。
・プライバシー重視・・・他の葬儀ブローカーもPマーク取っています。
・安心の定額低価格設定・・・定額にならないのは前述したとおり
このページを見る限り差別化できているところが何一つないですね。
さらに細かいツッコミを入れてみる
細かいところですが、↓このサイトで使われている画像はフリー素材サイト「いらすとや」のものです。
<https://sougi-osoushiki.com/plan/cyokusou>
個人ブログならともかく商業サイトに「いらすとや」を使うのはルール違反じゃ無いけどちょっと恥ずかしいですよね。デザインに統一感がなくなっています。
「お手本にしたいお葬式」このままではちょっと厳しいと思います。
追記
結局2年ほどで撤退したようです。まぁ、そりゃそうでしょう。
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