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おひとりさまの葬儀代を支払う方法




朝日新聞ドットコムの記事から、喪主を引き受ける人がいないおひとりさまの最期を考えます。
身寄りない人の葬儀代 運用する自治体と是正求める国:朝日新聞デジタル

身寄りのない人の葬儀の実態

まとめると
身寄りのない人(おひとりさま)が亡くなったとして
・喪主を引き受ける人がいない場合、火葬費用は自治体が全て負担で火葬を行う(墓地埋葬法による規定)
・喪主を引き受ける人がいる場合、自治体が4分の1を負担、4分の3を国が負担する(生活保護法による規定)
というきまりになっている。

しかし自治体は全額を負担するのがいやなので、厚生省が禁じたにもかかわらず、民生委員に喪主を頼んで、4分の3を国に負担させているのが実態とのこと。

ちなみに民生委員とは、地域の高齢者障害者などのサポートをする(基本的に)ボランティアの人のことです。民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委託された非常勤の地方公務員扱いになります。

過去数回、生活保護の方の葬儀依頼を受けたことがあるのですが、打合せ相手はケースワーカー(福祉事務所のスタッフで生活保護の相談にのっている)の方で、支払いは役所の窓口で払ってもらうという流れでした。
そのため裏側でこういう仕組み(仮に生活保護を生前に受けていなくても、身寄りが無く遺産が少額な場合、誰かが申請すれば4分の3を国の負担にできる)になっていたとは、今回の記事で初めて知りました。

要は金の問題です。
地方がどんどん衰退化していることを考えると、自治体にとって火葬費用の負担は深刻な問題でしょう。
法律違反はいけませんが。
(正確には通達無視ですが)

葬儀屋さんの立場では?

ここで、私は葬儀屋さんなので葬儀社経営者視点から考えてみます。
葬儀社サイドとしては葬儀費用を払っていただければ問題ない、と言いたいところですが、全てが直葬(火葬のみ)なので、利益は少ないです。
そのため拘束時間と利益のバランスを考えると、直葬ではなく通常のお葬式の方が好ましいです。
基本的には生活保護関係の葬儀は断らないまでも、一般企業としてはスタッフの人手を割きたくないのが本音ではないでしょうか。

とはいえ以上は経営者視点の話。
現場担当者としては
火葬直前に間に合って到着した故人の兄弟が30年ぶりに面会を果たして、悔恨と慟哭と懺悔を行う場面に立ち会ったこともあり
担当者として微力ながら役に立っているという達成感は、通常の葬儀と同じくらいあるのですが。

対策の提案

今後、国や自治体の葬儀費用の負担をどうやって減らしていけば良いでしょうか。
画期的なアイディアではありませんが、こういう方法はどうでしょう。

今回の話は、民間企業(葬儀屋さん)に葬儀を引き受けてもらわないといけないから、それなりの金額が国なり自治体なりから支払れているわけですよね。
それなら生活保護の火葬に関しては、葬儀屋さんを自治体で内製化してはいかがでしょうか。
民生委員かそれに準ずる立場で、葬儀屋さんのOBを置いておいて、火葬の担当を行ったときだけ手当をつけるというもの。

葬儀屋さんの仕事はハードなので、一般的にはまだまだ元気だけど加齢によって、24時間運営の葬儀現場に堪えられず離れていくスタッフがいます。
そういう人を歩合制で雇っておくというのはどうでしょうか。
地方の場合、火葬炉職員だって準公務員のことが多いのですから、人事的には問題ないでしょう。
またおひとりさまの火葬が将来増えていくのは明かなのですから、需要はあるでしょう。
今から手を打っておいてはいかがでしょうか。

(追記:2018年12月2日)
自治体と国の負担比率の表記間違いをご指摘をいただきましたので修正いたしました。











5 件のコメント

  • > 仮に生活保護を生前に受けていなくても、身寄りが無く遺産が少額な場合、誰かが申請すれば全額の国の負担にできる

    10年程前になりますが、私が担当した方に身寄りがなく、友人の有志で200名規模の葬儀を行いました。
    可能性を求めて住所地のある自治体に確認したところ、生活保護の規定に準じて喪主に葬祭費を支給するとの回答を得ました。
    お陰で香典収入と葬祭費で収支はほぼ持ち出しで済ませることができました。

    その後、東京23区の各役所に同様の事例における対応を確認しましたが、多くの役所が明確な回答を避ける中、某3区については生活保護の規定に準じて支給すると回答してくれました。

  • 葬儀社の経営的な視点からいいますと、生活保護の葬儀は一般的な葬儀の利益は少ないですが利益率で換算すると高いと思います。人件費も打ち合わせ(金額の折り合い)等がない為、最近多くなっている火葬式(直葬)よりも効率がいいともいます。
    また、葬儀業界OBを準公務員扱いで自治体が雇うのは既存の葬儀社からすれば売上の減少になり危機的な事になりかねません。生活保護受給者の葬儀は決して費用は高くなく福祉事務所と葬儀社の間でバランスが取れているのではないでないでしょうか!?生前の2ヶ月分の生活費で賄える葬儀費です。それよりも生活保護者の医療費や薬剤費の対策を考えたほうが自治体・国の負担軽減、そして我々の税金を無駄なく使っていただけたらと思います。
    東京23区の生活保護者の葬祭扶助の一般基準は206,000円、遺体保存のための費用は加算できますが、その他の火葬料・納骨代などの加算は現実的に不可能な場合が多いのも問題だとは思います。
    ただ、それをもひっくるめて葬儀社にとっては生活保護者の葬儀は効率かつ利益率は良いと思います。

    ここ最近生活保護者の葬儀で目立つのは、福祉事務所が一定の葬儀社を名指しで指定してるところがいくつかあることだと思います。一般基準以下での請負で施行する営業をしているのので、福祉事務所は生活保護者が病院等に入院・入居されている場合に病院等には「もしもの時は特定の葬儀社にしてください」と事前に伝えているところもあります。まあ、考える葬儀屋さんの対策の提案に近いものかもしれませんが、労働者からしたら経営者の方針での、より多くの件数をこなさないといけなくなりますので大変かと思います。
    そして、都内民間火葬場は民生扱いで29,500円、瑞江葬儀所は600円であるため、低く請求をする業者は一斉に瑞江葬儀所へとご遺体を連れてくる、そして現在の瑞江葬儀所の一般の火葬料金は61,000円と高くなっているのが現状です。それは自治体が安くやっているつもりでもブーメランで公営火葬場の赤字を増やしているだけの事になっているのです。
    何を言いたいかというと、福祉事務所と葬儀社での癒着?をしていることで一定の葬儀社が福祉ビジネスの恩恵を受けているということだと思います。都内には新興葬儀社・社会福祉法人の葬儀法人が福祉ビジネスで荒稼ぎをしていることだと思います。
    社会福祉法人の葬儀法人は本来の形とはかけ離れ、JAのように利益追求型になっていて残念でなりません。

    考える葬儀屋さんには今後、社会福祉法人の葬祭業についての闇を調べていだだけたらと思います。

    • 消費税10%反対 様
      コメントありがとうございます。
      >低く請求をする業者は一斉に瑞江葬儀所へとご遺体を連れてくる
      瑞江の回転率が突出して高いのはこれが原因でしょうか?

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