今回は経済学部・商学部の学生さんで
葬儀業界に興味のある方向けの記事です・・・ってどのくらいいるの、そんな人?
コンビニでこんな本を見かけました。
ビジネスプロフェッショナルの教科書
52のキーワードで学ぶMBAスキル
その中に
「レモン市場」の例として葬儀業界が取り上げられていました(54・55ページ)
私も以前
葬儀は高いという問題と葬儀屋は嫌われるという問題を深く考えてみる3/3
という記事の中で葬儀とレモン市場のことについて触れました。
この記事中で触れているように、
葬儀という商品は
通常のレモン市場とは若干異なります。
葬儀において参加者(つまり遺族)は
葬儀屋さんとの取引からおりることができないので、
逆選抜の状況が発生するが
取引の不成立がおきない(=致命的な市場の失敗が起きない)という特徴があります。
よって葬儀業界は(厳密な意味での)レモン市場の例として取り上げるには適切ではないと思います。
また消費者は
ベンチャーの明朗会計システムに魅力を感じているので、ベンチャーが伸びている
という主旨の記述もありました。
明朗会計が情報の非対称性を解消するはずだから、
という理屈なのでしょうが
明朗会計によりベンチャーが伸びているという前提自体が
違うと思います。
(ここでは「明朗会計」を
『個々の「財とサービスの内容」と「価格」とを消費者に明示している』
ことと定義します。)
ここで仮に
葬儀社と消費者の間に情報の非対称性が存在しない状態
つまり消費者に
その葬儀社が「明朗会計であるかどうか」
判断できる能力があるとします。
もしそうであるなら、
消費者は明朗会計を選択理由としてベンチャー葬儀社との取引を行うことはありません。
なぜなら伸びているベンチャー葬儀社の価格体系が
特に明朗会計というわけでは無いからです。
(参考記事
https://kangaerusougiyasan.com/archives/890145.html)
実際伸びているベンチャーを見てみると
その伸びている要因は明朗会計ではなく、他にあります。
例えば
名古屋のT社は、「広告塔としての社長の活躍」
「AS社は外資というイメージ戦略」
「UF社は演出力」
ということだと思います。
もし上記の会社を明朗会計だと思って取引している消費者がいるのなら
明朗会計であるようなイメージを持っているだけで
(そういうイメージを持たれること自体は
企業側のマーケティング活動が成功した結果で、
必ずしも間違ったことでは無いとは思いますが)
情報の非対称性は存在している状態です。
よって
「ベンチャーの明朗会計システムが情報の非対称性を解消しているので、
ベンチャーが伸びている」
という判断は間違いです。
将来、情報の非対称性が本当に解消されて
葬儀社がレモン市場の例として取り上げられることが、なくなればいいですね、
サミュエルソンも
Funeral by funeral, theory advances
(理論は葬式ごとに進歩する)
って言ってますし。
・・・って、うまくまとめようとしたんですが
引用の仕方が強引でしたね(^^;)
(注記:私は「明朗会計によりベンチャー葬儀社が伸びている」という判断が間違っていると申し上げているのであって
上記の葬儀社が、葬儀の質や透明度・信用度において
他社より劣っていると申し上げているのではないことを
ご理解願います)
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