今回ご紹介するのはこの本
サピエンス全史
ずっと気にはなっていたのです。
今回読み始めたきっかけは、サピエンス全史の中で仏教思想についてかなりページを割いていることを、評論家の宮崎哲弥氏が述べていたからです。
この本は上下巻に分かれているのですが、私が下巻を紹介しているのは宗教の話が下巻の冒頭の12章から始まるからです。
葬儀業界の人はこの12章だけでも読んでほしいです。
できれば全部読んでほしいけど、無理かな。
同僚で教科書を除くと人生で本を読んだことがないっていうヤツいたからな。
この本の副題は「文明の構造と人類の幸福」です。
認知革命→農業革命→科学革命と進歩しているのに人類は果たして幸福になっているか、というと疑わしい。
もちろん昔より今がいいのだけれど、欲望にはキリがない。
それが人生を苦しめる。
一方でその欲望がホモサピエンスを地球の王たらしめたのだと思うのだけれど、何百万年前から殺戮を繰り返してきた生き物だから
攻撃衝動含めて欲望の制御が大変だ。
そこで著者が幸福のヒントとして提示するのが仏教。
おそらく著者はユダヤ教だと思うのだけれど、キリスト教には厳しい。確かに人殺し過ぎ。
ちなみに著者が提示する宗教の役割と定義はこれ。
真っ先に登場した普遍的秩序は経済的なもので、貨幣という秩序だった。第二の普遍的秩序は政治的なもので、帝国という秩序だった。第三の普遍的秩序は宗教的で、仏教やキリスト教、イスラム教といった普遍的宗教の秩序だった
今日、宗教は差別や意見の相違、不統一の根源と見なされることが多い。だがじつは、貨幣や帝国と並んで、宗教もこれまでずっと、人類を統一する三つの要素の一つだったのだ。社会秩序とヒエラルキーはすべて想像上のものだから、みな脆弱であり、社会が大きくなればなるほど、さらに脆くなる。宗教が担ってきたきわめて重要な歴史的役割は、こうした脆弱な構造に超人間的な正当性を与えることだ。
宗教は、 超人間的な秩序の信奉に基づく、 人間の規範と価値観の制度 と定義
第一に、いつでもどこでも正しい 普遍的な 超人間的秩序を信奉している必要がある。第二に、この信念をすべての人に広めることをあくまで求めなければならない。
仏教のどういうところを評価してるかというと
たった一つの法則に要約した。苦しみは渇愛から生まれるので、苦しみから完全に解放される唯一の道は、渇愛から完全に解放されることで、渇愛から解放される唯一の道は、心を鍛えて現実をあるがままに経験することである、というのがその法則だ。
一神教の第一原理は、「神は存在する。神は私に何を欲するのか?」だ。それに対して、仏教の第一原理は、「苦しみは存在する。それからどう逃れるか?」だ。
仏教はおそらく、人間の奉じる他のどんな信条と比べても、幸福の問題を重要視していると考えられる。
ブッダの洞察のうち、より重要性が高く、はるかに深遠なのは、真の幸福とは私たちの内なる感情とも無関係であるというもの
ブッダが教え諭したのは、外部の成果の追求のみならず、内なる感情の追求をもやめることだった。
感情は自分自身とは別のもので、特定の感情を執拗に追い求めても、不幸に囚われるだけ
ここまで読むと著者が言っているのは大乗仏教ではなく小乗仏教寄りの思想のようです。
科学的には人生に意味はない、らしいのだけれど、そんな身も蓋も無い結論では「幸福」にはなれないでしょう。
ホモサピエンスの特性をコントロールして幸福になるには仏教!
のはずなんだけど葬儀業界にいると、欲を全くコントロールできてない(する気もない)僧侶に出会う確率が高すぎて
にわかに仏教が人類の幸福って言われてもピンとこない葬儀屋さんは多いと思います。
仏教界の皆さん、人類を真に幸福にするツールにぎってんだから、有効に使わないと!
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