葬儀の挨拶のマナーを葬儀屋さんが教えます

今回は遺族代表として葬儀で挨拶する方へのアドバイスです。

弔辞のアドバイスを求めている方は下記の記事を参考にしてください。
弔辞のススメ | 考える葬儀屋さんのブログ

お葬式の際、遺族の方が、会葬者に対して挨拶をするケースが多いと思います。

私は自分の身内が亡くなったとき遺族代表の挨拶をやったことがあります。
挨拶する人の立場になるとと分かりますが、あれは大変です。
精神的にも不安定で疲れていますし、人前でしゃべらなくてはなりません。

以下、アドバイスです。

1必ずしも喪主がする必要は無い

挨拶をしなければいけないと思って精神的負担がかかるようなら
家族や親戚にお願いしましょう。
挨拶が気になって、最後のお別れが心残りになってはいけないと思います。
全く挨拶をしないことに抵抗があるなら、
二言三言、会葬のお礼だけでも述べてから、
別の人に挨拶を引き継いでもらっても良いと思います。

2原稿を用意する

挨拶の内容を失念したらどうしようと思っている人は、
原稿を読み上げてもかまいません。
そもそも弔辞だって原稿を読む方のほうが多いのですから。
原稿を持っていればずっと読まなくても、お守りとしての安心を与えてくれるでしょう。

文例はインターネット上に出回っていますが、
紋切り型の言葉はできるだけ使わない方がよいでしょう。
ご指導ご鞭撻(べんたつ)のほどを、などという表現です。
陳腐な印象をあたえてしまいます。

多少拙くても自分の言葉で伝えた方が聞き手の印象は良いと思います。

3うまく話そうとしない

私の場合、過去の遺族の方の挨拶を思い返してみて、
心に残っているのはむしろたどたどしい挨拶です。

立て板に水の流暢なしゃべり方は、
そのときはうまいなぁと思うのですが、
翌日になると内容が思い出せないことも多いのです。

うまさと印象度を両立させていた方は、自分の経験ではお二人ぐらいです。
一人は有名な俳優の方で、もう一人は落語家の方でした。
特に間の取り方が普通の人にはまねできないな、と感じたのを覚えています。

逆に言えばしゃべりのプロでなければ、うまさと印象度を両立できないのです。
だからたどたどしくても良いので、
伝えたいことだけを絞って、しっかり伝えるのがよいのではないかと思います。

あと私が聞いた印象に残る挨拶としては、
最初ガチガチのお手本通りの紋切り型の挨拶を行い、
「最期にちょっと言わせてください」
と自分だけの故人との思い出を、
砕けた口調で語った方がいました。
あれも良かったですね。

4AIを使う

推奨するわけでは有りませんが、文章を作るのが苦手な方は
ChatGPTCLAUDEなどのAIに作らせることも可能です。

理想的なのはベースとなる文章を自分で作って、添削をお願いする方法です。
その際「淡々と」や「涙を誘うように」ということもできます。
個人的には、あまり作為的なのは好きではないのですが、仕上がりは人間に添削をお願いするのとほぼ同じレベルです。

いちから作成してもらう場合のプロンプト(指示書)の文例です。

「以下のデータから、葬儀で遺族代表が参列者に対して行う挨拶の文面を作成してください。3分程度で読める分量で作成してください。挨拶を行うのは故人の〇〇(妻、会社の同僚など)です。

<故人の略歴を時系列で箇条書き> 」

以上を入力すれば、文面が出てきます。
それを元に自分が修正してもいいですし、文体に注文を出して再度出力させても構いません。

以上が葬儀で挨拶をする方へのアドバイスです。
参考にしてみてください。

葬儀屋さん向けのアドバイス

ここからは葬儀屋さん向けのアドバイスです。
私は、葬儀の式中、遺族や友人が挨拶をするとき
自分が遺族代表挨拶を努めた経験から
葬儀社スタッフとして上記の記事の内容に付け加えて以下のようなことに気を遣います。

挨拶者を落ち着かせる

私はマイクの前に遺族を誘導する際
「挨拶のご紹介をしますけどよろしいですか。時間はゆっくりありますから(←時間が押していてもこう言う)」
とささやいてから、マイクのスイッチをオンします。
また挨拶者の声量やマイクの立ち位置で聞き取りづらいときもあるので、
アンプのボリューム調整用のスタッフは必須です。

挨拶者の視野内でスタッフを動かさない

挨拶に集中しているとき、
葬儀社のスタッフに視野内をうろうろされると、すごく気が散るのでやめましょう。

挨拶者の視野に入るように立ち、うなずく。

大体左右どちらかの視野の端の方に立って
話に合わせてうなずくようにしています。
人前で話した経験のある人なら分ると思いますが
聞いている人がタイミング良くうなずいてくれると
かなり話しやすくなるので。

葬儀屋さんというのは
実は遺族の代表挨拶を自分自身がやったことのない人がほとんどなので
挨拶者の心情にちょっと無頓着な人が多いと思います。

以上のように挨拶者が話しやすいように最大限配慮すべきです。




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