葬儀の挨拶本には限界がある

本日御紹介する本はこちら。

心のこもった葬儀・法要のあいさつと手紙―遺族側・弔問側、両方使える (基本がすぐわかるマナーBOOKS)

編集者の方が優秀なのか、主婦の友社から出版される「終活」関係の本は
よくまとまっているものが多いと思います。

この本も例外ではなく、読みやすく、値段も安いです。
そしてなにより文例が豊富です。

ただ、それだけに、
挨拶のマニュアルの限界
を示してしまっているように思えてしまうのです。

以前弔辞に関する記事を書きましたが
(参照ページ:弔辞のススメ
挨拶って、やっぱり
いかに故人の固有の、故人らしいエピソードを語るか
が大切だと思うのです。

だからこの本で基本的な挨拶の構成を学習する分にはいいのですが
いろいろな種類の挨拶の文例や解説を読み込んでも、
心配性の人は混乱するだけでしょう。
結局、挨拶の必要に迫られている個々の読み手の役に立たないということです。

いろいろなシチュエーションを想定したためだと思うのですが、文例として
「娘の自殺に断腸の思いを述べる挨拶」
「(娘がひき逃げにあい)突然襲った不幸への怒りを抑えつつも語る挨拶」という
そもそも誰が必要とするんだ?
と首をかしげる事例が多く載せられています。
当事者ならこの本を開く余裕などないはずですし。

それから
『「○○さん」と故人へ親しみを込めて呼びかけましょう』
というような解説もちょっと作為的で、逆効果かと思うのです。

なんというか、葬儀の挨拶って
故人と語り手が、関係性を含めて、素の状態でむき出しになると思います。
そのため巧拙だけを意識した付け焼き刃かつ小手先の技術は
あまり役に立たないのではないでしょうか。

というわけで、
心配してマニュアルを開く気持ちはよく分かりますが
お葬式の挨拶は、
ご自分の言葉で語られるのがよいと思います。




2件のコメント

諺や定型句は、使う人や聴く人によりヒトにより受け取り方が大きく変わります。

逮捕された浜田先生が使われていた様ですが、「金は汚く稼いで、綺麗に使う」との言葉があります。
本来は、上方落語に出てくる「良い意味の格言」ですが、どうやら「悪い意味の解釈」をしたのではないでしょうか?

葬儀にあてはめると、「汚く稼ぐ」を依頼者のために汗水垂らし埃に塗れて働く(奉仕)と捕るか、依頼者を騙して(搾取)と捕るかで、全く異なります。
当然ながら、後者の方が利幅が大きく儲かります。

私としては結婚式のスピーチや葬式の挨拶等は、書店で売られている本の定型句ではなく、「自分の言葉で自分の考えや気持ちを伝えれば良い」と思います。
どの結婚式に出ても新郎新婦は「優秀な成績でご卒業され・・」てあり、右から左に聞き流すだけです。

prof 様、いつもコメントありがとうございます。
> どの結婚式に出ても新郎新婦は「優秀な成績でご卒業され・・」
次に「三つの袋が大切で・・・」(^_^)

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