スマホの中身も「遺品」です-デジタル相続入門 はおすすめ

最近終活ブームのおかげで、遺(のこ)された本や衣服などのモノをどうするか、ということに世間の意識が向けられるようになってきました。

しかし一方で、デジタル機器やインターネットが生活の中に完全に入り込んでいる割には、使用者が亡くなった場合のデジタルデータの継承に関して、あまり関心が払われていないのが現状です。

おすすめの本

そこで今回紹介するのは、こちらの本
スマホの中身も「遺品」です-デジタル相続入門 (中公新書ラクレ)

2020年におけるデジタル遺品の最前線が描かれています。

終活の途中で、「あれ?デジタルデータはどうすればいいんだろう」と不安になった方には是非一読を勧めたいです。

デジタル遺品とは

故人が遺したスマートフォンや携帯電話,パソコンなどの情報端末とその中に保存されているデジタルデータ,インターネット上にあるマイページのアカウントと投稿,ネット口座の預金など,さまざまなものがあります。

(↓Amazonの紹介ページより引用)

著者の、古田雄介氏の略歴はこちらです。
YUSUKE FURUTA | 古田雄介プロフィール古田雄介

かつて
故人サイト
という本を出されたときには、このブログに書評を書かしていただきました。
管理人の亡くなったサイト | 考える葬儀屋さんのブログ

私の場合

今回の書籍で、個人的に最も勉強になったのは第2章で描かれた、現在使われているデジタルサービスの実態です。
デジタルサービスは積極的に使っている方だと思いますが、それでも知らないことがたくさんありました

  • お薬手帳のアプリ版がある
  • ペイペイは手続きをふむと、故人のチャージの払い戻しに応じてくれる
  • アマゾンではファミリーと閲覧権を共有することができる
  • Googleアカウント無効化管理ツールがある etc.

 

さて私の法定相続人である妻や兄弟は
Evernoteなどクラウド上にある私のデータには全く興味をしめさないでしょう。

金融資産が問題ですね。

銀行はネットバンキングだし証券取引も全てネット上で行っています。
そこで数年前から金融資産は全てマネーフォワード(資産管理アプリ)で管理することにしました。
年に1回、マネーフォワードのトップ画面を印刷したものを、エンディングノートに挟んでいます。
これでどこに金融資産があるかが、もれなく確認できるようになっています。
(ちなみにマネーフォワードは士業と組んで死亡確認サービスと相続手続サービスを始めればいいのでは、とふと思いました。)

デジタル遺品のこれから

本書を全て読み終えた感想としては、デジタル資産の相続の仕組みはまだ過渡期であるということです。

普通の金融資産でも、相続にかかわるもめごとはたくさん起こっています。いままではデジタルゆえに問題が発生しても見えてなかったところもあったと思うのですが、今後は問題が顕在化してくると思います。私のお客様の中にも、結構ご高齢だけどネット証券を使用していて、急死されて奥様が困る、というケースがありました。

そもそも全く新しい概念のデジタルサービス自体が次から次へと生まれているので(近年の最たるものは仮想通貨とバーコード決済でしょうか)、法も我々の取扱いも追いついてない状況です。

ということは、先程過渡期と申し上げましたが、
新しいデジタルサービスが生まれる限り、そして人が死ぬ限り、デジタルサービスの継承をどうするかというニーズは、半永久的に次から次へと生まれてくるということですね。

古田氏の活躍は続きそうです。