遺影写真の3つの条件

お葬式の時に、拡大されて祭壇に飾られている写真(遺影写真)をどれにしたらいいかお困りの方のためにこの記事を書きました。
お葬式の打合せの際、多くの遺族の方が、良い遺影写真がないと言ってお困りになっています。

遺影

遺影写真の条件

写真は大きく引き延ばすほど、ぼやけてくるので
1.ピントがあっていて
2.できるだけ故人が大きくうつっている
3.遺族が気にいっている
(もしくは生前故人が気にいっていた)
写真の原稿が必要になってきます。

1と2についてどれくらいのレベルなのか、という話ですが
イメージとしては運転免許の写真ありますよね、
あのレベルでは正直なところ不十分です。
拡大したときの写真の仕上がりが、かなりぼやけます。
ですから運転免許の写真を使うのは、他に適切な写真が無い場合の最後の手段です。

遺影写真の原稿は、写真そのものでもデジタルカメラのデータでも構いません。

しかし、いざというときになってなかなかぴったりの写真が見つからないということが、実際多いのです。
今は遺影写真も、制作システムの発達により数時間で作成することが可能です。
そのため我々葬儀社としても、写真を探す御遺族のためにギリギリまで(お通夜の日の午前中がタイムリミットでしょうか)待ちます。
最終的に、結婚式のときにプロが撮った集合写真を使う方も多いですね。

修正はどこまで可能?

ちなみに
・着衣
・一緒に写り込んでいる人や物
・背景
・画面の明暗
これらはすべて修正可能です。

昔はよく無理矢理に黒の和服姿に合成することがあったようです。
しかし最近は普段着の自然な姿が好まれているので、
よっぽどのことがない限り、お召し物の合成は勧めません。
体の一部分を合成すると、どうしても全体の印象がしっくりこないのです。
写り込んでいる物の修正に関しては、バッグの肩ひものレベルなら簡単に修正できます。

背景に関しては、よっぽどきれいでないかぎり、修正します。
背景の色は自由に選べますし、花や風景を合成することも可能です。

ただし実際はブルー系の背景にすることが多いのです。
これは日本人の肌の色に関係しています。
スーツにブルー系やグレー系の色が多いのは、黄色人種である日本人に最も多いスキンカラー(ペールブルーという肌の色です)と相性のいい色だからです。
日本人の肌の色に合わせた時、最も失敗が少ない色なのです。
グレーの場合は写真全体の印象が暗くなってしまうため、
背景にブルー系の色を選ぶことが多いのです。

もちろん普段、肌の色と相性の良かった服の色(例えばウォームカラーの肌の色をした人の場合は、茶系が合う)と同系色を背景にすれば当然、きれいに決まるでしょう。
しかし写真でも同じ色の服を着ている場合が多いので、服と背景の色が同系色だと顔だけが宙に浮いてしまう画像になってしまいがちなので注意が必要です。

あと、私の経験では、白黒写真をカラー写真に修整したことがあります。
それから、家族が故人をモデルに描いた肖像画を、遺影写真の代わりに飾ったことがあります。
故人を知る人にとっては、むしろ写真よりも故人らしさを喚起(かんき)するのかもしれません。

遺影写真で一番大切なこと

いろいろ技術的なことを書きましたけど、
一番重要なのは
3.の遺族が見て、一番故人らしくて気に入った写真を選ぶ
ことでしょう。
たまに
「笑顔なんですけといいですか」
「横顔だけどいいですか」
「帽子かぶってますけどいいですか」
というご質問を遺族の方から受けます。
故人を知る皆さんがその写真がお好きなら全く問題無いと思います。

候補が何枚かあり絞りきれなければ、葬儀屋さんに相談してみてください。

また故人の一番いい写真を探そうとするのは、
遺族の方が故人のことを想ってのことですよね。
写真を探すという行為そのものが
遺族にとってのグリーフワークとなるかもしれませんね。

デジタルカメラ時代の遺影写真の選び方

デジカメの写真が多すぎて遺影を選べない、という方に。


デジタルカメラが普及したことによるメリットは
遺影の候補写真が飛躍的に増えたことでしょう。

写真を撮ることが特別だった時代は
写真の枚数も少なく、選びたくてもどれも今ひとつ
というケースが多かったです。

その点デジタルカメラで簡単に写真が取れるようになった現代は
遺影の候補となる写真がたくさんあります。
修正技術が向上したこともありますが
もとの写真素材がいいもの(ピントが合っていて顔が大きく写っている)
を遺族がたくさんお持ちなのが大きいと思います。

しかしその一方で
デジタル写真データの枚数が多すぎて、故人の写真を選び出すのが大変
という問題が持ち上がっています。

故人自身が持っていたデータベースの中から
遺族が一からベストの故人の写真を探すのは大変です。

サムネールを一枚ずつ見ながら探すことも可能ですが
集合写真だと一枚一枚データを開いて確認しないといけません。

それでなくとも
写真以外にも棺に入れたいものや、式場に飾りたいものを探したりと
遺族が限られた時間で
他に探さなければいけないお葬式のアイテムはたくさんあります。

そんな方にはこれ。
ピカサ3の新機能「顔検索」を使用してください。
ピカサはグーグルが無料で提供しているアプリケーションです。

(2018年6月現在ピカサはサービスを中止して、昨日はGoogleフォトに受け継がれています。)

これをダウンロードして起動すると、

PC内の全ての画像から、各人の顔を解析して、その人ごとに写真を分類します。
例えばおばあちゃんの顔が写っている写真だけを自動でピックアップしてくれるのです。
もちろん集合写真で他にたくさんの人の顔が写っていても自動で見つけ出してくれます。
分類した後は顔の部分だけを切り取ったサムネールを作ってくれますので
それを見ればピントの合い具合や表情が一目瞭然です。、
遺影写真にぴったりの画像を見つけ出す作業が飛躍的に向上します。

私がためしたところ、デフォルト設定で
正面写真ならほぼ正確に分類できました。
うまく設定できれば横顔の検索・分類もOKみたいです。

デジカメ写真が多すぎて
すぐに遺影にする写真を見つけられない方におすすめです。

笑顔の写真を残しておきたい場合

また別件ですが
「おじいちゃんは写真嫌いだし、
喜怒哀楽をあまり顔に出さないんだけど
将来亡くなったときの遺影写真は笑顔の写真を使いたい」
という方にはこれはどうでしょうか。

最近ののデジタルカメラにはスマイルシャッター機能というのが付いています。
ONにすると被写体が笑うのに合わせて自動で写真を撮ってくれます。
これも結構使えますよ。